「着いたぞ。」
ようやく自室に辿り着くと完全に体へ力の入っていないライルをベッドへと寝かせてドアの施錠を施しに離れた。設定を確認して振り向くとベッドの淵に座っている。少しは落ち着いてきたか、と近寄ると突然手首を掴まれて引き倒された。
「!?」
背中から頭をおさえつけられると…チャリ…と鎖が擦れる音が聞こえる。何をしているのか?と訝しげに思っていると両手首を捻り上げられてぐるぐると巻きつけられた。
「なっ…」
「…やべーわ…」
「な、にが…?」
「…あんたの匂いで余計に発情しちまう…」
「はぁ!?」
耳元で荒々しい息を感じたと思うとねっとりと舐め上げられる。予期していなかった行為に体をびくりと跳ねさせてしまった。仰け反った首に皮を押し当てられ、ライルに巻いていた首輪を着けられたのだと気付く。けれど止めさせるどころか服を乱しに掛かる手すら払えずに成されるがままだった。
「っん…く…」
ぬるぬると滑る舌が耳を這い回り緩めた襟から覗く首筋も舐めまわし始める。ぞくぞくっと背筋を駆け上がる感覚に体を震わせた。好き勝手に弄られ続け、理性に靄が掛り始めている。けれどどうにか逃げ出そうと浮かぶ腰と崩れそうな躯を支える足に力を入れるが、前に進むことも出来ずにライルの手へ半ば押しつける状態になってしまっていた。大きく長い指に包みこまれた雄が心地よく吐く息が徐々に上がってくる。こうなる事は分かっていたのだが少し怖気づいていたのかもしれない…心の準備も出来ないままなし崩しに嬲られ続けていた。
「はっ…あっ…」
「…お…奇麗な色してんじゃん。」
「ぁう…ん?」
「使ってないとか?」
「ひぅッ!!」
何の事を言っているのか?と僅かに振り返るとその先にいるはずのライルの姿が見当たらなかった。けれど雄に触れる手もそのままなのですぐそこにいるはず…と少し視線を下げるとシーツと浮いた腰の間にシナモンブラウンの髪が見える。僅かな逡巡の後に『ナニの色を』言われたのだと気付き思わず暴れ掛けたけれどそれよりも先に先端へ息が吹きかけられた。途端にがくりと落ちる腰を押しとどめられ肉棒の裏筋にぬるりと舌を這わされる。がくがくと震える膝を無視されぱくりと咥えこまれてしまった。
「ッあぁぁぁんッ!」
ちゅぷっと軽く吸い上げられて思わず大きな嬌声を上げてしまう。そのまま熱く湿った口内で滑る舌がぬるぬると全体を舐め上げ淫嚢に溜まった欲望を全て吐き出すように揉みあげられるから堪ったものではない。渦巻くマグマのような熱が襲い続けて理性を瓦解させてしまう。
「やっ…ぃやぁ…ッぁあ…!」
啜り泣きのような啼き声に耳を尖らせながら口の中でぴくぴくと震える肉棒をねっとりと嬲り続ける。たまに口から取り出し垂れる汁を舐め上げてじゅぷっと派手に音を立てて吸い上げると、押し付けたいのか逃げたいのか判断の付きかねる動きで腰が厭らしく揺らめく。その光景を目で楽しみながら唾液と刹那の溢れさせる欲望を掬い取ると躊躇なく菊花に突き立てた。
「ぃあぁぁぁッ!!」
びりびりっと突き抜ける悦楽に喉を反らせて啼き上げる。達しそうになったのを無意識の内に腹筋へ力を入れ押し留めてしまい、イき損ねた余韻に躯を小さく跳ねさせていた。しかしぬぷぬぷと浅く出し入れされる指にせっかく鎮めた射精感を煽られてしまう。
「ゃっ…や、めっ…」
「ん?…なんれ?」
「ふあっ!」
