場所をブリーフィングルームに移し、今後の為にも色々と突っ込んで聞いていこうと意気込むメンバー。

「では一つずつインタビューしていきたいと思いますぅ!」

 腰掛けた過去の保護者ニールの横にちょこんと座る刹那は今本来の体のラインを出している。格納庫から移動する時にスメラギとニールからパイスーの上を脱ぐようにキツク言われたからだ。とはいえ、ノーブラだったのでスメラギの私服のジャケットを羽織わされている。お陰で形がくっきりと分かるまではいかないがジャケットを押し上げる膨らみは結構な質量があるようだ。ジャケットの合わせ目から覗くインナーに谷間が出来ている。
 質問をたくさんするという意味ではミレイナが適任だろうとスメラギは司会進行を任せることにした。

「まず、4年前の事をお聞かせくださいです。」
「4年前ってぇことは刹那は17歳か。」
「そうだな。あの頃は暴走ばかりするただのガキだと思っていた……」
「おい、コラ。なんでライルとティエリアがここにいるんだよ?」
「こっちはお気にせず。」
「現在の保護者と喋る壁だと思って頂いて結構だ。」
「あ……そ。」

 スメラギとミレイナは分かるとして何故ライルとティエリアまでいるのかと不審そうに聞けばバッサリと切り捨てられた。こりゃ何を言っても無駄だな、と悟ったニールは一つため息を吐き出す。

「というわけで、続けますぅ。」
「4年前、私の記憶では刹那の胸元って板だったわよね?」
「あぁ、本人の意思もあって俺にバレた後、コルセットを買ってやったんですよ。」
「パイロットスーツの着用以外では常につけていた。」
「じゃあその頃にはすでに膨らみはあったんですね?」
「あぁ。」

 こっくり頷く刹那にミレイナが小さく頷くと時系列にメモしているのだろう、小さな手帳にかりかりと文字を綴っている。すると、スメラギが唸り声を上げた。

「んー?元保護者に質問。」
「なんでしょ?」
「そのコルセットっていうのはどうして?厚手のスポーツブラでも良くない?」
「いや、それだとほら、トレーニングでタンクトップになった時見えるっしょ?」
「あぁ、ね……」
「それと俺個人の見解で。そのコルセットがきつくて着けれなくなったら皆にカミングアウトする時期かなぁ、って。」
「色々考えてくれたのねぇ……」
「そりゃあね?知ってるのDr.モレノを省いて自分一人だとか思いこんでましたから……」

 苦笑を浮かべるニールにスメラギも苦笑で返してミレイナに先を促した。

「んでは、現在に移りますぅ。」

 続いての時系列は現在。
 さっき倉庫で聞く限りでも、今刹那来ているパイロットスーツはかなり無理をして詰め込んでいたことがわかった。私服の時でさえ板状にしているのをスメラギもライルも知っている。4年前はコルセットだったというが今は何をどうしてそんな間っ平らにしていたのか……

「スメラギさんとライル・ディランディさんから私服の時も4年前と変わりない状態だったと伺っていますぅ。」
「あぁ、今も同じコルセットを使っている。」
「「「「「えぇ!?」」」」」

 さらっと答えられた言葉に全員が驚愕のあまり一斉に席を立つ。いくら細身とはいえ、4年前と比べれば骨格、なにより身長が伸びている分同じサイズで大丈夫なわけがない。

「せ、セイエイさん、4年前と同じサイズなのですかぁ!?」
「いや!そんなことないはずよ!」
「そ、そうだ!なにより身長が随分伸びている!」
「それで同じサイズはさすがにおかしすぎるだろ!」
「どういうことなんだ刹那!まさかコルセットも無理して使っているのか!?」

 ニールにがっしりと肩を掴まれ必死そうに問われれば刹那はぱちくりと瞬きを繰り返して落ち着いた声を出す。

「いや、さすがにホックが閉まらなくなった。」
「だよな……あー……びびったぁ……」
「ではでは…どうやってるのですかぁ?」
「ホックのところに穴を開けて編み上げにした。」
「あ……あみあげ?」
「あぁ。けれどそれも締め上げるのにかなり時間がかかるようになった。」

