新世紀エヴァンゲリオン 蒼い瞳のフィアンセ
第81.5話 疑問
「おい、マナ!大変だっ!」
「そうだよ、大変だっ!」
「どうしたのよ、ムサシにケイタ。そんなに慌てちゃって。」
家で寝そべって、ポテトチップスを食べていたマナは、けだるそうに答えた。
「じつは、イラクがサウジアラビアに攻め込んだんだ。テレビをつけてみろよ。」
「う、うん。」
マナが慌ててテレビをつけると、ニュースキャスターの声が聞こえてきた。
「…の時間ですが、今日は予定を変更して、イラクのサウジアラビア侵攻のニュースをお
伝えします。」
その後、画面にはサウジアラビアの破壊された都市や、国連安保理の状況、周辺国の民衆
の声、軍事評論家の意見、それらが次々と映しだされていった。
「うわあ、本当に戦争が始まっちゃったんだ。ん、待ってよ。もしかしたら、ムサシやケ
イタも戦場へ行くの?」
不安そうなマナの声を聞いて、ムサシは明快に否定した。
「いや、それはないだろう。俺達のトライデントは、海外向けの戦闘には向いていないら
しい。それに、ネルフ本部の防衛専用にしか使わないって聞いている。それにだ。もし、
サウジアラビアに行くんだったら、俺達も呼び出しを受けているはずだ。そうじゃないっ
てことは、俺達は行かないっていうことだ。」
「そう、良かった。」
マナは、少し安堵したようで、ふうっと息を吐いた。
「ほら、今日、授業中にエヴァのパイロット全員に呼び出しがかかっただろう。おそらく、
エヴァは派遣されるからだ。」
「ええっ、もしかしてシンジも?」
マナの瞳に、不安が浮かぶ。
「いや、それはないと思う。本部パイロットは、使徒戦以外には動かないっていう話だ。
おそらく、今回の件では動かないだろう。ましてや、海外だぜ。あり得ないさ。」
「そう…。良かった…。」
今度も、マナはふうっと息を吐いた。
「でもな、ちょっと引っかかるんだよな。」
「「何が?」」
ムサシの呟きに、マナとケイタが同時に反応した。
「だってさ、戦争が起きるって言われていたのは、俺達が18歳になるくらいだって言わ
れていたじゃないか。それなのに、何で戦争が早まったんだろう。」
そう、まだ幼かったマナ達がトライデントのパイロットに選ばれたのは、マナ達が大人に、
少なくとも18歳以上になった頃に戦争が起きると言われていたからだったのだ。だが、
実際にはそれよりも早く戦争が起きてしまった。
「でもさ、ムサシ。日本に戦争が飛び火するのは数年後かもしれないよ。」
ケイタの言葉に、ムサシもああそうかと納得した。だが、3人とも良く考えれば気付いた
はずなのだが、戦争を仕組んだ勢力は、一つではなかったのである。
(第82話へ)
(目次へ)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
2003.9.24 written by red-x