「ほら、ひもひいいらろ?」
「やぁっ!くわえ、たままっ…はな、すなぁっ!」
話す喉の振動が先端からリアルに伝いあがり、背筋をぞくぞくと震えさせる。シーツに額を擦りつけて目をぎゅっと閉じながら必死に耐えているのに、ライルの唾液に濡らされた指がぬるりと滑り奥へと徐々に突き進んできた。僅かな苦しさに喉から押し上げられるような息が漏れ出す。指の付け根まで咥えこんでしまったらしく、熱い手のひらが臀部をぺちりと叩いてきた。するとぐちゃぐちゃと舐め回されていた雄が吐き出される。
「っぁあ…ぅ…」
「さて、どのあたりかな?」
物足りなさからひくりと震えてしまう躯を恥ずかしがる間もなく、深く付きいれられた指がずるりと出ていく。内側を引きずり出されるような鳥肌の立つ感覚にぶるりと震えていると途中で指が折り曲げられその瞬間に強烈な悦楽が駆け巡った。声もなく仰け反るとライルの指が執拗にソコばかり擦ってくる。
「ッあ!あぁっ!ぅあぁんっ!」
「…め〜っけ♪」
酷く楽しそうなライルの声を遠くに聞きながら躯中をざわめく甘い波に膝が震えだした。逃げ出したいのに擦られる度、力が抜け落ち貪欲な劣情が顔を覗かせ始める。頭のどこかで止めてほしいと願うのに、躯はもっとと強請るように腰まで動き出してしまう。
「ぃっぃやぁ!イくっ、も、イっちゃうっ!」
ぞくぞくと這い上がってきた覚えのある感覚に啼き声を上げると埋められた指がぐりぐりとさらに抉って射精感を否応なく高めていく。更に留めとばかりにふるりと震える肉棒を再び咥えられてしまうともう耐えられなかった。
「あっ、あぁっあぁぁぁぁぁぁ!!!」
一際強く押し込まれ、強く吸い上げられるとビクッと大きく跳ねた腰に甘く鈍い疼きが走り解放の瞬間を迎えた。がくがくと震え何度かに分けて吐き出された欲望は全てライルの口の中に納められ、わざとらしく音を立てて嚥下されてしまう。その間も菊花を弄る指の動きは止めてはもらえずぬくぬくと蠢き続けた。達しているのにさらに奥から熱が湧き上がる感覚に目頭が熱くなり、涙が溢れ出てくる。
「っあ…っあ…ぁ…」
息も絶え絶えにすべて吐き出しさらに攻め立てる指と綺麗に舐めとる舌の動き腰を振っていたが、ようやく肉棒を解放してもらえた。ライルの動く気配を感じ取りながら尚も攻める指に弛緩出来ずにいる。荒く浅い呼吸を繰り返しながら次は何をされるのかと、戦き、躯は期待を抱き訪れる手を待ち続けた。
「ッひぅ!?」
ぐにっと無理矢理もう一本指を差し入れると予想通りに背が仰け反った。縛り上げてある手がぎゅっと固く握り締められるのを眺めながら二本の指を交互に動かし菊花が小慣れるのを待つ。するとほどなくして僅かに弛んだ隙をついて穴を広げるように指を開くと、どうにか閉じようとひくひくと蠢きだした。
厭らしい光景を眼下に捉えて開かせた菊花にさっき含んだ刹那の蜜を垂れ流していく。
「あっ!?あ、あ、あ、あっ…」
胎内に流れ込む液体の動きに震える内腿を、瞳を細めながら舌に残る残滓も注ぎ込むように菊花へ舌をねじり込むと一際高い嬌声が放たれる。耳に心地よく響く啼き声に意識を傾けながら隅々まで塗り込むようにたっぷり舐め回した。散々舐めた後そっと舌を抜くとつぅっと銀糸が細く引いてぷつりと切れる。ひくっひくっと蠢く菊花に舌舐め擦りして抉るように三本目の指をねじりこんだ。
「あぐっ…くっぅんッ!!」
