新世紀エヴァンゲリオン 蒼い瞳のフィアンセ
第35.5話 見舞い
「具合はどうだ,ハウレーン。」
「まだ,傷が痛む。」
「そうか…。ゆっくり休んで,早く直すんだ。」
「父さん,すまない…。私がふがいないばかりに。」
「良いんだ。お前は,『逃げる時は,常に最後尾に付け。』という言い付けを守った。立
派だったぞ。」
「だが,負けてしまった。一体,何人の部下を死なせてしまったことか。」
「不幸中の幸いだが,惣流アスカ君のお蔭で,我々の部隊に死者は出なかった。」
「父さん,本当か?」
「ああ,そうだとも。そして,お前を助けてくれたのが,碇シンジ君だ。」
「彼が…。」
「ああ,そうだ。その彼に頼まれて,カヲル君という子供を許すことにした。ハウレーン,
お前が戦った部隊の指揮官だが,洗脳されていたらしい。碇シンジ君の友人だそうだ。も
ちろん,異論は無いな。」
「ああ,彼の頼みなら,しょうがない。何と言っても,妹の命の恩人だからな。」
そう,ハウレーンの妹は,シンジによって,命を救われたのだ。妹は,病に倒れ,余命い
くばくも無い状態だったのだ。だが,その時起こったサードインパクトによって,病気は
完治したのだ。妹は,優しい顔をした男の子の顔を見たと言い,後にそれがシンジである
ことが分かったのだ。
それがハウレーン親子,ひいてはヴァンテアンがネルフに味方した理由なのだ。
「では,また来るぞ。早く良くなれよ。」
「ああ,分かっている。」
ハウレーンは父が病室を出た後,静かに頭を下げた。
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2002.5.3 written by red-x