ぬるりと滑る花弁に押し付けるとそれだけでイきそうになるほど気持ちいいと感じる。けれど、ぴくりと肩を跳ねさせる刹那を伺いながら、さらに引き寄せた。
「ッひ、あぁ！」
「んっ…ぁ…ぁ…」
くちゅ…と音を立てて先端が蜜口を押し開く。奥から溢れる蜜に塗れながらも、目標を誤らず押し付けると、…くぷん…と先端が蜜壺へ潜り込んだ。温かく柔らかな内壁…口の中とはまた別の感触に背筋がぶるりと震える。
「（男ってうらやましいかも…）」
必死に抱きついてくる躯と同じように、うねうねと波のように揉み上げてくる内壁に意識が霞んでくる。躯の一番感じる部分が喩えがたい程の気持ちよさを与えてくれる蜜壺を占領出来る…その悦びと強すぎる麻薬のような快感に…己にないものを持っている異性を思わず羨んでしまった。このまま押し倒して思い切り叩きつけたい衝動が理性を蝕むが、背中に立てられた爪の、チリリとした痛みに衝動を抑えられている。
「はっあっあッ！」
まだ先端しか潜り込んでいないのにも関わらず、刹那が躯中をがくがくと震わせては荒い息とともに甘い啼き声を漏らしていた。最奥に潜む悦楽の口を叩いていない分、イくには中途半端な快感なのだろう…どうにも出来ないもどかしさにどうしたらいいのか分からず身悶えている。
「…せつな…」
「んぅっんっんんッ！」
少しでも宥められれば、と思い背を撫でてやったが、逆効果だったようだ。大げさなくらいに大きく背筋を仰け反らせ、勝手に震える躯をどうにかしようと唇を噛んでいる。
「…っは…きもち…よすぎた…か…」
散々指で嬲った蜜壺は剛直な華芽を受け入れて尚、貪欲に欲しているようだった。びくびくと腰を跳ねさせてはゆらゆらと桃尻を動かし、奥へ導こうとしている。表情を見る限りにも、痛みを感じている様子はないことに、唇を舐めて腰を鷲掴んだ。
「ッひぅ…いっぃやぁあぁぁぁぁぁッ！」
「んッ…くぁっ…」
本来突き破れば痛みを伴うはずの処女膜を先端でつつき、狙いを定めて力の限り押し付けた。頑なな膜を突き破り蜜をたっぷりと溜めたナカへと華芽が入り込む。優しく包み込む温もりに躯がぶるりと震えた。
「あぁ…ぁぁああぁ…ぅ…ん…」
胎内に質量のあるモノを埋め込まれる圧迫感に息が絶え絶えになってしまう。酸素が上手く取り込めずぼんやりと霞む視界には天井しか写っていなかった。ゆらりゆらりと揺れるその天井に…なにかが重なり始める。
黒い…暗い…重い………遠くで響く…悲鳴…
「…ぁ…ぁ…ぁ…」
「…せつな…」
どこかへ墜ちていきそうな意識は甘く掠れた呼び声に引き戻された。未知の衝撃に反らしたままだった背を抱き寄せられて顔を寄せられる。
「…だいじょうぶか…？」
「…ぁ…ん…」
頬を優しく撫でる指先と煌めく碧の瞳が冷えかけた思考を温かく包みこむ。上気した頬に指をそっと伸ばすと微笑が浮かべられた。投げかけられた言葉に小さく頷くと、唇を重ねられる。頭を撫でる変わりのように舌を擦りつけられ、熱を分け与えるように絡められた。
「…ぁふっ…」
たっぷりと絡められてようやく解放されると舌先がじん…と痺れていた。離れていく唇が恋しくてやわらかな髪に指を差し込み、引き寄せる。一瞬驚いた表情をされたが、抵抗されることなく再び唇が重ねられた。
「んっ！？」
戯れる様に舌同士を擦り合わせていると背に回された片方の手がするりと下りていく。揉みこむ様に桃尻へ指を這わされ、密着した谷間へと押し込まれた。
「んっ…んふっ…ぅ！」
蜜口のすぐ下を指先で撫でられると胎内に感じる熱の塊を強く締め上げてしまう。じわりと移ってくる熱に頭の芯まで痺れてきた。重ね合わせた唇では満足に空気が取り込めず、息苦しさに閉じた瞳を開くとニールの瞳がじっと見つめてきている。
「…んぅ…ぅ…」
絡める舌をそのままに軽く吸い上げると、間近に見える紅の瞳が眇められる。切なげに寄せられた眉がきゅっと間隔を狭め、華芽を咥えた蜜壺がゆるりと揉み上げてきた。絶品以外に言い表しようのない蜜壺は、入り込んだ瞬間に排除しようとしていたくせに…今はもう…貪るようにうねりを見せている。
「ッは！…ぁっ…っふ、うぅ…」
細かく躯を震わせるようになってきた刹那に、そろそろ解放してやるか…と勿体つけながら唇を離すと一気に酸素を取り入れようと大きく息を吸った途端、くたりと凭れかかって来た。
「…せつな…」
「…ぁ…ぅん…？」
