「あっ……んんっ！！」
「……すげ……一本なのにきっつきつだな……」
奥へ奥へと突き進む長い指が内壁を擦り上げる感覚に背が仰け反った。いつもよりもすんなりと受け入れた蜜壷に自分がどれほど彼を貪欲に求めていたかを思い知らされる。けれどまだまだ物足りないのだと訴えるようにきゅうきゅうと締め付けて胎内に埋まる長い指をリアルに感じ取った。
「ぁ……ぁう……っ……」
「可愛い声……」
「……んっ……ゆ、び……」
「ん？指がどうした？」
「ぁ……きもち、ぃ……」
「気持ちいいんだ？」
「んっ……いぃ……」
「一本だけでも？」
「あっ……やぁ！」
ぬくぬくと入ったり出たりと繰り返す指に身を捩るとおもむろに近づいた顔に口付けを落とされる。じれったさに頭が可笑しくなりそうで、助けを求めて口を開いたのに思っていた言葉と全く違う言葉が紡ぎ出される。囁かれる声に素直に頷くとくすりと小さく笑って更に奥へと擦り上げられた。中を広げられるようにくるりと回されるとそれだけで頭の中が真っ白に染まりそうになる。
びくりと仰け反る背とどこまでも堕ちそうな躯に目の前の体へ必死になって縋りついた。
「あっ……ぁ……！」
「……刹那……」
「ろっ……くぉ……ッ！」
「なぁに？」
「ッひぁ！！」
躯中が彼を求めて啼き狂っていることを伝えたくて名を呼んだが、いつもすぐに分かってくれるくせにこういう時は必ずと言っていいほど惚けては焦らしてくる。その代わり胎内に埋められる指を増やされて派手に啼き声を上げてしまった。目の前がちかちかと点滅しているような錯覚と躯の奥から湧きあがる痺れのような震えに絶頂がすぐそこまで迫っていることに気付く。けれど欲する刺激とは程遠いソレにしがみ付いた背へ爪を立てた。
「ゃ……っやぁ……！」
「どうして？」
「あっ！……んっんんっ……！」
「気持ちいいんならイっていいんだぞ？」
「あっ……やぁっ……んっ！」
「いやじゃないくせに……ほら……イけるだろ？」
「あっやぁ！ろっくぉッ……ろっくぉんんんッ！」
かき回す指の動きが荒くなり、大きく育ってしまった肉芽も弄られてしまうと抗うことなど出来なくなった。悪あがきのように首を打ち震い攻め立てる手から逃れようと、けれど溺れようとする躯に困惑しながらも快楽の海に沈んでいく。
「ん……いいこ……」
痙攣する躯を持て余し力の限り抱きつくと柔らかく抱き返してくれた。頭を撫でる代わりに口付けを降らせる彼に詰めていた息を吐き出す。未だひくりと震える花弁で指を食んでいる感触に頬を赤らめているとずるりと出て行くので躯がぴくりと跳ねた。躯の強張りが解けしがみ付いた両腕がぽそりとシーツへ投げ出される。埋めるものがなくなってしまった蜜壷が切なげに疼くのに身を捩っていると足を抱え上げられてしまった。
「あ！？」
「欲しい？」
下半身ごと持ち上げられ２色の肌色が触れ合う位置が全て見えてしまう。かっと顔が赤くなるのを自覚するが力の入らない躯では顔を覆い隠す事も出来ず、覗き込んでくる笑顔の彼を見上げるしか出来なかった。
「っん！……ぁ……ん……」
「欲しい？欲しくない？」
ぐにぐにと擦り付けられて花弁が捲り上げられる。けれどそれ以上押し入ることもせず表面ばかりを行ったり来たりする熱に吐く息がだんだん荒くなり眩暈すら起きるほど熱くなっていった。耐えようとシーツを引き寄せて縋りついたがしつこく宛がわれる楔に躯の芯がぐずぐずと溶けていいってしまう。
「っろっく……ぉ……」
「うん？」
「もっ……ぅ……」
「もう？」
「〜〜〜ッ！」
自分の躯がどうなっているかなど良く分かっているくせにこうして言わせようとする。羞恥におかしくなりそうで頭を振って愚図ると小さく笑う声が聞こえた。
「ったく……俺も甘いな……」
「ッあぁあ！！！」
動き回っていた楔がぴたりと止まったかと思うと一気に貫かれる。びりっと脳天まで駆け抜ける刺激にくらりと目の前が回る感覚に陥った。しかしぞくぞくと躯中に駆け巡る痺れがもっとと強請らせる。
「ぁ、んっ……も……っとぉ……」
「は……なに……今日は……随分、素直だな……」
「ぃ……や？……」
「まさか。……だい、歓迎、だけどっ？」
「ひゃぁん！」
蜜壷が余韻に慣れるまで動かずにいた楔が急に引き抜かれる。言葉も発せずに身を縮めると一気に最奥まで貫かれた。ナカに押し込まれて溜まった息の塊を吐き出すように嬌声が漏れる。背が仰け反りきゅうっと胎内が引き締まったのを感じ取った。
「ぁ……ぅんん……！」
「くっ……しめすぎ……だろ……っ……」
すぐ近くで息を詰める呼吸と掠れた声にぞくりと躯の芯が震える。あまりの恥ずかしさにシーツへ深く顔を埋めるとそっと頭を撫でられたきがした。ちらりとシーツの海から瞳を出すと微笑みかけている彼の顔。逆光の中にも色鮮やかな瞳に魅入られるとゆっくりとシーツが剥ぎ取られて頬に指を滑らせてくる。
「刹那……」
「……ぁ……ぅん……」
