「でも、癒すって…どうしたら良いんですか?」
あの極上の笑顔だけで、充分癒された思いだけど。
せっかくなんで。
「アレンが考えて?」
「え?…ええ!?」
「どうするのが癒しになるのか、さ。考えてみて?」
「え、えーと……」
アレンが一生懸命、俺の為に何かを考えてくれている。
それだけでもう、くすぐったくなるほど嬉しいなんて、思っても見なかったことだ。
「あ、指圧、とか…マッサージ、とか?」
アレンが導き出した答えは、なんだかとてもアレンらしくて。
「ぶはっ…あははははっ!」
一生懸命アレンなりに考えて、出してくれた答えなんだから、と何とか笑いを堪えようとも思ったんだけど。
なんだか、このやり取りが嬉しくて楽しくて、浮かれてしまったのもあって、とうとう吹き出してしまった。
「なんですかっ!?考えろって言うから、人が一生懸命考えたのに!失礼ですよ!」
案の定、アレンはむくれてしまった。
「ごめん!ごめんな、アレン?」
むぅって唇尖らせて、ご機嫌の治らないアレンを下から覗き込んで、謝る。
「指圧も、マッサージも勿論嬉しいし、癒されるさ?でも、さ…」
「んっ…んぅ…っ」
そっぽ向いたままのアレンの頬を包み込んで、無理矢理俺の方に向き直させると、まだ尖ったままだった唇に自分のそれを重ねた。
ゆっくりと、触れるだけのキス。
「今ん所、これが俺にとって一番の癒しさ…」
突然のキスに暫し唖然としていたアレンだったけれど、次第にせっかく冷めた頬の熱を再び上昇させて、何か言いたげに、でも何を言いたいのか纏まらないのか口をパクパクさせている。
「これからもっと、いろいろ教えてあげるさ…」
「は!?なっ、い、いろいろっ、って?」
「ん?いろいろ、さ」
今は、まだこれだけで我慢するから。
「今度は、別のところも癒して貰うから、ね?」
ラビの言う癒しと言うものに、アレンが顔を赤くさせたり、青くしたりするのは、もう少し先のお話。
ラビは『我慢する』を覚えた!レベルが1上がった!
みたいな…?
最後の一言を言わせたいが為だけに、別に書いていた話を没ってまでも書きました。
最後の一言さえなかったら、可愛いままで終わったんですが、ね。いや、可愛いか?
次のページにあるイラストは、本文とは関係ありません。
いや、ある意味関係あるか?
『我慢する』を覚えたラビ先生の、我慢が限界に来るまでのささやかな妄想…と言うことにでもしてください。