男らしい骨ばった、温かい手が飽きる事無く嬲ってくる。両手を太腿の上で拳を作りぞくぞくと駆け巡り始めた快感を耐え忍んだ。

「ぁんっ!」
「すっげ……コリコリ……」
「んんっ……」

 ゆさゆさと揺れる胸を好きなだけ弄ると色濃く固くなっていく実が美味しそうに熟れてきた。摘んでくれと誘っているかのような実をきゅっと摘めば刹那の背が仰け反られる。けれど摘んだままの実に胸が引き伸ばされて眉を切なげに潜めた。

「ぁ……っぁ……」
「しゃぶってやりたいけど……最後の一枚を脱いでもらわないとな?」
「っは……ぁ……」

 くにくにと指先で散々捏ね回したかと思えばおもむろに手放されてしまった。すっかりじんじんと疼くほどに熟した実が腰の奥を疼かせる。……じわり……と腹の奥で広がる熱に足から力が抜け落ち、ぺたりと座り込んでしまった。手をついて乱れた呼吸を繰り返しながら見上げると瞳を眇めて笑みを浮かべるニールの顔がある。

「……最後の、一枚……」
「……ん……」

 ぴっと指された下半身に残るランジェリーを示されておずおずと指をかける。脱ぎやすいように…と膝立ちしてところでまた声を掛けられた。

「刹那……後ろ向いて脱いで?」
「……ぅん……?」

 新たに出した指示に首を傾げながらも刹那は素直に後ろ向きになった。胸を隠せる、という理由もあるかもしれないが残念ながらそれ以上に恥ずかしい場所を晒す事になっている事を彼女は理解しているのだろうか?
 もじもじと腰を揺らしながら腰から薄い布を下ろしていく。ヒップが丸見えになるとソコから下に下ろすには自然と前かがみになる。するとぷるりと弾けそうな桃尻が突き出すような格好になった。

「!」
「どうした?刹那」
「……〜……」

 どうやらその姿勢に何を見ているのか気付いたらしい刹那が肩越しにちらりと振り返る。にやりと笑みを浮かべると耳まで赤くなってふいっと顔を反らしてしまった。震える手で太腿から膝へとするする下りて行けば魅惑的な弧を描く肌の隙間からとろりとした蜜を纏う花弁が垣間見える。
 卑猥な光景にぺろりと舌舐め擦りしていると足からランジェリーを抜き取る為に刹那が腰だけを高く上げて上体を伏せさせた。

「……っふ……」

 やっと脱げた、と思わず脱力してしまう。いつも服を脱ぐのにこんな緊張することなどないのに、とやけに長く感じた時間にため息を吐き出した。

「ッ!?」
「そのままでいろよ?」

 ようやく一仕事こなせたとばかりに脱力してみせる刹那を見下ろしながらニールはすぐ傍に立った。綺麗に反った背に解いたロープを垂らせばびくりと大げさなほどに躯を跳ねさせる。今から始まる未知の体験に床の上できゅっと握り締められる両手。その光景にますます興奮させられた。

「両腕を上に上げて……」

 指示を出せば不安そうに見上げながらも両腕を上げる。ヨガのポーズにあるような格好になった体を跨ぎ、膝を付くと無防備な胸にロープを回し始めた。
 2回、3回と鎖骨の下をぐるぐると回されると今度はアンダーバストに回し始める。胸を挟んだような光景にこくりと喉が鳴った。この後はどこに回されるのだろう?とじっとしていると背中でロープの擦れる感触がする。離れた位置にあったロープの束を一纏めにしたらしく、ぎゅっと撓る音がすると肩と首の間からロープが落ちてきた。

「上体を上げて……今度は……背中で組んで」
「……ん……」
「そ。いい子だ」

 目の前に落ちてきたロープが胸の谷間で絡められていく。ぎゅっと締められるロープが胸をさらに強調し、反対側の肩を通って背中へと戻っていった。すると予想通り、今度は腕を縛り上げられる。

「ふむ……うろ覚えの割に上手くいってんな」
「……うろ覚えなのか?」
「んー?だっていくらなんでもこういう事出来る機会があるなんて思ってなかったし」
「……その割にはしっかりとロープが用意されてるが……」
「うん。手首縛るくらいは出来る範囲かと」
「……あんたの基準は分からない」
「分からなくていいよ」
「んっ!」

 くすくすと笑いながら両手を戒めたロープを強く締められる。擦れる縄の感覚に小さく悲鳴を漏らすと謝罪の代わりに頬へ唇が寄せられた。それでも痛いものは痛いのだと睨みつけると今度は優しく口づけられる。

「はい、御対面〜」

 再び前へと回されるロープとともにニールが回りこんできた。まだまだ長さのありそうなロープに今度はどこに回されるのか、と興味津津に見つめていると、ニールもこちらをじっと見つめてきていることに気付く。ぱちくりと瞬くとその唇がにっと弧を描いた。

