ニールを弄っているはずなのに、腹部でぬるぬると滑る楔に己の呼吸も上がってくる。脳裏に浮かぶのは今手に収まっている長大な雄に胎内を突き上げられることばかりだ。

「…にぃ…る…」

イきたくてもイけない絶妙な強さで続けられる愛撫は、なけなしの理性を容易く食い潰していく。少しでもこの甘い攻め苦を軽減させたくて刹那の肩に顔を埋めて彼女の香りで肺を満たしていた。するとぽつりと呼びかけられる。重たい瞼をゆるりと開いて身じろぐと、顔を合わせられた。熱に浮かされながらも視界に映しこんだ刹那の表情は今までに見た事ない程に婀娜っぽい。

「…せつな…」
「…ね…なめて?」

上げさせた顔を見て息を呑む。劣情に塗れた底光りを宿した瞳が飢えた獣のように見上げてきていた。それでも縛り上げられた獣が身動き出来ない様に優越感が湧き、小首を傾げて甘えるような声でオネダリをしてみる。いつものことではあるが、言葉が少なすぎたようで意図が伝わっていない。瞳は尚も見つめてきたままに少し首を傾げられた。

「…どこを…?」

直接的な言葉で示すのは恥ずかしく、どうしたらいいだろう、と少し考えている内にニールが少し伸びをして唇に軽く触れてくる。微かに触れたまま言葉を紡がれてうっとりと瞳を細めた。

「…ココ…」
「ん?…むね?」
「ん…うずくの…」

腰を密着させたままに両手で己の胸を揉み潰す。いつもならばこれでもかというほどに形を変えられてニールの大きな手で揉みしだかれていただろう。けれど縛ってあるのならば自分から揉み込んでニールの口へと運ぶしかない。少々羞恥が湧きおこりながらも両胸を自分で揉み上げてニールの顎先へ擦りつけるように押さえつけた。

「うずくって…ここ?」
「ぁ…んっ!」

確認とともに舌先で弾くと愛らしい啼き声を奏でてくれる。ちゅうっと音を立てて吸い上げてからちらりと顔を見上げた。

「…ぁあ…あ…」

自ら胸を押し寄せて見下ろす刹那の表情は恍惚としている。とろりと潤んだ瞳はうっとりと細められ、薄っすらと開かれた紅い唇はちろちろと蠢く舌を覗かせていた。紅潮した頬も汗が滲み、艶めかしく輝きを纏う。固めのグミのような弾力に舌触りの良い実を口の中で嬲るとふるりと躯を震わせて腰をくねらせて見せた。ねっとりと舐め上げて齧りつくように歯を立てると大きく跳ねて背を反らせる。

「ひっ…ぅん!」

敏感な実から四肢の先にまで走り抜ける痺れに躯が熱を発し、あまりの熱さに戸惑いすら感じられた。これまでニールに胸を嬲られたことなど数え切れないほどにある。それこそ胸ばかり弄られてイがされたことだってあった。なのに今、口でしか嬲られていないというのに、今まで以上に感じ入ってしまう。

「…あぁっ…ぁんっ…んんっ…ん〜っ…」

歯型が付きそうなくらい強く咬みつかれた実は、熱く湿った空間の中で癒すように優しく舐め回される。そのギャップにすら躯がびくびくと震えてしまった。刺すような痛みがらじんじんと疼き始めるとまた歯で何度も咬み潰されてしまう。躯を本人以上に知り尽くした彼はたっぷりと唾液を絡ませて一度口から解放すると、ふっと息を吹きかけてきた。ひやりとした風が実を擽りまた躯が大袈裟に跳ねてしまう。その反応を楽しげに見上げてくるニールに、今自分がどれほど卑猥な表情を浮かべているか理解していながらも止めさせようとはしなかった。

「もうかたほうも…してほしい?」
「あっ…ん…ほし…」

さっきよりももっと濃く色付いた実にちゅっとキスをすると可愛い啼き声が漏れる。興奮のあまり呂律が危うくなりながらも優しく問いかけると、自分以上に快感で蕩けた彼女は素直に欲してくれた。きっと刹那も自分以上に焦れているのだろう、先ほどから押し付けてきている腰がゆらゆらと揺らめいては楔を擦り上げてくれる。