ぎちぎちと食い千切りそうな絞まりに背筋がぞくぞくと震わせると指をぐるりと回す。すると唾液のおかげがぬるりと滑り内壁を擦り上げられた。びくびくっと跳ねる躯にイったのかと思ったが、赤く充血した肉棒からは透明な蜜がぽたりと垂れるだけだった。肉棒を視界の端に留めながら指の抜き挿しを始めると内壁を擦る度に途切れがちな呼吸とともに啼き声が溢れ出てくる。
「あっあぁっあんっぅうっん、ぁあ!」
指の太さに慣れてきたのか派手な水音をさせる頃には甘い嬌声しか出てこなくなった。そろそろ頃合いか…と瞳を細め、手早く前を寛げた。ずきずきと痛みさえ訴えるほどに高ぶった分身を取り出すと菊花から指を抜き出して浅く繰り返す呼吸にふるふると震える躯を転がす。
「はっ…ぁ…」
「……えっろ…」
露になった刹那の貌に思わず喉を鳴らしてしまう。涙の滲む紅い瞳…上気した頬に張り付く黒い髪…肌に纏わりつく汗…僅かに開いた唇から見え隠れする赤い舌…逸らした喉に巻いたベルトが余計に淫猥さを醸し出していた。更に視線を降ろしていくと乱れた上着の隙間から赤く実った果実が覗いている。齧り付きたい衝動を抑えて品定めをするようにねっとりと見下しているとふるりと震える躯にぺろりと唇を舐める。顔を伏せて胸元で誘うような赤い色に染まる実に舌を這わせるとぴくっと跳ねる肌にカプリと齧りついた。
「ひっぅん!!」
くにくにと噛み応えの良さに歯を立てたまま舌先で擽ると喉を仰け反らせて泣き叫んでくれる。口に含んだ実を執拗に嬲りながら割り開いた足の間に体を滑り込ませた。暴れられるかと構えていたが嬲られる実に意識が囚われているらしく、すんなりと抱え上げることが出来た。ちゅっと軽く吸い上げて唇を離すとぴくんっと跳ねて荒く呼吸を繰り返している。完全に力の入っていない四肢ににやりと微笑みを漏らし、菊花に猛る楔を押し当てると躯が小さく跳ねた。刹那が何か言おうと口を開いたが、言葉を発するよりも先に腰を打ちつける。
「ッ−−−あぁぁぁぁぁぁ!!!」
「んっ…くぅ…」
奇麗に反り返る上体に眼を細め、予想以上の心地よさに吐息が溢れ出た。きゅうっと絞め付けてくる菊花にくらくらしながら滑らかな胸で存在を主張するような赤い実に再び齧りつく。
「アッあぅっ!」
ずるっと動く楔に逸らされた胸がまるで実を差し出すように見える。逃げられずに無防備さを醸し出す実を舌で味わい尽くすと、反対側の実にも口付けた。すると待ち焦がれていたかのような甘い嬌声が溢れさっき以上に執拗な愛撫を施す。びくびくと感電したように跳ねる躯と共に蠢きだした後腔に楔がさらに質量を増した。
「ッはぁ!あんっ!!」
「…はっ…はっ…はっ…」
荒く短く漏れる息は獣の荒い呼吸そのもののように聞こえて可笑しかった。もっと突き上げ暴れたいという本能に従い、足をさらに押し開き眼下に結合部を晒す。刹那の躯を丸めるように足を上げさせると楔を咥えこんだ菊花から、ふるりと揺れて蜜を溢れさせている肉棒も、涙を散らして啼く刹那の表情も見えた。
「あっあっあぁっあぁあッ」
「くっ…ぁ…っは…」
「ゃ、やぁっ、もっ!もぉっ!」
「んっ…イ、く?」
「んっイくっイくぅっも、もぉっだめぇぇぇぇぇぇ!」
