童話とメルヘンとアッカド (アトラハシス叙事詩)
ゼウスはまた、アルテミスに従っていたニュンペーのカリストーに、アルテミスに化けて近寄り交わった。こうしてアルカディア王家の祖アルカスが生まれた。プレイアデスの一人であるエーレクトラーとも交わり、トロイア王家の祖ダルダノスと、後にデーメーテール女神の恋人となったイーアシオーンをもうける。イーオーはアルゴスのヘーラーの女神官であったが、ゼウスが恋して子をもうけた。ヘーラーの怒りを恐れたゼウスはイーオーを牝牛に変えたが、ヘーラーは彼女を苦しめ、イーオーは世界中を彷徨ってエジプトの地に辿り着き、そこで人の姿に戻り、エジプト王となるエパボスを生んだ。エウローペーはイーオーの子孫に当たる。アトラースの娘プルートーとのあいだには、神々に寵愛されたが冥府で劫罰を受ける定めとなったタンタロスをもうける。またゼウスはニュンペーのアイギーナを攫った。父親であるアーソーポス河神は娘の行方を捜していたが、コリントス王シーシュポスが二人の行き先を教えた。寝所に踏み込んだ河神は雷に打たれて死に、またシーシュポスはこの故に冥府で劫罰を受けることとなった。アイギーナからはアイアコスが生まれる。同じくアーソーポス河神の娘とされる(別の説ではスパルトイの子孫)アンティオペーは、サテュロスに化けたゼウスと交わりアンピーオーンとゼートスを生んだ。アンピーオーンはテーバイ王となり、またヘルメースより竪琴を授かりその名手としても知られた。プレイアデスの一人ターユゲテーとも交わり、ラケダイモーンをもうけた。彼は、ラケダイモーン(スパルテー)の名祖となった。エウリュメドゥーサよりはミュルミドーン人の名祖であるミュルミドーンをもうけた。アポローンは数々の恋愛譚で知られるが、彼の子とされる英雄は、まずムーサ・ウーラニアーとのあいだにもうけた名高いオルペウスがある(別説では、ムーサ・カリオペーとオイアグロスの子)。ラピテース族の王の娘コローニスより、死者をも生き返らせた名医にして医神アスクレーピオスをもうけた。予言者テイレシアースの娘マントーとのあいだに、これも予言者モプソスをもうける。ミーノースの娘アカカリスはアポローンとヘルメース両神の恋人であったが、アポローンとのあいだにナクソス島の名祖ナクソス、都市の名祖ミーレートス等を生んだ。ヘルメースとのあいだには、クレータ島のキュドーニスの創建者キュドーンをもうけた。
アステカ人は彼ら自身の伝統と、他の民族の持つ伝統を組み合わせて取り入れたため、いくつかの異なる創世神話を持っている。それによれば、現在の世界の前には4つの時代があり、それぞれ大災害によって終焉を迎えたとされる。現代(Nahui-Ollin)は第5の時代(あるいは5度目の創世)であり、最も小さき神ナナファトル(Nanahuatl)の犠牲によって滅失を逃れた。この最も控え目な神はその後、太陽に変じたという。この神話はテオティワカンと関連し、アステカ人が到着した時にはそこはすでに破壊され放棄されていた。他の神話では、地球は双子の神テスカトリポカとケツァルコアトルによって創られたとされている。テスカトリポカは世界を創造する最中に自らの足を失った。そのためこの神の全ての似姿は、足のない姿、あるいは骨をさらされた形で表される。ケツァルコアトルは「白いテスカトリポカ」と呼ばれることもある。
また民俗学者の柳田国男によって完形昔話、派生昔話に分ける分類法も提唱された。世界の多くの地域に特有の民話・昔話が残されている。お伽話とも言う。説話を集めた作品のことを「説話集」と言う。一種のアンソロジーである。文学性の備わったものを「説話文学」と呼ぶ。民間に伝わる話を知識層が文章に記述することよって生まれた。民俗学・文学などの研究対象になる。日本文学では主に中古文学、中世文学の頃栄えた。『日本現報善悪霊異記(日本霊異記)』のように仏教説話の性格が強いものもあるが、特に12世紀には幅広い題材に取材した『今昔物語集』のような説話集も生まれた。また、芥川龍之介が『今昔物語集』を題材にして「羅生門」「芋粥」「鼻」などの小説を書くなど、近代以降の文学活動にも影響を与えた。日本の有名な昔話には例えば次のようなものがある。
『エッダ』を13世紀初期に書いたこのスノッリ・ストゥルルソンという人物は、卓越した詩人・指導者で、アイスランドの外交官でもあった。この『エッダ』は本来、その技法の学習を熱望する詩人へ向け、入門書として作られたとされる。この作品には伝統的なケニング(婉曲表現技法)や、詩に詰め込まれた暗喩表現を散文体で解説した内容が含まれている。こうした散文体での語りが、北欧の神々についての様々な物語を体系的かつ首尾一貫したものにしたのである。『詩のエッダ(古エッダ)』は、『散文のエッダ』が書かれたおよそ50年後に執筆されたと言われる。『詩のエッダ』は29の長い詩で構成されており、その内の11の詩はゲルマンの神々を扱ったもので、その他は『ヴォルスンガ・サガ』のシグルズ(中世ドイツの叙事詩『ニーベルンゲンの歌』の主人公ジーフリト)のような伝説的英雄について書かれたものである。学者達はこの『エッダ』が他の『エッダ』よりも後の時代に記されたのではないかと考えているが、その物語における言語と詩の形態は、書かれた時代より1世紀も昔に作られたと考えられている。こうした原典のほか、9世紀から14世紀にかけて北欧で編纂された『サガ』や『サットル』、『スカルド詩』などにも北欧の信仰は反映されており、これらから伺い知ることができる神話も存在する。またその他スカンディナヴィアの伝承などにも残存する言い伝えがあり、その中の一部は、古英語で書かれた『フィンネスブルグ争乱断章』に関連する物語や、『デーオルの嘆き』中に登場する神話的な物語への言及など、時代の古いゲルマン文学に現れる伝説に裏付けられている。数々の部分的な文献や言い伝えが残っている時、学者達は詩の背後にある意味合いや表現を推論することが出来るのである。加えてスカンディナヴィアには、神々にちなんでつけられた地名が数多く存在する。