ヴェーダ奪還に向けて綿密な打ち合わせとフォーメーションの確認をしていく。少しでも、僅かでもいい。生き残る可能性を高める為に各自が入念な準備を積み重ねている。
そんな中、ライルはケルディムのシミュレーションを使用して敵ユニットを次々落としていく。黒幕の居場所が明らかになった今、最終決戦が目の前に迫っていることは確かだ。少しでも戦闘に対する自信を付けて隙を作ることはしたくない…そこまで思考を巡らせてちらりと視線を走らせる。
そこにはダブルオーの上で同じく調整とデータの確認をしている刹那の姿がある。その涼しげな表情を見ながらケルディムのシステムを落とす。ふわりと微重力の中体を浮かせてダブルオーへと飛び移る。モニターと睨めっこしていた刹那が顔を上げたタイミングで笑みを向けた。
「なぁ、刹那。相談したいんだけど……後で部屋に行ってもいい?」
「あぁ、構わない。」
予想通りの了承の返事に内心「よし。」と頷いて先に上がることにする。温度調節がなされた空間といえど、やはり動き回れば汗が噴き出るもの。一端自室に戻ってパイスーから着替えるついでにシャワーも浴びたいのだ。ひらひらと手を振って先に行くことを示せばこくりと頷いて返してくれた。ハロを小脇に抱えキャットウォークを移動していくと背中に鋭い視線が突き刺さる。振り返らなくても誰の視線かなど分かっている。
レンズ越しにも燃えるように赤い瞳の持ち主だ。
* * * * *
「入れ。」
インターフォンを鳴らせばすんなりと開かれる扉。ライルが行った後にティエリアが何かしら吹き込んでいたかと思っていたのにどうやら外れたようだ。それはそれで好都合か、と部屋に入ると刹那はソファ代わりのベッドを開けて自分は備え付けの椅子へと腰掛ける。それを確認したあとライルは刹那に近付いた。
「……何の真似だ?」
不意に顔を近づけたので僅かに肩を跳ね上げて、更に近付こうとするものだから、手で触れそうになる唇を押さえつけた。ぐっと押しやって問い質せば抑えつけた手が邪魔だと言わんばかりに掴み捕られる。
「何って相談だけど。」
「?……相談で何故顔をここまで近づける必要がある?」
「鈍いなぁ……欲求不満の解消に付き合って欲しいってことなんだけど。」
「ッ!」
ストレートな言葉をぶつけると刹那の瞳が見開かれる。その顔にうっすら笑みを浮かべると再び近づいた。両手を封じられた状態では押し返すことが出来ず、慌てて顔を背ける。
「ま、待て!何故俺なんかをっ……?」
「何故って……あんたが原因じゃん。」
「え?」
「俺の相方になる女をあんたが殺したんじゃん。」
「っ……」
「それに刹那にとっても悪い話じゃないと思うぜ?」
更なる困惑に突き落とされたような表情の刹那に、ライルもさも可笑しそうに言葉をつなげていく。
「兄さんがいなくなった今、そっちこそ溜まってんだろ?」
「なっ……!」
かぁっと桜色に染め上げられた頬に「こんな反応を返せるんだ」と感心してしまう。常には見られない刹那の反応に嗜虐心が更に刺激される。
「1ヶ月開いたくらいであそこまで乱れてたんだ。今だって疼いてるんじゃないの?」
「そっそんなことっ……」
以前ひょんな事から実現してしまった3Pでの刹那の乱れっぷりを槍玉に挙げれば刹那から冷静さが奪われていく。掴んだ両腕を引き寄せて力強い抱擁を施せばさすがの刹那でも身動きが取れないようだ。苦しげな表情を浮かべて、それでも強く睨みつけてくる。
「データの打ち込みで疲れ果てるまでやりこんで無理矢理抑え込んでるみたいだけど……ちゃんと解消させないと辛くなるぜ?」
「余計な世話だっ……」
なんとか拘束から逃れようと必死に腕を突っぱねている様を見ながら最後の手段を講じてみる。これなら確実に刹那は頷いてくれる。そんな目論見の中考えた言葉。
「あんたが相手してくれないなら他を当たるまでだけど?」
「……」
「地上に降りれない状態じゃクルーの誰かだよな?」
「!」
「妥当な線でいくとスメラギか……ちょっと物足りないかもしれないけどミレイナでもいいかこの際。」
「……ッ!」
「あぁ……フェルトがいたな。」
「ッやめろ!」
さも考え込んでいるように斜め上へ向けていた顔をゆっくりと戻してくる。……と、そこには思惑とおりの焦った表情をした刹那が襟元を掴み掛かっていた。心の中でほくそ笑みながらも表面では無表情で決め込みじっと刹那の言葉を待ち続ける。すぐに望んだ通りの言葉を紡ぐはず。
