何度か強く打ち付けられひくっと引き攣るようになってきた頃、ぐっと後ろに引き寄せられ上体が自然と仰け反る。胸を突き出すような態勢にむずかる様、身を捩るが難なく押さえつけられ耳を齧られて竦めるだけに終わってしまった。
「ほら…刹那…」
「っあ…ぅ…」
耳の輪郭を舌で嬲られると熱い吐息とともに声が吹き込まれる。それだけで躯をぴくりと跳ねさせていると腰へ辿り着いた手が更に下へ降りて行った。
「今…玄関開かれ…たら…刹那のやらしい格好。全部見られちゃう…」
「ッ!!」
下腹を辿りさらに降りていった先はロックオンの楔を咥えこんでいる花弁で、目一杯開いた縁をクルリとなぞられた。それと一緒に耳へと送り込まれた言葉に躯が強張る。意識してきゅっと絞まる花弁を指で開かれ外気に晒された。
「玄関先で犯されてメロメロになった顔も…」
「んっう!」
「俺のふっとい息子さんを美味しそうに咥えてる花弁も…」
「ゃ…っあ…っあぁ!」
「突き上げられて嬉しそうに啼く声も…」
「あっぁんっ!」
「みーんな…見られちゃう。」
目の前に佇む扉が今にも開くような錯覚に陥り、早まる鼓動と曝された花弁を過剰に意識してしまう。誰もいないのに見られているような感覚が全身に襲い掛かり、尚も突き上げる楔が与える悦楽をさらに強く受け入れていった。
「やっ…やぁん!」
「っ…んなに…絞めちゃって…見られるの、想像して…興奮した?」
「っち…ちがっううぅ!」
「っうそ…つき…」
「ひっうぅんッ!」
「…厭らしい刹那…」
「あっぁんッ」
「この…淫、乱…」
「ひあぁっ!」
耳元で囁かれる言葉は酷い言葉ばかりのはずなのに躯が先ほどから悦び続けている。恥ずかしいのに襲い来る激しい快感の波に困惑から涙が流れていった。止めてほしいと願うはずなのに、頭のどこかで…もっと…と強請る自分が存在していることに驚く。けれど最奥を攻め立てる楔は休むことなく攻め続け頭の中を真っ白に染め上げる。もっと激しく攻めてほしいとさえ願う自分に成り下がるが、それを止める術はなかった。
「ぃやっやぁ!もッ…ぃ、くぅ!」
ぞくぞくっと駆け上る快感に堕ちる瞬間が目の前に迫ってきている。もう一度突き上げられたら果てるという瞬間に律動がぴたりと止まってしまった。次の衝動を待っていた躯が中途半端に放置され、脳天を突き抜ける衝撃を待ち焦がれてひくひくと小さく痙攣をしてしまう。
「あっあっあっ…」
「っく…ぅ…」
衝撃を求めて蠢く胎内にロックオンが息を詰めていた。けれど力強い手で押さえつけられた腰は刺激を求めて揺れ動こうにも楔を奥深くまで咥え込んだまま動けなくなる。
「やっ…どう、し…てぇ…?」
「っまだ…だぁめ…」
ぽろぽろと流れる涙を指先が優しく拭ってくれるが、疼く躯は放置されたままだった。頂点に達しかけた波が徐々に引いて行ってしまう。けれど燻る熱は下がることはない。ひくりと戦慄く花弁に身を捩っているとがくりと上体が倒された。腹部に回された腕が体をふわりと持ち上げる。
「ぁあ…っあ…ッぁ」
「刹那…ちゃんと押さえてろよ?」
ゆらゆらと揺られる感覚が続いたと思うと何かが額にこつりとあたった。快感に飲まれて閉じてしまった瞳をそろりと開くと見覚えのある色が広がっている。そっと手を当てると少し冷たく、折り曲げていた足を重力に従って伸ばしていくと地に落ちた。それとともに花弁に蟠っていた蜜がとろりと内腿を流れる。
「誰も開けないようにしないと俺のでどろどろんなったトコ…見られるぞ?」
「っ…っあ、ぁ…」
「まぁ、見られてもいいってなら別だけど?」
「やぁ…んッ…」
「刹那はエッチだもんな?」
「あぅ!」
くすくすと笑う声とともにずんっと強く打ちつけられて目の前がちかちかと明滅したかのように見えた。扉の上できゅっと握りしめた手がかくかくと震える。降りた足も突然与えられた衝撃にピンっと伸びきった。
「っはぁ!あっ!あぁんっ!!」
「っく…きっつ…」
再開される攻め立てに待ち焦がれた躯がぐずぐずに解けそうなほど熱を持っていく。抑えたくても抑えられない嬌声が次々と溢れ出し、肉と肉のぶつかり合う音が本能を激しく掻き立てていった。溢れる蜜と彼の放った欲望が胎内で混ざり合い、たらたらと花弁から流れて内腿を伝い落ちていく。揺さぶられる激しさに視界へ写りこむ床へぱたぱたと白い雫が飛び散ったりもしていた。