「っはぁっあぁんっ!」

放置されていたもう片方の実もたっぷりと可愛がられる。欲しかった愛撫に躯の芯が歓喜に震え、熱く熟れた花弁が蜜を滲ませていた。自覚出来るほどに濡れそぼった花弁は次々と溢れだす大量の蜜を留め切れず、溢れて内腿を伝い流れていく。きっと床に水溜りを作り出しているだろう、と想像するだけで呼吸が乱れた。

「あっあぁっ」
「…ん…ふっ…」

しがみ付いた躯も熱を持っているのか、いつも以上に熱く感じる。嬲る口の動きも荒々しさを増していき、ニールにも余裕がなくなっている事が分かった。その証拠に先ほどから、下腹で擦り上げていた楔の滑りが増して彼自身も腰を揺らしている。胸の実を捕える口の中も熱が上がり、ずっと熱く感じ取れた。

「っ…せつ…なっ…」

そろそろか…と思っていた矢先、切羽づまったような掠れた声で名を呼ばれる。きゅっと閉じていた瞳をゆるりと開くと、飢えた獣が瞳をぎらつかせて見上げてきていた。ぞくぞくっと震える背筋にうっとりと微笑みを浮かべ、髪を掻き上げさせながら晒した額に口付ける。

「…イきたい?」
「…あぁ…」

幼子をあやすように顔中へ口づけを落とす。ただし唇は避けて口の端や顎など微妙にずらした位置を軽く吸い上げていった。瞳に宿る光の強さが増していく様を見降ろしながら優しく問いただしていく。

「どこで…イきたい?」

鼓膜を優しく揺らす甘い声と小さく傾げられる首…けれど瞳に宿る妖しい光と優雅な曲線を描く唇が…愛らしさを艶めかしさに変換してしまう。干上がる喉に無理矢理唾を嚥下して吸い寄せられるように顔を寄せた。

「…せつなの…ナカ…」

掠れた低音を耳にして淡く微笑む。ニールの望むものと自分の望みが一致したからだ。けれどすぐに与えてしまっては『躾』にならない…ふと思いたった刹那は二人の躯の間で甘美な刺激を求める楔を押し潰すように腰を更に密着させる。するとニールの柳眉がぴくりと跳ねた。

「俺のナカでイきたいんだな?」
「っ…く…」

にこりと微笑みを浮かべる刹那の中には…どうやら『女王様』が目覚めたらしい。妖艶に微笑む表情が酷く愉しそうに写る。
まさか刹那にこんな一面があるとは思わなかった。
驚くことは驚くのだが、それと共に新たな一面に巡り逢えた事に悦びを感じる。さらに…今は無理でも後でこの『刹那様』を飼い馴らすのも一興…などと考え始めていた。従順な犬の振りをして下克上をするのもいいかもしれない…自分の上で婀娜っぽく微笑む表情が悦に塗れていく様を想像するだけでもイってしまいそうなほど酷く興奮してしまう。
何にせよ…『刹那様』に触れる為にはこの状況を耐え抜いて気に入られなくてはならない。機嫌を損ねようものならば、この甘い責め苦は更に続き躯を蝕むだろう。

「…イかせて…くれる?」
「…そうだな…」

甘えるように顔を擦り寄せてくるニールに刹那の理性が揺れる。普段にない可愛げのある仕草に甘えさせてやろうかと思ってしまうのだ。けれどそれと同じくらいもっと乱れさせてみたいという欲も疼いてくる。

「…せつな…?」

首を伸ばして唇に軽く触れてくる男の表情に初めて沸き起こった欲が勝利を収めた。髪を梳き宥めるように眼尻へ口づけを落とす。口を開けるようにと唇を指先でなぞり顎を掴むとあっさり開いてくれた。褒め言葉を与える代わりに深く重ね合わせて躯を撫で下していく。引き締まった腹筋を辿り下りた先で健気に震える雄が欲望を垂れ流しながら大きく脈打った。触れてきた指に歓喜の叫びを上げているだろう…その証拠に蜜を更に溢れさせる。