顎を掬い取られ唇が重ねられると埋められた楔が押し上げられてひくりと喉が鳴る。柔らかく重ね舐め上げて絡め取られると荒れ狂う嵐の中へと誘われた。
「っひ……あ！……あっあッあッ！！」
がくがく揺さぶられる視界の中に獣の貌が見える。すぐ傍に付いた腕に縋りつき互いに訪れる白い世界へと誘った。
「ろっくぉ……っにぃ……るぅ……ッ！」
「ぁ……ふ……ッく！」
舌先を痺れさせながら名を叫べば滲む世界の中に微笑む彼の顔を垣間見る。その直後に深く抱き締められて耳元で掠れる声を聞いた。
「っあ、あぁぁぁぁぁぁぁッ！！」
「ぅ……あ……」
胎内に広がる熱に全てが飲み込まれていく。
＊ ＊ ＊ ＊ ＊
さらさらと流れる音にゆらりと意識が浮いてきた。億劫ながらも瞳を開くと心地良かった手が遠のいていってしまう。
「………お、わりぃ。起こしちまったか？」
「……ライル……」
覗き込んできていた顔をじっと見つめながら名前を呟くと数回瞬いてから苦笑を溢される。
「教官殿にあんたを呼んで来いって言われてさ。寝てるの起こすのも悪いかな、って思ってたんだ。」
「……そうか。」
未だにぼやけている視界の中にライルを捕らえながら先程までの時間を振り返る。深く考えはしなかったが、制服を着ているはずの自分が私服になっている辺りを思うと間違いなく夢だろう。
しかもロックオン……ニールに諭されていたコルセットの留め金はとうの昔に一番緩いホックさえも越えてしまっている。新たに購入を考えたがどこに行けば手に入るのかも分からないので工夫を凝らして結局はあの頃使っていたものを続けて使っていた。多少の息苦しさはあるが使えないこともないのでそのまま、とも言える。
「眠いなら寝ててもいいぜ？教官殿にはちゃんと伝えとくし。」
「いや。構わない。転寝をしていただけだ。」
「……そ？」
「手間をかけたな。」
「や、別に。」
ぼんやりと考え事をしていたせいか、ライルが気遣う言葉をかけてくれた。それに笑みを返しながらむくりと上体を起こすとベッドから足を下ろす。ライルのすぐ横を通ったのだが、何が言いたげな表情を浮かべるものだから、振り向いて首を傾げてみた。
「……あー……と、教官殿ならコーヒー飲みに行くって言ってたからまだ休憩室かも。」
「あぁ、ありがとう。」
どうやらティエリアとすれ違わないように助言を言いたかったらしい。ありがたく頂戴して早速休憩室へと向かうことにした。
部屋から出て行ってしまった後姿を見送ってしばらく、ライルはベッドの淵に座ったまま残像を探すようにシーツへと手を滑らせた。そこにはまだ刹那の体温を移した温もりが残っている。
「………一瞬だったな……」
ティエリアの命令で刹那を探していたのはほんの数分前。居そうなところを幾つか回って……もしかして、と部屋を覗くと、無用心にも部屋のロックもかけずに寝転がっている。普段からは全く思い描けない無防備な寝姿に思わず目を瞠った。
問題が起きたのはその後………−
眉間に皺が寄っているように見えて、悪夢でも見ているのか？と慰めるように頭を撫でていたのだが、ふと開いた刹那の瞳に見入られ動けなかった。僅かに呂律の回ってない言葉に笑いを漏らしているとふわりと浮いた腕に引き寄せられる。
間近に迫った顔に硬直していると首筋に顔を埋められた。否応なく跳ね上がる鼓動にドギマギしていると……
「……タバコの匂い……」
……と呟かれる。こっそり吸ったのがばれて説教を喰らうか？と身構えていたのに「……そうか……」とあっさり引き下がってしまわれた。調子が狂いながら首を傾げていると甘い呼び声と共に引き寄せられちゅっと可愛い音を立てて口付けられる。あまりの展開に頭が真っ白になっているとゆるりと笑みを浮かべられた。その表情に顎を掬い上げて口付けると追いかけてくるから首を持ち上げて深く合わせる。
「……んぅ……」
鼻に掛かる甘ったるいため息にも似た声に夢中になって口内を味わいつくす。吸い上げて軽く歯を立てると抱き寄せた体がびくりと跳ねて背中に爪を立てられた。その瞬間に……ぷつり……という音を聞いた気がした。そっと開放すると揺れる瞳が間近に見える。
上気した桜色の頬。涙に潤む瞳。ぽてりと赤く膨らんだ唇。
何もかもが己を誘っているようだった。
「……ぁ……」
小さく啼く声に体温が上がっていく。花に誘われるようにその唇を再び貪り始めた。くらくらする意識の中、詰襟のファスナーに指をかけてひき下ろそうと……
「………マジか……」
そっと唇を開放して顔を見上げると相手は眠りの世界へと旅立ってしまっていた。−
−……寝オチて……
がくりと肩を落としてつい先程までの出来事を振り返っていた。しばらくその状態でいたが…ふと口元を覆い隠す。
「迂闊にも男相手に勃ちかけるって……まずくね？俺。」
10/11/30
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