ガラスに凭れかかるニールの体を跨ぎ乗り上げた状態で足を更に広げられると後ろにひっくり返りそうになるので慌てて首にしがみ付いた。

「……ソラン……」
「……ん……」

 恥ずかしくてぴたりと縋りつくと、隠そうとしている意図に気付かれたらしく耳元で名前を呼ばれて諌められる。首から腕を離せとの事だが、首を振ってイヤだと駄々を捏ねた。すると耳元で小さく笑う声が聞こえて足を持ち上げていた手が外される。諦めてくれたかと思えばワンピースの裾を持ち上げてするすると脱がせにかかってきた。

「腕上げて?」
「……うぅ……」

 脇下まで捲り上げられて肩を少し持ち上げられると逃げられないのだと思い知らされる。渋々腕を上げればぱさりとワンピースに引っかかってた髪の毛が落ちてくる。ふるりと揺れる胸を腕で隠し、開き気味にされてる足をどうにか閉じると上目遣いにニールを見上げてみた。

「隠してもダメ。」
「……じゃあ……見るな……」
「それも無理。」

 むすっと呟けばくすくすと笑いながら腕をやんわりと退けられる。つぅっと指を伸ばされると中心にあるリボンの下へと潜り込みパチンとホックを外された。途端にずれる肩ヒモを気にすればするりと床に落とされてしまう。じっと見つめて来るニールの視線を全身に感じながら居た堪れなさに頬が赤くなるのを感じた。
 ヘッドドレスとブーツしか残っていない自分に対してニールは未だどこも乱していないのが更に羞恥を煽る。顔を背けて少しでも耐えれるようにと足掻いていると捕まれた両腕をぐい、と引き寄せられた。僅かに上体が反り返れば心臓の上辺りに口付けが施される。忙しなく打ち付ける鼓動がばれそうで身を捩ると舌を這わされ鎖骨を通り、喉から顎へと這いあがってきた。熱く吐き出される吐息を奪うように唇へ噛み付かれて舌を蹂躙される。

「ぁふ……ッ……」
「ソラン……」

 息苦しさに顔を背ければ執拗に追いかけられて更に深く絡め捕られる。くらくらとする思考の中でニールの頭を掻き抱けば腰を掴み上げられて膝立ちにさせられた。肩に捕まって見下ろす体勢になれば熱の篭った瞳が見上げてくる。

「あッ!」
「そのまま……腰下ろして……」

 何時の間にくつろげられていたのか、花弁に熱の塊が押し付けられるのに躯がびくりと震える。ぐっと引き寄せられる腰に花弁がめくれるのが感じられた。ふるふると震える足を叱咤して誘導されるがままに躯を沈めていく。徐々に埋まってくる熱に歓喜が躯中を駆け巡る。

「んぅ……ぁ……」

 押し開かれる快感に身悶えれば腰を捕まえる手に力が篭った。

「ひぁあああああッ!!!」
「んっ……く……」

 ずんと脳天にまで響く衝撃と共に駆け巡った快感に躯が仰け反る。ぎゅうっと引き締まる内壁にニールが息を詰めた声が聞こえた。それでも射精には及ばす、硬度も熱もそのままに胎内で存在を主張するように脈打っている。

「ぁ……はい……って……」
「あぁ……お前さんの中に……いるよ……」

 自らの躯を抱き締めて衝撃の余韻に浸っていると、ぽろぽろと溢れ出した涙を指先が掬い取ってくれる。反対側の頬にはキスを落とされて抱き締められると自然と腕はニールの首へと回された。腰を軽く揺さぶられて吐息が乱れる。

「ゃ……ん……」
「いや?何がいや?」
「お……っきい……」
「そりゃ……散々我慢したからな……」
「なかに……いっぱいで……あ……つい……」
「ソランの中も……すっげぇ熱い……」