「一度出したら入れようか…」
「…おあずけ?」
「あぁ。俺の躯にたっぷり吐き出して…汚してから、な?」

前髪を掻き上げて見降ろしてくる刹那の妖艶さといったら…ガンダム級と賞讃しよう…などと頭の隅で冷静に考えている間にも、彼女の指が熱く滾る怒張をを撫で下していく。敏感な亀頭をぐりぐりと押し潰して指で作った輪を頭から根本までじっくりと扱いて行った。途端にぞくぞくと走る悦楽の波が今にも爆ぜそうになる。

「我慢せずにイけばいい…」
「んっ…くぅっ…」

肩に擦り寄る刹那が楔を扱き上げながら首筋を舐め上げてきた。ぞわぞわと肌が粟立つ中で耳を齧られ、熱い吐息とともに甘い誘惑の言葉を吹きこんでくる。強く弱く…リズムを付けて扱き上げてきた指先が、鈴口に爪を立ててきた。

「…いっぱいかけて…マーキングしろ…」
「っぅ…あっ…!」

たらたらと蜜を溢れさせる鈴口を引っ掻くニールの躯が大きく跳ねた。次いで切羽詰ったような低く艶のある声が漏れる。すると握りしめた楔がどくりと大きく脈打って熱い飛沫をまき散らせた。

「…んぁ…ぁ…」
「んくっ…っは、ぁ…」

ぶるりと震える肩に腕を回し出し切るまで待ち続ける。2・3度浮いた腰が収まると下腹部に熱くてどろりとした液体の感触を感じ取った。胸に引き寄せた顔もぐたりと力が抜け、荒々しい呼吸を肌に吹き付けてはいるが完全に預け切ってきている。その頭をそっと撫でてやると正気に戻ったのか気だるげに動いて離れていった。

「…っは…」

くらくらとする頭をどうにか動かして見上げると瞳を細めて微笑む刹那の顔が見える。頬にちゅっと可愛い音を立てて口付けるとのそりと膝の上から下りて行った。明るい室内に一人立ち尽くす刹那の裸体には、腹部から下乳の辺りまで白濁の欲望が飛び散り僅かに光を反射している。広げた手で躯中に塗り込めるように腹から胸、恥丘にまで広げ、更にその質を確かめるように指に付いた分をちゅぷっと音を立てて口に含んでしまった。

「…早かったな…」

うっかりその光景に魅入っているとぽつりと不満そうな声がこぼれた。どうやら『刹那様』はもう少し嬲りたかったらしい。ぺろぺろと指を舐める様はまるでもっと獲物で遊びたいと機会を窺っている女豹のようだ。

「…そりゃないぜ…」
「んぅ?」
「これでも…精一杯耐えたのに…」

苦笑を浮かべるニールの言う通り、彼の呼吸はいまだ整っていない。額にもじわりと汗が滲み、紅潮した頬も、欲に濡れた瞳もそのままだ。言葉に偽りがないと理解した上でそっと膝まづく。

「…強すぎた?」

開いた足の間に座り込み、太腿に頬を寄せて見上げてくる。楔を酷く甚振り過ぎたかの確認だろうけれど…ニールにとってはそれどころではない。息子さんのすぐ傍にある紅い唇からちらりと覗く舌が…今すぐその口に楔をぶち込んでたっぷりと奉仕させた上で欲望をぶちまけたい衝動を突き動かしてしまう。けれど現状では達成の出来ない事だ、と頭では理解してても元気な息子は目の前の獲物を求めて勃ちあがり始めていた。

「…見てのとおり…だけど?」
「…ん…」

苛め過ぎて萎えてしまったのでは、と少々心配もしたが…無用だったようだ。見つめる内に、血管を浮き上がらせて首をもたげて行く様に笑みが浮かんでしまう。褒め言葉の代わりに椅子の足ごと太腿に腕を絡めて顔を埋めるように股上に近づいた。すっかり硬度を増している楔に優しく口付けて、表面に纏わりつく白濁を見せつけるように舐め取る。

「んっ…ふっ…」

途端に頭上からこぼれる荒々しい溜息を聞きながら、椅子の下で手を伸ばす。先ほどニールを縛り上げる時に用意したものが置いてあるのだ。


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