説話文学とヘブライ (創世記)
山幸彦と海幸彦を参照。"『山海経』(中国最古の地理書)は、中国の伝説的支配者禹が「天から水のあふれたような」洪水を治めるのに10年を費やしたところで終わる。 (参照:『山海経』第18章、最後から2番目の段落、Anne Birrells 翻訳)[5]"
その後に製作された、J・R・R・トールキンの『指輪物語』も、キリスト教化以前の北方ヨーロッパにおける固有の信仰に、非常に影響を受けた作品と言える。この作品が人気を呼ぶにつれ、そのファンタジー要素は人々の感性や他のファンタジーのジャンルを、絶えず揺り動かしている。近代的なファンタジー小説にはエルフやドワーフ、氷の巨人など、北欧の怪物達が多く登場する。のちの時代になって北欧神話は、大衆文化や文学・フィクションにおいて、多くの影響を残しているのである。"以下は、翻訳元の英語版(Norse mythology)における出典である。""Modern retellings of ancient mythology are often inventive"
さらに、ラヴクラフトが東洋人・ポーランド人・黒人などのマイノリティに対して恐怖感と嫌悪感を持っていたことも知られている[4]。多くの人種の平等を唱えながらネグロイドとオーストラロイドだけは生物学的に劣っているとして、この二者に対して明確な線引きが必要だと主張した[5]。当時としては問題にはならないが、現代であれば人種差別主義と言えるほどの偏見であり、これはそのまま『クトゥルフの呼び声』や『ダンウィッチの怪』での人間と人ならざるものとの混血といったモチーフに結びついている[6]。なお、ラヴクラフトは中国文明をアングロサクソンの文明よりも偉大なものと見なしており、必ずしも白人優越主義者ではない。また、ドイツにおけるユダヤ人迫害の実態を知った後はナチスを厳しく批判していた。それがラヴクラフトが作中に表出させた自身の偏見を減じるものではないという考えもできるが、キップリング同様、ラヴクラフトの生活していた時代の欧米社会は西洋文明の優越性とそれを優生学的に肯定する人種論が顕著に残っていたこと、とりわけ彼の生まれ育った当時のニューイングランドはピューリタン伝統主義の強い保守的な環境であったこと、彼の作品にホラー小説が多いことから恐怖性への注目やホラー創作物への偏見が強く浴びせられることを考慮する必要がある。ラヴクラフトの親しい友人にはロバート・ブロックやケネス・スターリングなどユダヤ系の人も多く、とりわけスターリングは「ラヴクラフトには人種的・宗教的偏見は寸毫も見出せなかった」「あれほど人種的・宗教的偏見のない平等主義者は想像しがたい」と回想している。また、ニューヨークに象徴される現代アメリカ文化に対する嫌悪感も強く描写されており、ラヴクラフトの恐怖と嫌悪は人種云々以前に現実全般(己自身をも含む)に及んでいたものと思われる[7]。一連の小説世界はラヴクラフトによって創始され、彼の死後にその友人である作家オーガスト・ダーレスがいくつかの重要な設定を付加して「クトゥルフ神話」として体系化した。ラヴクラフト自身は人知や時空を超越した宇宙的恐怖(コズミック・ホラー)を描く新しいジャンルの小説を構想しており、事実後期の作品群には共通した人名、地名、怪物名、書名等が現れ、作品間の時系列的関係にも考慮の跡がみられる。しかし、背景をなす神話世界の全体像に関してはもっぱら暗示するにとどまった(これは怪奇文学の表現技法の一つでもある→朦朧法)。
北欧神話について現存する記録の大多数は13世紀にまで遡ることができ、少なくとも正式にキリスト教社会となった世界に、2世紀以上も口承の形で保存されていた。13世紀に学者達はこの口伝えに残る神話の記録を始め、特にキリスト教以前の神々が実際の歴史上の人物にまで辿ることができると信じていた学者、スノッリ・ストゥルルソンにより、『エッダ(散文のエッダ、新エッダ)』や『ヘイムスクリングラ』が書き起こされた。このほかには、北欧の神々がより強くエウヘメリズム化(神々は人間が神格化されたものであるという解釈)された、サクソ・グラマティクスの『デンマーク人の事績』がある。『エッダ』を13世紀初期に書いたこのスノッリ・ストゥルルソンという人物は、卓越した詩人・指導者で、アイスランドの外交官でもあった。この『エッダ』は本来、その技法の学習を熱望する詩人へ向け、入門書として作られたとされる。この作品には伝統的なケニング(婉曲表現技法)や、詩に詰め込まれた暗喩表現を散文体で解説した内容が含まれている。こうした散文体での語りが、北欧の神々についての様々な物語を体系的かつ首尾一貫したものにしたのである。『詩のエッダ(古エッダ)』は、『散文のエッダ』が書かれたおよそ50年後に執筆されたと言われる。『詩のエッダ』は29の長い詩で構成されており、その内の11の詩はゲルマンの神々を扱ったもので、その他は『ヴォルスンガ・サガ』のシグルズ(中世ドイツの叙事詩『ニーベルンゲンの歌』の主人公ジーフリト)のような伝説的英雄について書かれたものである。学者達はこの『エッダ』が他の『エッダ』よりも後の時代に記されたのではないかと考えているが、その物語における言語と詩の形態は、書かれた時代より1世紀も昔に作られたと考えられている。