-2-
今日もこんなことさえなければ、一人で過ごすはずだった。
コムイさんの手伝いをしていたリナリーに頼まれて、資料探しの手伝いを簡単に承諾してしまったことを、書室に入った途端に後悔した。
なるべく顔を合わせないようにしていたラビが、既にそこにいたのもあるが、神田と楽しそうに話している姿を眼にしたからだった。
この二人には割り込めない空気がある。
同い年で、付き合いも自分なんかよりはるかに長い。
「よお、アレン」
書室に入ってきた僕にすぐに気づいて、声を掛けてくれるラビ。
神田は相変わらずこちらに視線を向けても知らん振りだ。
「こんにちは、ラビ」
「お前まで借り出されたんかぁ?」
「ええ、どうせ暇だったんで…えっと、リナリー何からやりますか?」
これ以上ラビに話しかけられることのないように、僕はリナリーに視線を向け不自然にならないように離れる。
なんとなく、まだラビの視線がこちらに向けられているような気がしたが、一切振り返りはしなかった。
あれからずっと、なるべく視界に入れないようにしていた。
今も、まるで逃げるようにしてこんな奥まったところにいる。本を探す振りをして。