 その言葉にニールとライルがびくりと肩を揺らす。

−胸を……締め上げ……
−「……ぅ……キツ……イ……」
「「……ッ……ッ……ッ……!!!」」
「こら、そこの双子。同じ妄想で身悶えるんじゃない。」

 揃って壁に額を擦り付けてしまった2人のロックオンにスメラギの冷たい視線が突き刺さった。

 * * * * *

 少々取るに足らないハプニングがあったが、ひとまず一段落と言っていいだろう。

「さて、どうしようかしら?」
「どうしたんだ?」
「何か問題が?」

 ようやく開放される、と刹那が小さくため息を漏らしているとスメラギがむぅ〜……としかめっ面を作り始めた。

「だって、刹那。下着持ってないでしょ?」
「?いや、持っているが……」
「持ってな・い。下着って言ってもブラよ?」
「……今まで通り潰していれば問題な」
「「「「「……いことない!」」」」」

 今まででも問題はなかったのだから、と言えば室内全員から大ブーイングが返ってくる。あまりの勢いにぱちくりと瞬いているとティエリアがだん!とばかりに足を踏み鳴らして立ち上がった。

「過酷なミッションをこなしていく上でも体に如何なる負荷をもかけてはならない!」
「刹那、あなた女の体というものを軽視し過ぎているわ!」
「そうですぅ!今の判断がこの先とんでもない後悔を招くかもしれませんよぉ!?」
「それより何より、俺の為、いや戦場の癒しの為にも……」
「俺との約束の為にも潰してしまうとかいうな!」
「ぁ……あぁ……」

 次々と続く反論の嵐に頷く事しか出来なかった。いや、それより何より自らの意見など1ミリだって聞きうけてはくれないという空気がひしひしと伝わってきている。
 刹那が素直に頷いたことに満足したのか、スメラギが手を叩くとミレイナが一目散に部屋から出てどこかへ言ってしまう。きょとんとそれを見送るとティエリアが端末を引っ張り出し何やらデータらしきものを呼び出していた。何をしているのだろう?と不思議に思ってニールとライルに視線で問いかけるもにっこりと笑い返されるだけだ。そうしているとミレイナがメジャーを片手に戻ってきた。

「は〜い、脱いでもらいますから、殿方様は後ろ向いてくださいねぇ?」
「「「了解。」」」
「え?」

 ミレイナの号令で一斉に振り返ってしまった三人にきょとりと驚いているとスメラギがぐいぐいと部屋の中央へ引っ張り出してきた。展開に着いて行けず固まってしまっているとスメラギがさくさくとジャケットを脱がしにかかる。

「ほら、ちゃんと直に当てて測らないとわからないから、脱いで脱いで!」
「あ、あぁ……」
「皆さんには後ろ向きになってもらってますから大丈夫ですよぉ。はぁい、測りまーす。」
「ッひゃっ!」

 ぐいっと引き上げられたインナーの下を背中からくるりとメジャーを回されてぎゅっと引っ張られるとその冷たいナイロン製の帯が肌にペタリとくっついた。その冷たさに堪らず悲鳴を上げてしまう。

「あ、動いちゃだめですぅ」
「っそんなこと……言ってもっ」
「ダメよ、すぐ終わるから我慢して」
「りょ、了解っ……」

 跳ねてしまった為にずれたメジャーを再度当て直されるとぞわぞわと背筋に寒気が走ってしまう。それでも耐えるように諭されれば唇を噛んでどうにか耐えようと眉間に力を込めた。

「あらやだ、刹那、肌理細かいわねぇ〜」
「んっ……」
「とっても綺麗ですぅ。なのに、こんなとこに傷あるなんて残念ですぅ…」
「……ぁ……」
「でもうっすらとしかないからよく見ないとわからないわね。」

 アンダーのサイズが取れたところでメジャーの当てる位置を変えるのに一度外された。すると測ってる間じっと見てたスメラギの指がつぅっとへその上を擽る。かと思えば背面にいるミレイナが脇腹にある傷跡をそっとなぞるから吐く息に混じって熱い呼吸まで漏れてしまう。

「ふわぁ、セイエイさんの形がとっても綺麗ですぅ!」
「ふぅーん…フェルトよりありそうねぇ…」

 やっとトップを測り出したと思えば、前に回っていたミレイナの両手の平がぽふん、と胸に宛がわれる。そのままふかふかと感触を確かめるように押さえられると今度はスメラギが背後から腕を回してきた。重さを測るようにくい、くい、と持ち上げられれふるふると胸が揺さぶられる。