がくがくと震える内腿と頭を振り乱す刹那を背筋を駆け上がるぞくぞくとした悦楽の中写し込み、引き絞められる菊花に熱い飛沫を最奥へぶちまけた。出した瞬間に刹那の貌が更なる艶に染まり耳に届く余韻の吐息に甘い声が混ざり解放したばかりの劣情を煽っている。何度かに分けて放たれる飛沫が収まると強張っていた刹那の躯から力が抜けて行った。けれど楔を包み込む内壁が妖しく蠢き、萎えたはずの楔をやわやわと揉みあげている。これが無意識になされているのかと思うだけでくらりと眩暈にも似た興奮が湧き上がった。
「っひぁう!?」
完全にぐったりしてしまっている刹那の腰を掴みなおし、再び撃ちつけるとまたしなやかに躯が仰け反った。さらに腰を振り始めると胎内に放った己の欲望が楔にかき混ぜられぐちゃぐちゃと卑猥な音を奏でる。それに混ざって刹那の嬌声が耳を擽った。
「あっあぁっだ、めぇぇ!」
「ま、だ…刹那…たりない…もっと…」
うわ言のように繰り返されるライルの声に燃え上がる躯が素直に反応を返していた。
* * * * *
ふと目を開くと薄暗い部屋にいた。もぞりと顔を動かしてみると自室のベッドに間違いないらしい。ちらりと見えた床には脱ぎ散らかした服が見え、それが青い制服だけではなく緑の制服も混ざった二人分であることにそういえば…と思いだす。僅かに体を浮かせたことで腰の辺りにあった重みがずれていく。視線を動かしてみると白い腕がだらりと垂れていた。肩越しに振り返ってみると、予想通りの男が気持ちよさそうに眠っている。
「……………とりあえずなくなったな…」
そっと指を動かして柔らかな髪を分けてみると今日は見ていなかった白い耳がある。つまりは獣耳がなくなったということだ。やれやれ、とため息をついて下半身の気持ち悪さに後処理がまだだと気が付いた。ライルの様子からもおそらく疲れ果て泥のように眠りについたのだと予想がつく。
重くだるい体に叱咤してベッドから降りると備え付けの簡易シャワールームに入った。熱いお湯を首から流しながら腕に残った鎖の痕を見て、さらにあちこちに付いた赤い痕にため息を漏らしてしまう。
−ライルの方が…独占欲が強いのか?
4年前も同じように獣にされたニールの相手をしたのだが、こんなに所有の印をつけられた記憶はない。前だけでもかなりの数を散らされていて、見えないがきっと背中もすごいのだろう。体をすっぽりと包み隠してくれる制服とパイロットスーツに感謝しているとどろりと流れ出す感触に息を詰めた。ふるりと体を震わせると内腿を流れる白い筋に頬がかっと熱くなる。その光景から視線を外すとコックから取り外したシャワーを下半身に当たる様に持ち替えた。
「…ッ…!?…ふあぁっ!!?」
足の付け根を狙って当てた瞬間びりびりっと背筋を駆け上がった覚えのある感覚に驚き、腰の力が抜けていった。へたりとその場に座り込んでしまい恐る恐る後ろを振り返ってみる。
「……嘘だろう…?」
へたりと力なく垂れる黒く細長い毛の管が落ちている。恐る恐る指先で触れてみると連動するように体がぴくりと跳ねた。いやな鼓動の高鳴りの中、辿っていくと予想通り自分の尻に続いている。ざぁっと顔から血の気が引き、ぺたりと手をあてた『耳がある』はずの場所に何もない。
「ッ…また…かッ!!」
4年前の悪夢再びを確信した刹那はがくりと項垂れてしまった。
刹那の声に驚いたライルが心配のあまりシャワールームに突撃するまで…残り10秒。
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