「……えっろ……」
「!」

 じっくり鑑賞されていたのだと気づいた瞬間、刹那の頬が真っ赤に染まる。普段ならば、俺の裸体など見飽きただろう?とか言うくせに、わざと口にするとこうやって赤くなってみせるから止められない。しかも、視線を感じている為が、何もしていない胸の実が赤く、色濃く熟し始めている。
 不意に顔を近づけるとその分逃げようとするのだが、生憎と手に収まったロープが一定の距離を保ち、それ以上は離れられない。

「っ……」
「もっと卑猥な格好にしてやるからな?」
「ッん!」

 少し離れてしまった躯を胸に巻き付けたロープを引いて引き寄せる。肌を擦れるロープに刹那の声が小さく漏れるのを聞きながら赤い紐を下半身に伸ばしていった。

「んっ……ぅ……」

 腹部でオーソドックスな亀甲縛りを完成させると、残りのロープを更に伸ばして股上に迫った。間隔を図りながらいくつか結び目を作ると、しっとりと濡れる花弁へと宛がっていく。

「ッひぁ!?」
「こぉら、暴れないの」

 ただ宛がうだけに留まらずきゅっと喰い込ませるとさすがに細腰が逃げを打った。躯を抱き込み逃げられないように、暴れないようにと捕らえてしまうと抵抗を止めない桃尻がふりふりと動く。逃げる為の動きと言えど、卑猥でしかないその行動に息が乱れる。

「ッあぅ!」

 更に強く引けば、途中に作った結び目が華芽を押し潰し、可憐な花弁に食い込む。腕を縛った位置まで伸ばして固定すると紐の張り具合を探った。

「っん!ひっ、ぅ……!」

 くいっと紐を引くたびに身悶える刹那を密着させた躯で感じ取り、弛める必要がないな…と手を離した。するとまだ余裕のあるロープにしばし考える。

「なっ……どこ、までっ……」
「んー……片足くらいならわけないかと。」

 考え込む間に止まっていたせいか、もう縛り終えたのだと思っていた刹那の慌てた声が聞こえる。それを無視して片方の足を掴み上げると折り曲げた状態で縛り上げた。

「本当は両足がいいけど……また今度、ね?」

 きゅっと音を立ててようやく縛り終えたニールが耳元で一言呟きを零した。その内容に思わず目を瞠ってしまう。にこやかな貌を凝視していると、ちゅっと柔らかな口づけを与えられて躯を抱えあげられた。

「っ!」

 片足以外はすべて拘束された躯はベッドの上に転がされても自分で動かすことはままならなかった。どうにか片足を使って下敷きになった腕を逃がそうとしたが横に転がるのが精いっぱいだ。

「………」
「……にぃる?」

 躯の下敷きになった腕が少し楽になってほっとしているとベッドのすぐ傍に立ったままのニールを見上げる。顔の半分がシーツに埋もれているのでちゃんとは見えないが、逆光の中、細く眇められた獰猛な瞳だけは鮮明に映った。

「思った以上だな」
「何、が……?」
「……『獲物』の身悶える様……」
「!」
「……ぞくぞくする……」

 吐息混じりのそこ言葉は刹那の腰を甘く疼かせるには十分だった。

 * * * * *

 悪戯に先端を指先で弾けば、甘い嬌声を上げながら背を反らせる。たわわに弾む胸の先で待ち望んだ刺激を受けた実が色を一層濃く染め上げた。

「なんだよ?刹那……いつもよりも敏感じゃねぇ?」
「あっ……ぁう……ぅ……」

 一度弾いただけだというのに、反り返った背を揺らして刹那が身悶えている。がくがくと躯を震えさせる度にぷるぷると震える胸は、もっと苛めて、と強請っているようだ。試しに実の先端へ指を乗せるとぴくっと躯を跳ねさせている。

「……あぁっ……ぁ……あぁあ……」
「ちょっと弄っただけなのに……こんなに感じて。最後まで保たないぜ?」
「ひゃう……っ!」

 くにくにと2・3度捏ねて付け根に爪を引っ掛ける。それだけで刹那の躯は面白いくらいにぴくぴくと跳ねた。

「そんなに焦らしてないよな?」
「っはぅ……っん……!」
「なのにびんびんにしちゃって……」
「あっあっあぅっ……」
「縛られるの……そんなに気持ちいい?」
「ひぅっん!」

 引っ掛けた指先をバイブのように小刻みに動かせば、首を打ち振るって身悶える。声にしても表情にしてもかなり気持ち良さそうだ。今これでこの実にしゃぶりついたらどんな風に乱れるだろう?脳裏に浮かぶぞくぞくとした思考に喉が干上がる。乾いた唇を舌で舐めて湿らすとちらりと視線を下ろした。

「あぁ……胸だけじゃないな?」
「……ぁ……ぅう……」
「華もびちょびちょ……」
「やっ!……っみる……なぁ!」

 おもむろに足を掴むと思い切り広げさせた。縛り上げた足が固定されているせいもあって呆気なく全開に出来る。唯一自由な足をなんとか離させようと暴れるのだろう、掴んだ足首に力が篭った。
 ………が……