「俺の……体を使えばいい……」
「……上出来。」
にやりと笑みを刻んで僅かに震えるその唇を奪いにかかった。
「んっ……んぅっ……」
唇が触れ合った瞬間に肩が跳ねあがったが、気にせず重ね合わせると大人しくされるがままになっている。頑なに開かない扉を舌で執拗に突けば観念したのかおずおずと開かれた。重ねた唇で「いいこ」と囁くと閉じた睫毛がふるりと震える。差し入れた口腔内で縮こまった舌を絡め取ると、軽く歯を立てて甘噛みをした。柔らかな弾力と唇の端から漏れ出る声に己が高ぶっていくのを感じ取る。
「……ふ……ぁ……」
ようやく解放すれば二人の間に銀糸が細く伸びてぷつりと切れた。すっかり呼気の荒くなった刹那がとろりと熱に溶けた瞳でぼんやりと見上げてきている。
「……残酷だよなぁ……」
「……え……?」
「こっちの話。」
ぽつりと呟いた言葉に首を傾げる刹那を横抱きにしてベッドへと乗り上げる。未だぼんやりとしたままの刹那に覆い被されば不安げな瞳が見上げてきた。
「目隠ししようか?」
「……?」
「見えると萎えない?」
「……ライルだからか?」
萎える、という言い方は正しくはないかもしれないが、それでも刹那は正確に読み取ってくれたようだ。
「そ。いくら似てるって言われても刹那にとっちゃ似てないだろ?目隠しで誤魔化さなくてもいいのか?」
「構わない。ライルの好きにすればいい。」
「……そりゃどうも。」
即答の彼女に掛ける言葉もなくなり、これで遠慮なくヤっても同意の上という事になる。たとえ終わった後に刹那が心を痛めても了承した以上は責められることもないだろう。軽くため息を吐き出しているとそっと刹那の手が伸びてきた。
「……ライルはいいのか?」
「ん?」
「……俺なんかで……」
頬を滑る指先は慰めるように触れてくるくせにそれ以上は何もしない。自分には慰める資格はないし、とぼしめられても当然とでも思っているのだろう。なのに触れる指先はとても優しく真綿で首を絞めるように柔らかな痛みを与えてくる。
どこまでも優しい刹那。
その不器用な優しさでどれだけの人を救いあげるのだろう?
切なくなる胸の内を明かさないように仮面を被ったまま頬に触れる手を掴み取った。
「……言っただろ?」
「………」
「あんたのせいだって。」
無表情の中にも僅かな瞳の揺れを見逃さなかった。それでも己の態度を貫くには棘の付いた言葉しか返せない。それが酷くもどかしいが、こうでもしなくては刹那には触れないと理解しているだけに、この『芝居』を続けなくてはいけなかった。
すべては刹那に触れる為。
たった1・2時間であっても刹那を独占する為。
言い聞かせるように掴んだ手に唇を添わせて軽く噛みつく。ぴくりと指先が跳ねるが逃がすことはしなかった。
「まだ何かある?」
「……いや……ない。」
「続けるけど。」
「好きにしろ。」
躊躇なく返ってきた答えに若干のいら立ちを感じながらも顔を伏せた。
* * * * *
シーツに顔を伏せてぎゅっと握りしめられる指先がどれほどの快感を味わっているのか克明に表している。けれど当人は自身の感覚を禁じるように決して快感に身を任せたりはしない。その頑なさにますます興奮を覚える。
「んっ……くぅ……」
甘い声に酷く欲情しながらもその表情を見るのが怖くて後ろから抱き締めた。高く上げた桃尻を撫でながら蜜が垂れるほどに潤った花弁を擦り続ける。手のひらいっぱいに掴み取れる胸を揉みしだきながら震える背に口付けた。
「……ん……っふ……ぅ……」
どこに触れても敏感な躯のしっとりと吸いつくような肌を堪能し、とろとろと蜜をあふれさせ続ける花弁をさらけ出すべく桃尻を割り開いた。
「ッ……」
「……すっげ……」
外気に触れてびくりと震える刹那を無視して花弁の中までも見えるように捲り上げる。酷い羞恥に襲われているのか、内腿が微かに震えているようだ。じっと見つめていると紅く熟れた花弁が視線に耐えられないのか、ひくりと震える。ぱくぱくと開閉を繰り返す蜜口が透明な蜜を垂れ流し、つんと尖った花芽をしとどに濡らしていった。
「ッひぁあ!!」
花の蜜に誘われるように口付ければ刹那の嬌声が一際高く上がった。流れ出す蜜を舌先で掬い取り、唇を付けて啜り上げると細腰が逃げうつ。けれど桃尻に食い込む指が逃がすことなく押さえつけてしまう。
「……ぁ……ぁ……っ」
