ミックマックと古代オリエント
"ローマ神話の体系化と発展を促進し、両者のあいだには対応関係が生み出された。またプラトーンを初めとして、古代ギリシアの哲学や思想、そしてヘレニズム時代の宗教や世界観に影響を与えた。キリスト教の台頭と共に神話の神々への信仰は希薄となり、やがて西欧文明においては、古代人の想像の産物ともされた。しかし、この神話は古代の哲学思想だけでなく、キリスト教神学の成立にも大きな影響を与えており、西欧の精神的な脊柱の一つであった。中世を通じて神話の生命は流れ続け、ルネサンス期、そして近世や近代の思想や芸術においても、この神話はインスピレーションの源泉であった[1] [2]。""今日、ギリシア神話として知られる神々と英雄たちの物語は、およそ紀元前15世紀頃に遡るその濫觴においては、口承形式でうたわれ伝えられてきた。紀元前9世紀または8世紀頃に属すると考えられるホメーロスの二大叙事詩『イーリアス』と『オデュッセイア』は、この口承形式の神話の頂点に位置する傑作である。当時のヘレネス(古代ギリシア人は、自分たちをこう呼んだ)の世界には、神話としての基本的骨格を備えた物語の原型が存在していた[3] [4] [5]。"しかし人々は、この地上世界の至る処に神々や精霊が存在し、オリュンポスの雪なす山々や天の彼方に偉大な神格が存在することは知っていたが、それらの神々や精霊がいかなる名前を持ち、いかなる存在者なのかは知らなかった。どのような神が天に、そして大地や森に存在するかを教えたのは吟遊詩人たちであり、詩人は姿の見えない神々に関する知識を人間に解き明かす存在であった。神の霊が詩人の心に宿り、不死なる神々の世界の真実を伝えてくれるのであった[6]。この故に、ホメーロスにおいては、ムーサ女神への祈りの言葉が、朗誦の最初に置かれた[7]。
他の神話では、地球は双子の神テスカトリポカとケツァルコアトルによって創られたとされている。テスカトリポカは世界を創造する最中に自らの足を失った。そのためこの神の全ての似姿は、足のない姿、あるいは骨をさらされた形で表される。ケツァルコアトルは「白いテスカトリポカ」と呼ばれることもある。邪神の名前である「Cthulhu」は、本来人間には発音不能な音を表記したものであり、クトゥルフやクトゥルーなどはあくまで便宜上の読みとされているため、クトゥルー神話、ク・リトル・リトル神話、クルウルウ神話とも呼ばれる。ラヴクラフトから彼の遺著管理者に指名されたロバート・バーロウによると、ラヴクラフト自身はKoot-u-lewと発音していたそうである。またラヴクラフトの書簡には、発音方法が記されたものがある。それによると『Cluh-luhのように音節を分け、舌の先を口蓋にしっかりとつけたまま、唸るように吠えるように、あるいは咳をするようにその音節を出せばいい[1]』と書かれている。太古に地球を支配していたが現在は地上から姿を消している、強大な力を持つ恐るべき異形のものども(旧支配者)が現代に蘇るというモチーフを主体とする。中でも、旧支配者の一柱であり、彼らの司祭役を務めているともされる、太平洋の底で眠っているという、タコやイカに似た頭部を持つ軟体動物を巨人にしたようなクトゥルフは有名である。
こうした原典のほか、9世紀から14世紀にかけて北欧で編纂された『サガ』や『サットル』、『スカルド詩』などにも北欧の信仰は反映されており、これらから伺い知ることができる神話も存在する。またその他スカンディナヴィアの伝承などにも残存する言い伝えがあり、その中の一部は、古英語で書かれた『フィンネスブルグ争乱断章』に関連する物語や、『デーオルの嘆き』中に登場する神話的な物語への言及など、時代の古いゲルマン文学に現れる伝説に裏付けられている。数々の部分的な文献や言い伝えが残っている時、学者達は詩の背後にある意味合いや表現を推論することが出来るのである。加えてスカンディナヴィアには、神々にちなんでつけられた地名が数多く存在する。"レーク石碑(Rök Runestone)やクヴィネビ・アミュレット(Kvinneby amulet)のように、表面に刻まれているごく少数のルーン文字の碑文にも、神話への言及がなされている。トールの魚釣りの旅や『ヴォルスンガ・サガ』からの場面、オーディンとスレイプニルやフェンリルに飲み込まれるオーディンなど、北欧神話からの場面を描いたルーン文字石碑やイメージ・ストーンもある。現存するフンネシュタット石碑(Hunnestad Monument)の1つには、狼に跨ってバルドルの葬式へ行くヒュロッキンが描かれている[2]。"デンマークでは、巻いた口髭が生え、口を閉じられているロキの絵が描かれたイメージ・ストーンがあるほか、複雑に入り組んだ絵が描かれたイギリスのゴスフォース十字架石碑もある。更に、隻眼のオーディンやハンマーを持つトール、直立した男根のフレイなど、神々を描いた小立像も存在する。
"Modern retellings of ancient mythology are often inventive""フィン族は精霊信仰をベースに、世俗化はしたものの原始宗教的な伝説を守ってきた。狩り(ペイヤイネン Peijainen)や収穫、種蒔きといった儀式は、社会的イベントとして開催されたが、根底にある宗教的部分は全く欠落しなかったのである。"周囲の文化の緩やかな影響によって、単一神教的な考え方から空神を主神格に上げたけれども、彼らにとっては空神も元来は他と同じ「自然界の存在の1つ」でしかなかった。