「ひぃッ!?」

 突然びくりと跳ねて力が抜け落ちてしまった。どうしたのだろうか?と首を傾げると内腿がかくかくと奮え、腰を捩っている。その様子を観察していると、ふと一つのことに気付いた。

「……縄が食い込んだのか?」
「ひっ……ぁあ……ぁ……」

 腰をもじもじとくねらせ、足を震えさせる。顔を見上げればとろとろに溶けたような表情だ。ココまでなる理由と考えるが、さほど考え込む必要はなかった。
 なぜならソコが大量の蜜をこぼし始めたから……

「うーわ……すっげぇ量……」
「はっ……あ……ぅ……う……」

 あられもなく開かされた足の中心にニールの視線が突き刺さる。さきほどから腰を捩れば捩るほど宛がわれた縄が華芽をこりこりと押しつぶし、その快感に腰が勝手に揺れる。泥沼としか言いようのない連鎖反応だ。ぞくっ……ぞくっ……と背筋を走る悦楽に口がだらしなく開いたまま閉じることが叶わない。

「ぁ……あっ……ぃやっ……や、ぁ……っ!」

 止められない腰の動きと絶え間なく襲い掛かる悦楽の波に躯を甘く疼かせる。何とか耐えようと思った矢先、自由な足を引きずり上げられる。すると足を高く上げた開脚状態にされてべたべたに濡れた秘所が晒された。
 それだけならまだしも……内腿を伝いニールの唇が近づいてくる。

「だ、め……だ、めぇ……っ!」

 今アソコに吸い付かれるなり舐め上げるなりされては頭が可笑しくなってしまう……その恐怖にふるふると頭を振って訴えるが、薄く笑みを浮かべたニールは聞き入れてはくれない。

「……ぁ……ぁ……ぁ……ッ!」

 近づく……触れられる……壊れてしまう……
 それらの恐怖に震えているのかと思えば、そこに確かに滲み出る期待の色。その色を見つめてニールはにじり寄るように伝い昇る。しっとりと汗ばみ始めた柔肌。近づく間にもとろとろと蜜を溢れさせる淫靡な秘裂。赤く色付く肉華がひくつき、食い込ませたロープを美味しそうに食んでいた。
 むせ返るような蜜の香りを目の前にしてニールは息を吹きかけた。

「ひぁん!」

 びくりと背を反らして敏感な肉が受けた快感を味わう。けれどそれ以上は何もされず、近くに合った気配も少し遠のいてしまった。

「……っは……ぁ……あ……」

 落胆とともに吐き出された呼気。そんなつもりはなかったのに期待をしていた分、何もされずに開放されてしまって悲しかった。いや、もしかしたら自分が「いやだ」と言ったからかもしれない。後悔に苛まれる胸に痛みを伴いながらもニールを見上げる。早くこの躯を蹂躙してほしい、という願いとともに見つめると苦笑を返されてしまった。

「そんな目しないの」
「……だ……って……」
「焦らしすぎだってんだろ?分かってるよ」
「……ん……」

 謝罪の代わりに口付けられて甘い吐息をもらす。すぐに離れた唇は目尻にも押し当てられた。

「たださ。もう少しだけ……刹那を支配してから嬲ろうと思って」
「……え?」

 にっこりと微笑んで告げられた言葉にきょとりと瞬く。けれど彼は説明もせずに体を伸ばすとまた引き出しから何か取り出し始めた。首を反らしてみるもまったく見えず、大人しく待っていると取ったものを目の前に差し出される。

「コレはなんでしょう?」
「……???」

 至極楽しげに見せ付けられたものを凝視する。
 ボール。といえばボールなのだが……大きさとしてはピンポン球と同じか、少し小さいくらい。4箇所穴が開いており、球体の中心を紐が貫いている。だがうっすらと刻まれている曲線の形は見覚えがあった。

「……ハロ?」
「……のカラーテスト用フィギュア」
「……カラーテスト?」
「色んなカラーを作るのはいいけど、思う色を作るのにこういう小さなボールに試し塗りしてカラーバランスを見るんだよ」

 そう言ってよく見える様に…と目の前で翳して見せてくれた。そんな代物もあるのか、と感心していたが、ふと疑問が湧いてくる。

「………それで?」
「これを道具にするんだよ」
「……どう、ぐ……?」
「そ。ちゃんと消毒してあるから衛生面も問題ないしな?」

 上機嫌に教えてはくれるのだが、問題とする事柄が分からない。ますます首を傾げる思いをしていると、つ……と唇に指を当てられる。

「口開けて?あーん、って」
「?……ぁ……」

 言われるがままに口を開く。指でも突っ込まれるのか、と身構えていたが、押し込まれたのはミニハロのボディだった。

「んぅ?!」
「はぁい、いい子ですねー」

 ぐいっと押し込むと左右に伸びた紐を頭の後ろで固定してしまう。そうすれば、口が開いたままの状態にしてやることが出来た。


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