「はっ…すっげ…泡だって…きてる、な…」
「やっ!いう、なぁッ!」
「っふ…な、に…?かんじ、すぎて…恥ず、か、しいとか?」
「ぁんっ!んんっぅ!」
「ぁ…それ、ともっ…きもちいぃ…からっ…もっと弄って、ほしぃ?」
「ぁ、やッあぁ!んやぁっん!」
ぐっと扉に躯ごと押し付けられ腰だけ突き出した状態にされると、冷たい扉と熱い体温に挟まれるような体勢になった。躯中を迸る悦楽の熱に縋り付いていると意地悪く囁く唇が耳に押し付けられ、下で輪郭を嬲られながら片手が腰から結合部へと下りていく。ひくりと震えて嫌な予感に身構えると外気の流れにすら敏感になっていた花芽を押しつぶされた。あまりの強い愛撫から無意識に腰を後ろへ逃がすが、後ろから攻め立てる楔を更に強く打ち付けられるように差し出すことになってしまう。
「やぁっ!やらぁッ!もッ!らめ、なのぉッ!」
喘ぎ続けて閉じられない唇から痺れた舌が何かを求めて小さく差し出される。その為に言葉が酷く拙くなってしまうが、胎内で荒れ狂う熱にもうどうでもよくなっていた。
「っく…イくッ?もう、イっちゃう?」
「んっ!ぃくぅッ!イっちゃうのぉッ!」
「俺もっ…そろそろっ限界ッ…」
「ひぅっ!ぃ、イってぇ!いっしょにぃッイってぇぇ!」
更にラストスパートをかけるよう、突き上げられる速さが上げられてもう意味のある言葉が何一つ紡げなくなった。それでも吐き出される空気の塊と共に溢れる嬌声がロックオンを煽っているのは確かで、胎内で暴れる楔がどくどくと脈打っている。小さく息を呑む音と共に腰を力いっぱいに掴まれた。
「たっぷりっそそいで、やっからなっ!」
「アんっ、あ、ぁあっ、あッぁ!」
「っイく、ぞっ刹那ッ!」
「あッ−あぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!」
バチンと一際強く打ち付けられ、腰に指が食い込んでくる。その瞬間に躯の中で楔が大きく脈打ち次の瞬間には灼熱の飛沫を最奥へ叩きつけられた。
* * * * *
着ていた服も汚した分と一緒に洗濯機に放り込むと全く力の入らない体をロックオンがベッドまで運んでくれる。まだ余韻の残る体を投げ出していると簡単に片付けてきたのか、玄関に置き去りにしていた紙袋を部屋の端に運んでベッドに乗り上げてきた。一糸纏わぬ状態の体を後ろから抱き締めて座らせてくれると寒くないようにと掛け布でくるんでくれる。それらをぼんやり見ていたが、布の下で手がもぞもぞと動いて胸元へ指を這わされた。快感を煽るような動きではなく、単純に揉み込んでは感触を確かめるように包み込んでいる。
「…いつまで触るつもりだ…」
「んー…や、ちょっと…な…」
どこか歯切れの悪い言葉に首を傾げると苦笑を浮かべた顔が見える。
「何?」
「メロンパンて…と思って。」
「…悪かったな。」
「へ?」
「変な事気にして悪かったな。」
「あぁ、いやいや。そういう意味じゃねぇよ。」
「…じゃあ、何。」
「メロンパンってさ…まぁ…デカイって意味なんだろうけど。」
「…デカクなくて悪かったな。」
「だぁから、違うっての。」
「………」
泣き出したのは演技であったが、傷ついたのは本当に傷ついたようで。刹那の機嫌がとことん傾いている。普段ならさらっと、こちらがそれでいいのか?と思うほど呆気なく流すだろう内容に逐一突っ込んできていた。苦笑を浮かべつつ宥めるとむぅっと口を尖らせつつもとりあえずは黙ってくれる。
「刹那の胸を食いモンで例えるならメロンパンじゃなくてモチだなぁって思ったんだよ。」
「………モチ?」
「ニホンの伝統的な食べ物らしいんだけど。白くて……」
「白くない。」
「まぁその辺はおいといて…出来立てとか調理したての時ってのがちょうどこんな感じだったなぁって。」
「っん……」
説明を少し付け足してくれながら包みこんだ胸をきゅっと強く握られてぴくりと肩が跳ねる。思わず熱い吐息を吐きだしてやわやわと動く指に意識が傾きがちになった。
