新世紀エヴァンゲリオン 外伝 超少女アスカ

第112話

アタシは、ユキ達を遠ざけるとシンジと二人で話をしたの。最初に何でシンジがここに居 るのか聞いたわ。そうしたら…。 「へえっ、シンジ達の試合会場って、ここから近いんだ。」 まあ、知ってはいたけどね。 「うん、そうなんだ。それに、次の試合は午後からだから、結構時間が余ってて。」 「それで、こっちに来たのね。」 それでも普通は来れないはずよ。シンジは、センパイ達の目を盗んで来たのね。 「うん、アスカに会いたかったから。」 「バカ。恥ずかしいこと言わないでよね。」 こいつったら、何でこんなことを人前で言えるんだろう。鈍いにもほどがあるわよね。 「あっ、しまった。どうも、思ったことが口に出ちゃうなあ。」 「フン、バカ。」 シンジは頭をかきながら顔を赤くしてるわ。でもね、アタシとしては悪い気分ではなかっ たわ。アタシだって女の子だもの。でもね、アタシの気分を悪くするような輩が現れたの よ。えっと、強羅中の連中だったわね。 「何、あの男。根暗そうね。」 「全然、頼りがいがなさそうね。」 「弱そうだし。」 「あの子って、男の趣味が悪いわね。」 ちっ。さっきの連中ね。大体は当たっているけど、本当のことでも他人から言われるのは 嫌なもんなのよねえ。 「あら、あなたはカゴさんでしたっけ。」 そしたら、和田って子は不機嫌な顔になったわ。 「違うわよ。私は、和田明子。人の名前くらい、覚えなさいよね。」 「あら、ごめんなさい。加護さんはもっと女の子らしい、可愛い人でしたわね。これは失 礼しました。」 そして小さな声で『加護さんに大変失礼よね。』って言ったら、物凄い顔で睨んで来たの。 「アンタ、ケンカ売ってるの。」 何よ、最初にケンカを売って来たのはアンタ達でしょうに。 「いいえ、そんなつもりはありません。男の子に縁が無い人が妬いているとか、加護さん とは可愛さが全然違うとか、そんなことは言ってませんよ。」 そしたら、ますます怒った顔になったの。 「アンタ、ちょっとツラ貸しな。大人しくしてればつけあがりやがって。」 「ええ、いいですよ。弱い犬ほど良く吠えますこと。おほほほほ…。」 でもね、シンジが止めるのよ。 「アスカ、止めてよ。怪我をさせたらまずいよ。」 そしたら、連中は鼻で笑ったわ。 「あのね、カレシ。彼女の心配するのが先じゃない。」 「アッコさんはね、空手初段なんだから。」 「そんな子、一撃で倒れるわよ。」 それを聞いたシンジはため息をついたわ。 「でもね、アスカは刃物を持ったヤクザ者でも叩きのめす位強いんだよ。君達じゃ、1分 と持たないと思うんだけど。」 そしたら、連中は急に声を潜めてささやきだしたの。 「アッコさん、試合前にこういうことはまずいですよ。」 「そうそう、テニスで叩きのめしましょうよ。」 「そうしないと、負けた時に言い訳されますよ。」 「そうね。今のところは勘弁してあげるわ。」 何を言ってるのよ、ふざけやがって。もう遅いってーの。でもね、シンジがアタシの腕を 強く握りしめたの。しょうがない、今だけは見逃してやるか。 *** その後、強羅中との試合になったわ。アタシの相手は、奇しくもさっきやり合った和田明 子だったの。ふん、覚悟しなさいね、アンタ。アタシは、左手でラケットを握りしめたわ。 「ハーッ!」 アタシは、渾身の力を込めてサービスを打ったの。もちろん、相手は動くことすら出来な かったわ。サービスエースっていう奴ね。それから3球、同じように打ったんだけど、相 手は同じように動けないままだったわ。 「今度は私の番よ。」 明子はそう言った後に、中学生にしては早いサービスを打ってきたわ。でも、アタシには 全然通じなかったの。 「フンッ!」 アタシがラケットを振り抜くと、コートの隅にアタシの打ったボールが突き刺さるように 決まったわ。いわゆるリターンエースっていう奴ね。 「ああっ。」 明子は呆然とした表情になったわ。でもね、試合はまだまだこれからよ。アンタは、アタ シの打ったボールに触れられないまま、試合を終えるのよ。 *** 試合の結果は、アタシの圧勝。全てがサービスエースかリターンエースだったの。しかも、 明子はアタシの打ったボールに1回も触れることが出来なかったの。試合が終わった後、 明子は呆然としていたわ。 それが悔しかったのか、強羅中の連中は試合後にアタシのところに来てぎゃあぎゃあ騒い だのよ。アタシはここぞとばかりに連中に思いつく限りの悪口を言ったわ。 「随分お上手だこと。でも、カーネルサンダースの人形と同じ位かしら。」 そう言ったら、さすがに目の色が変わったわ。そして、『ツラ貸しな。』ってなった訳よ。 でも、連中の一人が止めようとしたのよ。さっきのシンジの言葉を覚えていたんでしょう ね。だから、アタシは挑発したの。 「あら、あなた達は弱虫の小心者なのね。売られたケンカも買えないなんて、情けない。 赤ん坊が相手じゃなくっちゃ、ケンカに勝てないのかしら。情けない、弱すぎるわね。」 アタシが挑発すると、連中は堪忍袋の緒が切れたらしく、再び目を吊り上げたわ。そうそ う、そうじゃなくっちゃね。 *** 「ぎゃあああっ!」 「イタイッ!」 「ヤメテーッ!」 「ヒイーッ!」 人目のつかないところに行ったアタシは、テニスでの勝負を持ちかけたの。そしたら、連 中は安堵しながらバカ正直に受けたのよ。後はアタシの思うがままだったわ。ボールを連 中に何度も何度も打ちつけたのよ。で、今は悲鳴をあげているのよ。 「あら、反撃出来ないのかしら。」 アタシはそう言いながらもボールを上手にコントロールして、連中に何度もボールをぶつ けたの。連中は逃げまどったけど、アタシは逃がさなかったわ。で、10分後には泣きべ そをかいている女の子が5人出来上がりっていう寸法よ。 アンタ達はね、エヴァンゲリオンのパイロットに精神攻撃を仕掛けたのよ。その罪は、万 死に値するわ。手足の骨を砕いてもまだ足りないくらいよ。でもね、アタシは優しいから これくらいで許してあげるのよ。 「アンタ達、まだアタシとテニスするの?」 アタシが冷たく言い放つと、連中は泣きながら首を振ったわ。 「アンタ達、悪い頭を働かせてよっく覚えておきなさいよ。今度、アタシの男をバカにし たら、今度は鉄拳制裁よ。」 アタシは、近くの杉の木の側に行って、カイザーちゃんを手にはめて思いっきり殴りつけ たの。そしたら、その木はメキメキ音を立てて倒れたの。 「ひいっ!」 「あわわっ。」 「うそ…。」 連中は、地面に座り込んだわ。どうやら腰を抜かしたみたい。 「アンタ達、分かったのかしら?」 アタシが睨み付けると、連中はカクカクと首を縦に振ったわ。 つづく(第113話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  シンジをバカにした女の子達は、アスカの制裁を受けます。でも、ちょっとアスカはや りすぎのような気がしますが、本人はかなり抑えたつもりでいるのです。   2004.8.1  written by red-x  



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