 乱れた息でどうにか言葉を告げれば、熱に浮かされたニールの声が耳を擽る。かぷりと噛み付かれてぐりっと中を擦りあげられた。

「ひぁう!」
「あぁ……たまんねぇな……」

 びくりと仰け反れば掠れたニールの低い声が囁きかける。腰を掴まれて揺さぶられればたぷたぷと揺れる胸をニールの胸元にすり寄せ駆け上がる快感の痺れになんとか耐えようとするが、容赦なく突き上げられるとそれも無駄な足掻きとなってしまった。

「あッやぁ!んっくぅッ」
「イヤ、じゃねぇだろ?ソラン。」
「んぅ!ダメっ……おくッ……あた……ってぇ!」
「あ……ぁ……当たっ……てんな……」

 こつっこつっ……と最奥を突き上げられてあまりの快感に頭を打ち振るう。それでも躯中を余すことなく襲い来る波に抗う事など出来るわけもなく、渦巻く熱に抗えず必死に縋りついた。半分以上朦朧とし始める意識の中で確かにニールの熱を胎内に感じながら名前を叫び続ける。

「に……るッ……にぃるッ……にッるぅ!」
「ソラン……ほら……もっと締めてごらん?」
「あっん……無理ぃッ」
「無理じゃないって……これなら……どう?」

 縋りつきながらふるふると頭をふる刹那の耳元に口を寄せて宥めるような声で囁きかける。それでも無理だと言う刹那の中心へと手を忍ばせるとひくりと手が震えて一層強く縋りついてきた。

「うあ!イヤっ……ダ、メっ……ソコっ……いじっちゃ……やぁ!」
「嘘ばっかり……気持ちよくてきゅうきゅう締め付けてきてんぜ?」
「あぁうッ!」

 存在を主張する花芽をくにっと押しつぶしてみれば縋りついていた躯が身悶える。生理的に浮かんだ涙がぽろぽろと流れ落ちて摘み上げればびくんっと仰け反った。

「にぃッるぅ!」
「ッ……ん?……イきそう?」
「もっもぉッ」

 がくがくと震える躯を持て余し刹那が蕩けた表情で訴えてきた。揺さぶる度に締め上げてきた内壁がうねる様な動きを加えてくる。

「ッあぁ……すげぇッ……絡みついてきて……っんな……」
「にぃ、るもッイってぇッ」
「あぁいいよ……じゃあ……もうちっと……耐えろよ?ソラン」
「っはぁあ!」

 両手で腰を掴み直して勢いのままに引き寄せる。下からも腰を浮かせれば刹那の声が一層高くなっていった。目の前で上下に揺さぶられる胸に齧り付くと、引き離したいのか刹那の指が髪へ差し入れられる。

「ひあっあぁ!あぅッあっ」
「イイぜっ……ソラン……!」
「にぃっるぅ!ダメ!もぉッイくっイくぅ!」
「あぁッ……イきなっ!」
「ぃあぁぁぁぁぁぁぁぁあッ!」

 がくがくと痙攣を起こし始めた躯を思い切り引き寄せて最奥を貫けば内壁が押しつぶしそうなくらいに引き絞られる。その快感にぶるりと震えると溜まっていた熱を叩きつけた。ぴくんぴくん…と小さく跳ねる躯を抱き寄せて衝撃の余韻に浸っているとふと強張っていた躯から力が抜け落ちる。

「気持ちいいか?……ソラン」
「んっ……い……いっ……にぃ……る……は?」
「あぁ……いいよ……ずっと……こうしてたいくらいだ…」
「ん……うれ……し……」

 ふわりと微笑を浮かべる刹那を頬を擽りジャケットを脱ぎ捨てる。それを不思議そうな表情で見上げてきた。

「……にぃる?」
「まだ終わりじゃねぇよ。」
「っえ!?」
「まだまだ……全然足りねぇ……」

 下に来ていたシャツも脱いでしまうと床に広げその上に刹那を寝かしつける。やわやわと包み込んでいる内壁で完全に固さを取り戻しているニールの存在に気付きうろたえるが後の祭り。両手首を頭の横に押さえつけ上から叩きつけるように腰を打ち付けられれば途端に躯は熱くなる。