あまりに強い快感の波にシーツを掴む指先が白くなっている。それでも口内いっぱいに広がる濃厚な蜜を味わい尽くすように決して唇を離さなかった。花弁を嘗め回し、いたずらに花芽を突く度に漏れる嬌声を楽しみ跳ねる躯を手で感じ取る。一連の動作に恍惚とした気分が胸に広がる中で一際大きく背筋が跳ね、叫び声に近い嬌声が発せられた。
「ッあぁぁぁぁぁーッ!」
ぷしゅっと音を立てて潮が吐き出される。どうやら舌での愛撫だけで達してしまったらしい。イくまで攻め立てられた事に満足げな笑みを浮かべてライルは一度口を離す。顎に伝う雫を手で拭い、弛緩しきった躯で荒々しく呼吸を繰り返している刹那を見下ろした。肩越しに見える横顔が恍惚の表情を浮かべていて艶かしい。けれどその中に己の感じやすい躯が忌々しいのだろう、悔しげな色も伺える。
「……は……は……」
ライルの片手で支えられた腰が高く上げられたままで散々嬲っていた花弁もすべて見えてしまっている。絶頂の余韻に震える花弁の少し上で菊花がきゅ……きゅ……と蠢いていた。その卑猥な光景に思わず舌舐め擦りをしてしまう。完全に弛緩してしまっている背に胸を重ねるとまるで正気に戻ったかのようにぴくりと跳ねた。
「……ぁ……」
「そろそろ本番いこうか?」
耳に直接吹き込むように囁きかけると躯が微かに震えている。楔を押し付けた内腿も小さく震え、来るだろう衝撃にきゅっと瞳を閉じて耐える姿は嗜虐心を煽った。しかしその横顔にライルは一度目を閉じると腰を掴み上げていた手をずらす。
「力抜けよ……」
「……んっ……?」
頬を擽るような柔らかな口付けを落とすと強張った刹那の躯から徐々に力が抜け始める。従順な躯に小さく笑みを漏らすと頃合を見計らってご褒美の口付けを目尻に落とした。
「ッ!?」
「ちゃんと力抜いておかないと痛いめ見るの、あんただからな?」
「ま……まてっ……ソコは……ッ!」
楔の先が当たった場所に刹那がうろたえる。けれどライルはまったく取り合わず腰を押し進めた。途端に強張る躯に侵入を阻まれるが、ずらした指で花芽を押しつぶすとびくりと背が仰け反り弛緩していく。そのタイミングを狙って更に腰を密着させると楔の切っ先がもぐりこんだ。
「ッうぁぁ!!」
「……はっ……きっつ……」
「あっ……ぐぅ……っう……」
「……もっと……力抜けっての……」
「そん……なっ……あうッ!!」
予期していなかった菊花への侵入にうまく呼吸を出来なくなる。無意識に強張る躯を持て余しているとまた花芽を嬲られ、更に放置されてしまった花弁を指が擦り上げてきた。ぬぷぬぷと蜜壷へ入り込む指に慣らされた躯は自然と受け入れるように力を抜いていく。その弛緩していく合間を縫って後ろに突き立てられた楔が更に奥へと目指して割り込んできた。
「あ、あ、あ、……」
ぞわぞわと背筋を走り抜ける波に嬌声のような啼き声が零れ落ちていく。普通なら菊花で交わる事はしないという。けれど、この躯に性感帯を植えつけた男によって快感を得る事を知ってからは最中によく弄られていた。それどころか、後ろだけでもイける躯に開発されている。そういった経緯からライルも交えて彼の楔を後ろで咥えさせられもしたのだが、最初からそちらだけで、というのは初めてだった。
「……あ……う……」
「ん……こ慣れてきたか……?」
躯を焼き尽くす楔の熱さに眩暈を起こしながらも教え込まれたようになるべくゆっくりと呼吸を繰り返していると、ようやく楔の大きさに慣れてきた。僅かに弛むまでじっと動かなかったライルが耳元で熱いため息を溢しぴくりと躯がはねる。
「……ぁ……っふ……」
「っふ……ぅ……」
敏感に跳ねる躯に連動して菊花が引き締まる。その動きにライルが息を詰めた声がした。数年前に教えられた通りゆったりと呼吸を繰り返して出来るだけ躯のこわばりを緩和させていく。するとその意図に気づいたのか、ライルの手がそっと頭を撫でてくれた。
「動くぜ?」
「んっ……ぅ……」
耳に直接語りかけられながら腰を揺らされるとそれだけでも膝から力が抜け落ちそうだった。決して突きあげることはせずに腰を密着させたままゆるゆると揺すられる。まるで傷つけないようにと気を遣われ、慣れるのをじっくりと待っているようだ。そんなはずはないと頭の中で否定しているのに、背や肩を擽る唇の柔らかさに胸の奥がきゅうっと切なくなる。
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