新世紀エヴァンゲリオン 外伝 超少女アスカ

第109話

「「「「いっただきま〜す。」」」」 最初に食べるのはおちびちゃん達よ。場所や準備の都合があるから、しょうがないわね。 でも、約1名納得しかねている食いしん坊がいるわ。ブラックジャージマンよ。 「あのお、ワイだけ早く食べちゃいかんか?」 そう言う鈴原の情けないこと。でもね、鈴原が一緒に食べたら、他の子が食べにくくなる じゃない。だから、そんなことは認められないのよ。 「駄目よ。でも、ヒカリやユキみたいに、肉を焼いてあげるだけならいいわよ。」 「いやあ、腹が減ってしもうてな。我慢できへんのや。」 「駄目ったら、駄目。もう少し我慢してよね。」 「はあっ、やっぱ、駄目かいな。」 鈴原は思いっきり肩を落としたわ。それを見かねたのか、ヒカリが助け船を出したの。 「あの、アスカ。鈴原は大食らいだからさ、先に食べさせてあげられないかな。私が妹と 鈴原に分の肉を焼くから、ねっ。」 はあっ、何を言ってるのよ、ヒカリ。そんなこと言ってるとね、鈴原がつけあがるわよ。 アタシはそう思ったんだけど、ヒカリの表情がいつになく真剣だったから、結局は折れち ゃったわ。 「はあっ、しょうがないわねえ。ヒカリがそう言うならいいわよ。」 「だってさ、鈴原。食べてもいいわよ。」 そう言ったら、鈴原は飛び上がって喜んだわ。 「おおきに、いいんちょ。恩に着るでえ。」 鈴原は電光石火の早業で箸と小皿を用意すると、ヒカリの隣に座ったわ。 「いいんちょ、自分の分は自分で焼くからええで。」 「それもそうね。じゃあ、鈴原はこのお皿の肉を使ってね。」 ヒカリは、お肉が山盛りになっている皿を鈴原に差し出したわ。これならおちびちゃん達 には被害が出ないわね。でも、ヒカリ。用意が良すぎるわ。これは計画的犯行ね、きっと。 「じゃあ、もりもり食べるで〜っ。」 ともあれ、鈴原は言葉通りにどんどん肉を焼いて食べ出したわ。 *** 30分後、おちびちゃん達は食べ終わってデザートタイムになったから、席を移ってもら ったわ。こうして、いよいよアタシ達の食べる番が回ってきたの。 「シンジ、相田君、こっちにいらっしゃい。」 「うわあ、やっと食べられるんだ。」 「お腹がペコペコだよ。あれっ、トウジ。お前、何食ってるんだよ。」 相田は、鈴原がさっさと食べているのに気付いたわ。 「おうっ、悪いなあっ。お先に失礼させてもろうたぜ。」 「お、お前って奴は…。我慢っていうものを知らないのかよ。」 さすがに相田の目は点になっていたわ。 「すまん、本当にすまん。全てワイの腹が悪いんや。」 「まあ、いいじゃないか、ケンスケ。そんなことより、早く食べようよ。」 むっとする相田をシンジが取りなして、うまくその場を繕ったわ。 「そうね、早く食べましょ。アタシも、お腹が空いちゃったわ。ユキもそうでしょ。」 「えっ、は、はいっ。」 アタシも、つまんないことで雰囲気がぶち壊しになるのは嫌だから、ユキに目配せしたの。 そしたらユキは、すぐに分かってくれたみたい。相田の注意をそらしてくれたの。  「相田君、カルビがいいですか?それともロースがいいですか?」 好きな女の子に話しかけられたもんだから、相田は少し慌てたようね。怒った顔が途端に 崩れたのよ。 「えっ、え〜と、カルビかな。」 「あっ、ちょうど食べごろに焼けたのがありますよ。はい、食べてください。」 「えっ、あっ、ああ。」 「どうしたんですか?私が焼いた肉は、お口に合わないんですか。」 「そっ、そんなことないさ。た、食べるよ。うん、おいしいなあ。」 「おいしいですか?良かった、相田君のお口に合って。さあ、どんどん食べてください。」 「う、うん、ありがとう。うん、この肉は本当においしいや。」 「そうですよね。凄くおいしいですよね。惣流さんに、とっても感謝してます。」 あら、やだ。そんなこと言われると照れちゃうわ。 「そう思うんなら、ユキは明後日の試合、思いっきり応援してね。」 「は、はい。いいですよ。でも、何で明日じゃなくて、明後日なんですか。」 「そりゃあ、簡単よ。明日の試合なんて、どうでもいいからよ。」 「そ、惣流さん。それは少し言いすぎてませんか。」 「あはははっ、そうかもしれないわね。」 「そうですよ。惣流さんはとにかく、明日の試合頑張ってくださいよ。」 「でもねえ、アタシが勝っても勝ち進めるかどうか分からないでしょ。だから、いま一つ やる気が出ないのよね。」 そしたら、それまで黙っていたヒカリが口を出してきたわ。 「じゃあ、こういうのはどうかしら。アスカが勝ったら、碇君がアスカの言うことを何か 一つ聞いてあげるの。そしたらやる気が出るんじゃないかしら。」 くぬうっ、ヒカリめ。とんでもないことを言うわね。 「ぼ、僕ならいいよ。アスカには勝って欲しいし。」 「そうねえ、それならやる気が出るかもね。1時間シンジの脇の下をくすぐり放題とか、 1日買い物の荷物持ちとか、5時間くらいの間ずっとひざ枕をしてくれるとか。そんなん でもいいの?」 「う、うん。いいよ。」 「ようし、じゃあ決まりね。」 ふふふっ、かかったわねシンジ。アタシのお願いは、そんな生易しいもんじゃないわよ。 アタシは、シンジになにをさせようかと考えて、思わずにやにや笑ったわ。 でも、ヒカリの機転に感謝しなくちゃね。 つづく(第110話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  はてさて、アスカはシンジにナニをさせようとするのでしょうか。     2004.7.3  written by red-x



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