「すっごく…きもちぃ…」
「っ…ぁ…ぁ…」
全く力の入っていない躯を抱きよせ肩口に頭を預けさせると、すぐ傍に見える赤い耳に声を吹き込んだ。鼓膜を擽る吐息すら強い刺激になっているのか、ぴくっと躯が跳ねる。
「…くるしく…ない…？」
「…んぅ…」
小さく頷いて答えてくれた刹那の頭をそっと撫でてやった。悦楽に溺れる躯が背中へぎゅっと抱きつき絶え間なく華芽を刺激してくるものだから、暴れたい衝動が次々に襲いかかってくる。衝動に負けないように、と頭を撫でて誤魔化しているのだが…あまりの気持ちよさに我慢も限界に近付いていた。
「…ぁ…ぁ…」
呼吸の度に蜜壺へ咥えこんだ華芽の楔が意識されるのだろう…小さく喘ぎ続ける刹那をそっと窺う。苦しさや痛みと言った虐待的な雰囲気は今のところない。むしろ、うっとりと心地よさそうにすら見える。
「っあ…ぁあ、んぅ…」
するりと互いの体が一つに繋がった場所へと手を滑らせる。いっぱいに口を開いた花弁が、欲情のままに膨らんだ華芽の楔をぴったりと咥えこんでいた。
「…あぁ…」
「…んっ…ぅ…？」
「ちょっと…嬉しくて…さ…？」
「…な、に…が…？」
ラヴグッズの説明に…大きさや長さは個人差になる事が書かれていた。華芽を通じて使用者の興奮や欲情具合からその形を変えるというソレは…説明通り、想像以上の立派な楔へと育った。その形や大きさから、刹那には辛いのでは…と心配していたのだが…
「刹那が…ぜんぶ…うけいれてる…」
「…？…ぅん？」
途中までだろうと思っていた楔は刹那のナカにすべて納まっている。その証拠に、刹那の桃尻がニールの内腿に密着していた。花弁の口を撫でてみても、すべて呑みこんでいることが分かる。
「今、俺達さ…ひとつになってんだ…」
するりと花弁を撫でるニールの動きと言葉で改めて認識する。肌同士が密着した上で、自分のナカに存在する…己とは別の温もり…その熱を意識する度に躯の芯が疼き、腰の奥がむずむずするような感覚に陥った。きゅっと締まる蜜壺を自分でも意識してしまい、締める度に耳元で乱れるニールの吐息に胸がとくりと大きく跳ねる。
「…ろっくぉ…」
「せつな…ニール…だ」
「…ぇ…？」
「ニール…って…呼んで…？」
そっと顔を覗き込んできたニールの表情が綺麗な笑みを浮かべている。ふわりと開く唇で紡がれた言葉に首を傾げると、甘えるように額を合わせてきた。
「…にぃ、る…？」
「…ん…」
「……にぃる…」
「…ぅん…」
確かめるように呼んでみると嬉しそうな笑みで頷いてくれる。もう一度呼ぶと、胎内で熱塊がふるりと震えた気がした。
「にぃ…る…」
「…せつな…」
互いに熱に浮かされた声で呼び合う。少し舌っ足らずに聞こえる声は酷く甘く感じられ、重ね合わせた胸がとくとくと早打ちを始めた。
「ッぅあぁ！？」
「…せつっ…な…っ！」
舌の上で転がすように名を呼び合っていると、唐突に脳天まで貫く衝撃に襲われた。びくっと躯を跳ねさせ嬌声を張り上げると、ニールの切羽詰まった声が続く。
「あッひ、あぁ！あ、ぁ、あぁう！！」
霞む視界が一瞬跳ね上がったと思うとがくりと落ちていく。その状況が何度も繰り返される内に、躯が上下に跳ねさせられているのだと気が付いた。けれど、何か言葉を紡ぐ事も出来ず、四肢を貫く衝撃が上げられる瞬間に…落とされる瞬間に…絶え間なく襲いかかり、頭の中が真っ白に埋め尽くされていく。
「やっ！やぁう！！」
何も分からなくなる事への怯えが、首を必死に振らせる。けれど容赦なく襲い来る波に逃れる術すら見つからなかった。
縋る物を求めた手が背中に回される。爪を立てて必死に流されまいと耐えているのだろうけれど、打ち付ける腰の動きにびくりと大きく跳ねる様にもっと酷く叩きつけてしまった。
「やっやっもぉッゆる、し、てぇ！」
鼓膜を震わせる懇願の声に気付いてはいても、理解して答えてやることが出来ない。顎を反らせて泣き叫ぶ刹那にもっとと求める心のままに躯は動いてしまう。首を振るい、涙を散らせる貌は鳥肌が立つほどに妖艶さを纏っていた。
「あッあぁうッひっぅうんっ！」
かたかたと震える躯と朦朧とする頭の中に助けを求めてニールを見下ろす。すると潤んだ瞳と上気した頬にどきりとした。
「…せつな…」
「あぁっんっく、ぅ！」
「…イきそ…」
「んぁ！ゃあぁっ！」