「ちょ、ミレイナ!スメラギも!」
「うん?」
「はいです?」
「は、早くッ……」
「「はぁい」」

 ようやく終わった計測によろり、と元居た場所へたどり着くと何故だか床にしゃがみ込んでいるニールがいる。部屋の反対側でもライルがしゃがみ込んでいるが二人とも曖昧な笑みを返すだけで何も言ってくれない。それに首を傾げていると冷ややかな視線を投げつつティエリアが端末をいじっている。どうやら制服を発注するらしい。ついでとばかりにニールにもサイズを聞いているから間違いないだろう。

「あ、ねぇ?制服のデザインっていじれないの?」
「デザインですか?」

 淀みなく動くティエリアの手元を覗きながらスメラギが突然そんな事を言い出した。制服のデザインはみんな一律しているとはいえ、個性を出す為か多少違っているものもある。ニールのカラーも緑で統一するが、ライルとは違う緑を使うようにするのは双子だから見分けが付くようにという配慮だろうけれど、刹那は今まで通り青でいいのだからどこを変更するというのだろうか?と首を傾げれば……

「そ。どうせならミレイナみたいにミニスカートなんてどうかと思って」
「……刹那にですか?」
「もっちろん!」
「「なっ?!」」

 その発言に刹那とニールがびくりと反応をした。が、ちらりと見上げたニールはミレイナをじっと見つめた後、刹那へと振り返り瞳を輝かせ始める。それどころか感激をしているのだろうか?その瞳にじわりと涙を浮かべ口元を押さえてふるふると振るえ始めた。その表情で瞬時に刹那は悟る。
 ……ニールはミニスカ賛成組だと……

「わぁ、じゃあミレイナとお揃いですぅ!」
「ちょ、ちょっと待て!」

 まずい、やばい、と頭の中で警報を鳴らしているとミレイナが歓喜の声を上げている。それを慌てて止めれば向かいの壁でライルがぱちりとウィンクを投げてくる。

「お、いぃんじゃね?濃紺のプリーツスカートにしてもらえよ」
「貴様、他人事だと思って!」
「刹那なら似合うだろう。」

 にやにやとした表情のライルに睨みを聞かせると、しれっとティエリアが肯定してきた。それへ勢いよく振り返って冗談じゃないとばかりに声を張り上げる。

「黙れ、ティエリア!だいたい!アニューやスメラギはズボンじゃないか!なんで俺がっ……」
「艦内の癒し?」
「分かってるじゃない。」
「却下だ!俺はもう21になった。プリーツスカートなんて着れるか!」

 ここで少しでも引いてしまえば多数決だとか言って決行されてしまいかねない。なんとしてもそれを阻止すべくもっともな理由をぐるぐると考え並べていく。普段頭脳プレイではなく体で感覚的に動く事を常としている刹那にとってかなりのオーバーロードだが、ここでへこたれるわけにはいかないという気持ちでなんとかそれらしいものを確立させる。

「それにフェルトだってズボンだ!」
「あ〜……それを言われるとなぁ……」
「じゃあホットパンツにすればいいです!」
「い・や・だ!ズボンは今のもので充分だ。新たに作る必要ない!」

 これで回避出来るはずだとフェルトを引き合いに出せば斜め上をいく提案を出されてしまった。もうこれは意地を張るしかない、と言葉ですっぱり切り捨てることにする。

「だいたい……何故アンダーを短くしたいんだ……あんた達は?」
「えー?だってそりゃ……ねぇ?」
「理由なんて一つですぅ」
「だよなぁ……」
「……一つ?」
「あぁ、一つだ。」
「そうそう、もちろん…」

 訝しげに眉間に皺を寄せつつ見渡せば互いに顔を合わせて頷いている。そうしてくるりと顔を向けなおすと……

「「「「「美脚を見て愛でたい。」」」」」

 まるで示し合わせたかのように綺麗に重なった声に刹那はがくりと肩を落とし……

「ッ……黙れ!」

 その一言を放つのがようやくだった。


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いはやは…カミングアウトネタとかって楽しいな(笑)
何よりもせっさんを困らせるのが楽しい(殴)

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