「ぅあッんんぅ!」
「こぉら。唇噛みなさんな。血出ちまうだろ?」
「ひっう……」
「そ、イイ子だ。」

 あまりに艶めいた声を上げる自分に気付き思わず唇を噛めばニールが顔を近づけてくる。打ち付ける腰もそのままに噛んだ唇を舐め上げられればそのくすぐったさに開放してしまった。

「にぃるッ……も、許し……て……」

 涙に滲む視界に微笑みを浮かべるニールを捕らえて懇願すれば、舌なめずりする彼が見えた。

 * * * * *

 その後、床に寝かされて一回、ソファにすがり付いて二回、そこからベッドに運ばれて何度か弄ばれた後ようやく開放された時には外はすでに白み始めていた。

「………」
「気付いた?」

 ぼんやりと瞳を開くとニールの柔らかな微笑みが向けられていた。それを見上げてガラスの外へ目をやりもう一度顔を戻すとくすくすと笑われる。体が温かいと思えば自分はどうやらニールの体の上に重なっているようで、肌に触れる互いの体温が気持ちいい。

「半分意識が飛んでたみたいだな。」
「……そう……か……」

 頬を撫でる手が心地よくてうっとりとしていると背筋をびりっと駆け上がる悪寒にも似たソレに目が見開かれる。僅かに眉を潜めて腰を動かしてみると躯の中心が熱い。

「に……る?」
「うん?……あぁ、分かった?まだ繋がったままなんだよ。」
「なっ!?」

 つぅっと腰から下へと滑り降りた指が潜り込むと熱を孕む箇所をぐるりとなぞられて思わず甘い声を漏らしてしまう。乱れた呼吸のままに睨みつけると悪戯が成功したような表情を返された。

「さっさ……と……抜け!」
「え〜?だって……多分困るのは刹那だぜ?」
「な……ぜッ……!?」
「中に注いだの……流れ出てくると思うけど。」
「ッ!!」

 にやにやと下品な笑みを向けられながら聞いたその言葉に全身がかっと熱を持つ。昨夜からついさきほどまで散々犯されて、前からも後ろからも貫かれた躯はもう下半身の感覚さえ失いかけている。その理由など、少し考えれば明白になることで…胎内に叩きつけられた熱を思い出してしまい頬が更に火照ってしまった。そんな百面相をしている刹那に笑みを深めて腰を掴んで抜こうとし始めるニールに慌ててしまう。

「ちょっ……待て!にぃ……ッる!」
「んっ……く……」

 ぐちゅり、と卑猥な音をさせながら中から徐々に出て行く熱塊を思わず締め上げてしまい、ぞくぞくっとした快感が背筋を駆け上がる。ニールの方も突然の締め付けに息を詰めたようだった。

「な……に……そらん……誘ってんの?」
「ばっ……かぁ!」

 素肌の胸元に縋りつき躯中を這い回る快感の波が引くのをじっと耐えているとニールがからかうような事をいってきた。拳を叩きつけながら怒ればさすがに痛いらしく降参を告げてくる。あやす様に背中を優しく叩かれて乱れた呼吸を整えると首に両腕を回すように促された。素直に従うとニールは勢いを付けて起き上がる。

「ひぅッ!!」
「っ……悪ぃ……もうちょい辛抱な……」

 回した腕にぎゅっと力を込めて縋りつくと目尻に浮いた涙を吸い取られた。まるで幼子を抱っこするように抱えられるとベッドから降りて歩き始めるニールの首元に擦り寄って荒く吐き出される呼気を耐える。僅かに揺れる振動で緩く突き上げられ全身を満たす甘い疼きにもっとと求めてしまいかねる。自分もニールと変わりないな、と思わず微笑を浮かべてしまった。

「……ソラン?」

 僅かに漏れた笑い声に気付いたのだろう、表情の見えないニールが不思議そうに呼びかけてきた。自分の考えてる事を見透かされたくはないという意地で更に強くしがみ付き顔を隠すと憮然とした声を上げる。