すぐ近くに見える紅い瞳の端から生理的に溢れ出した涙に口付けて吸い上げる。触れる唇にも啼き叫ぶ刹那に瞳を細めてぞくりと粟立つ躯に絶頂が見えてきた。抱きかかえた躯をベッドに押し付けると、逃がさないように手を押さえつける。
「ひっぅ…！」
「…せつっな…ッ！」
ぎゅっと押し付けられる手首にぞわりとした恐怖が湧きあがったが、掠れた甘い声と繋がった場所の熱にすぐ溶かされていった。ふるりと震えて瞳を上げると、じっと見下ろしてくる一対の碧色…泣きたくなるほど美しいその色に唇が戦慄いた。
「…せつな…一緒に…イこう…？」
それは今までに聞いたことのない甘美な音だった。手首から手の平に移動してきた指に、己の指を絡めて縋るように強く握る。意味のある言葉を全く紡げなくなった唇の変わりに微笑むことで返事をして彼女の躯に足を寄り添わせた。
「ッんぁあぁぁぁッ！」
返事を正確に汲み取ってくれたのであろうニールの微笑みに見惚れていると、躯の中に台風のような嵐が巻き起こった。感じるままに背を仰け反らして大きく啼き上げる。すぐ目の前に寄せられた唇からも荒く吐き出される呼気に頭の中がくらくらと揺れていった。
「せつっ…なっ…せ、つなぁ…ッ！」
「に、るぅッ！」
舌っ足らずな声で名前を呼ばれるとぞくぞくとした悦楽が駆け上がりそれとともに刹那の顎が綺麗に反らされる。イったのだと理解する前に目の眩む快感が突き抜けた。思わず目を閉じると、ぶるりと震えて胎内に溜まった熱が吐き出される。
「…っふ…ぁ…」
あまりの心地良さに、猫が伸びをするような動きで上体を伸ばした。背筋を伝いあがる悦楽の感覚が脳に染み渡る。男と同じように射精をすることが出来るが、その吐き出されたものはあくまで胎内で生み出される蜜を濃縮したものだ。二人の子供を作る素にはならないが、互いの絶頂が重なる瞬間の心地良さに変わるものはない…とうっとりしたため息を吐き出す。
「…ぁ…ん…」
「っ…ふ…ぅ…」
互いの荒い呼吸に耳を傾けふと瞳を開くと、くたりと横たわる刹那の顔が見える。前にも一度使ったグッズでもあるが、ここまで心地良かったのは初めてかもしれない…と頬が弛んだ。
「んっ…ん…」
唐突に階段を駆け上がった後の様な衝動に、呼吸が全く整えられない。薄く唇を開いたままに胸を上下させていると、頬を柔らかな感触が擽った。ぴくりと震えて瞳を開いてみると、うっとりと蕩けたような笑みを浮かべるニールが口付けを落としてきている。
「…んぅ…ん…」
くすぐったさに身を捩る刹那はまるで猫のようでますます可愛い。飽きる事無く口付けを落としていたが、ぷるりと熟れた果実のような赤い唇が美味しそうで思わず口付けてしまった。
「…ん…」
鼻にかかった吐息はニールの唇の中に吸い込まれた。ぺろりと舐めてくる舌と同じくらいに温かい感触が躯の中心にじわりと広がる。まるで布に絵の具の水を垂らした様にゆっくり広がっていく熱は酷く心地良かった。そろりと離れていく唇を無意識に追いかけると、額に口付けられる。
「…気分はどう？」
「んっ…ぅ…？」
「気持ち悪くなってない？」
「…ん…」
優しく問いかけるとふわふわとした声音で答えてくれる。恐らく睡魔が襲い掛かっているのだろう。幸いにも今日は土曜日で学校は休みだ。自室と違って生徒会棟には限られたメンバーしか来ない。しかも鍵はニールが持っているのだから、誰も入ってこないのだ。
だからこのままもう一眠りしてもまったく問題はない。
「…眠い？」
「…ん…」
「寝ていいよ？起きるまでずっと…傍にいてあげるから。」
「……ぅん…」
今にも落ちそうな瞼の向こうに紅い瞳が隠された。完全に力の抜け去った胎内から己の一部を抜き取ると、僅かに躯が跳ねる。けれど起きた様子はなく、穏やかな寝息が繰り返されていた。
「…おやすみ…刹那…」
＊ ＊ ＊ ＊ ＊
嵐が去った月曜日。
まるで何事もなかったかのように晴れ渡る空が一部の生徒に睨まれていた。もしあのまま雨が降り続けていてくれたなら球技大会は中止になっていたはずだ。運動嫌いな生徒にとって澄み渡る快晴はにっくき敵でしかなかった。
開催宣言を生徒会メンバーで催すことになっているため、メンバー一同は体操服ではなく、先日出来上がった新撰組の衣装に着替えるべく生徒会棟に集っていた。
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