「柔らかくて弾力あって…食べ応えある感じ。」
「……食べ応え……」
「張りがあるってことだよ。まだまだ発展途上って感じだな。」
「……貧相?」
「や、そこまで言ってねぇよ。」
発展途上という言葉を違う言葉で置き換えてみると少し違うと否定してくれた。喜んでいいのか分からないのでそのまま流してしまう。するとバラバラに揉み込んでいた指が手のひら全体で押し上げるような動きに変わった。
「こうやって張りも弾力もある内はまだ育つってことなの。」
「…ふぅん…」
「大人になったらもっとふかふかになるからな。」
「…ふかふか…」
「そう…だなぁ…焼きたてのケーキとか。」
ずいぶん分かりやすく次々と出てくる喩えに想像を膨らませ理解出来る度にこくこくと頷いていた。けれどふとある事に気づく。
「………詳しいんだな。」
「ん?あー…まぁ…一時期荒んでましたから…」
「荒むと女漁りするのか?」
「いったいとこ突いてくるねぇ…」
感じたままに疑問をぶつけるとバツが悪そうな声が返ってきた。もちろん彼との年齢差を考えれば彼が『そういった経験』を全くしていないという確率はゼロなわけないのは当たり前かもしれない。こういった『夜の営み』にも慣れているから自分が初めての相手ではないに決まっている。分かってはいるがどこか面白くない気持ちになってしまうのはどうしようもなかった。
「あの頃はストレスの捌け口になればそれで良かったからな。誰でも良かったんだよ。」
「………」
「今はそうもいかないけど。」
「…ん…」
胸に悪戯し続けていた手が離れて体をすっぽりと腕で包み込まれる。そうしてとびきり甘い声で耳を擽るような言葉を吹きかけてきた。ぴくっと跳ねる体をぎゅっと抱きしめると耳から下りて首筋にも唇を添わされる。
「お前さん以外じゃ勃たない自信あるもん。」
「………言ってろ…」
そっと囁かれる言葉に頬が熱くなるのを自覚しながらつっけんどんに返すと小さな笑い声が聞こえて解放してくれた。するとまた手が胸元に這わされる。
「どこまで育てるかな…」
「?」
「こうやって揉んでると大きくなるらしいんだ。」
「…そうか…」
「で。どこまで大きくしようかなって。どのくらいがいい?」
「…俺に聞かれても分からない。」
「そういうと思った。でもさ…誰みたいになりたいとかはないの?」
掛け布の下で動く手をしばらく見下ろしてそっとその膨らみの上に手を重ねる。薄い布越しに感じる温もりに少し考えてみた。
「……言うなら……」
「スメラギさんとか?」
「違う。」
「あとはクリス……あ、年齢近いフェルト。」
「違う。」
「んー?」
「……俺は……」
「うん?」
「あんたの横に並べるほどの見栄えがあればいい。」
身近な人間を数人挙げた後、答えが見当たらずに首を傾げているとぽつりと打ち明けてくれた。その言葉の内容に頭の中が真っ白になったが、じわじわと赤く染まる頬と耳に口元が弛んでしまう。
「かっわいいこと言ってくれちゃって。」
「……本音だ。」
「んーじゃあさ。俺の本音も聞いてくれる?」
「……なんだ?」
「もっかいシよ?」
「ぁッ!」
するりと滑り降りた手がまだ熱を持つ花弁を撫で下していく。そのままつぷりと潜り込む指にびくっと躯が跳ねた。
「っあぁん!!」
「シたとこだからまだまだ柔らかいなぁ…」
「んっ……いきっ……な、り!」
「気持ちいいんだろ?きゅうきゅう絞めつけてきてるもんな。」
「やぁ!」
ぬぷぬぷと蠢く指にひくりと喉が仰け反る。躯を逃がそうにも抱き込まれた状態では無駄な足掻きだった。折り曲げた指に前を擦りあげられてぞくぞくっと駆け上がる快感に胎内をキツク絞め上げてその形を感じ取る。じゅんっと奥が濡れる感触にふるりと躯を震わせると頬に口づけられた。
「いっぱい感じさせて育て上げてやるからな?」
「ぁ……んぅ……」
すぐに霞む理性の中でロックオンの微笑を写し込みその手が生み出す波に陥ちていった。
10/12/13 脱稿
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