「何故……あんたは、朝から……こん……なに元気なのか、と思ってたところだ……」
「あぁ……ねぇ……」

 喋ると胎内にいる彼の存在が更に誇張されて乱れてしまう呼気をどうにか抑えつつ告げれば苦笑を交えた声が聞こえた。

「健全な成人男性ですから?朝起ちくらいしますよ?」
「うそ……つけ……さっきまでも……散々中に、出した……くせにっ……」
「だってお前さんの中、気持ちいいもん。」
「だま……れっ……」

 イヤミを言ったつもりがとんでもない言葉を返されてしまって一矢報いることは叶わなかった。
 刹那の躯を気遣ってかゆったりと進み、バスルームに着いたニールは互いに抱き合ったまま中に入っていく。器用にもその状態のままジャグジーに湯を張り始めた。

「……ソラン……抜くぞ?」
「ぁ……」

 淵に座らせて顔を覗き込めば熱に浮かされた表情で見上げてくる。思わず喉を鳴らすとぐっと腹に力を込めて暴れそうになる欲を押さえつけると腰に絡みつく足を外そうとした。

「……や……」
「な……おい、ソラン?」
「この……熱……ちょうだい?」

 移動する間の僅かな振動に散々煽られたのだろう、とろりと溶けた表情で刹那が『おねだり』をしてくる。逃がさないとでも言うように腰に回されていた足がぎゅっと絡められた。自然と深くなった挿入に刹那が甘く吐息を漏らすとその細腰を鷲掴みにしてぐっと揺すり上げる。

「ぁ……あんっ……」
「ったく……お前さんは……」
「ふぅッ……んん」
「どこまで俺を煽りゃ気が済むんだか……」

 与えられた快感に弛んだ足を掴みぐるりと回すと後ろから繋がる体勢に持っていく。上体をバスタブに凭れかからせてその横へ両手を突くと少々乱暴に突き上げ始めた。

「ぅあッ!ぁんッ!い……っい!」
「はっ……ぅ……っく……」

 びくりびくりと仰け反る背に口付けを落として求めるままに突き上げる。バスルームに満ちる蒸気で更に呼吸が荒くなり頬を伝う汗が顎から落ちて撓らせた背に落ちた。すっかり快感にぐずぐずと溶けきっているはずの内壁は、尚もきゅうきゅうと締め付け処女のようなきつさを維持している。4年前と比べ物にならないほどにうねりを加えた内壁の動きは容赦なく快感を与えてくれるから我慢や余裕などすぐに取り払われてしまう。きっと本人は気付いていないんだろうな、などと小さく笑うと絶頂が近いのだろう、縋るものを求めて額を押し付ける刹那の背中が小刻みに震え始めた。

「も……イく……?」
「んっ……イく!イき、たい!」
「りょーかい……じゃ、あっついの……注いでやる、よ」

 普段と打って変わって素直にお願いをしてくる刹那はメロメロにされるくらいに可愛らしくて、その上に壮絶な色香まで纏っているのだからこちらの理性など粉々に散ってしまっている。それでも愛しい躯を傷つけないように細心の注意を払っているのだから、己を心の底から褒めてやりたい。

「ひぁッあ!だめ!もッだめぇ!!」
「あぁ……おもいっきり……イきな!」
「んっあ!あぁああああぁぁぁ!!!」

 ふるふると首を振ってダメだと言うくせに躯はもっと欲しいと腰を擦り付けてくるのだから大した淫乱っぷりだ。タブの端を掴んでいた両手で再び腰を鷲掴みにして数回力強く突き上げると一際奥まで貫くように打ち付けた。射精の快感とうねる内壁の動きで余韻に浸ってから、ずるりと抜き去る。すると、当然というべきか、ひくひくと開閉を繰り返す花弁からとろりと白い液が流れ出した。こんなに出したか、と苦笑を浮かべてぐったりと座り込んでしまった刹那の頬に口付けを落とす。
 力の入らない躯を清めて一緒に湯へ浸ると途端に落ちる瞼に唇を寄せると眠ってもいいと囁く。しばしの間はむずがる赤子のように必死に目を開いていたが結局はこてん、と頭を預けてきてしまった。


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