−…人間を独り占めになんか出来ないのは分かっている。
けれど…ロックオンは言った…
俺は『特別』だから『こういう事』をするんだと…
ロックオンは言った…
『2人しか知らないお互い』を、互いの手で作れるんだと…

『それ』は…
……『ロックオンの一部を独占出来る』…ということ?

「…ッふ…ぁ…」
「ん…感度良好…」
「な…ぁッ」

 服の上をするすると撫でていたかと思えば急に尻を鷲掴みにされて思わず背を浮かしてしまった。その反応にくすりと笑われると顔がかぁっと熱くなる。首元へ顔を埋められて耳を食むロックオンのシャツを握り締めた。

「ロックオ…ん…これ…はッ」
「任務の時にした事と同じ。」
「な…ぜ…ッ?」
「何故?って…」

 耳元でくすくすと笑う声が聞こえているのに今目の前にいる男がロックオンであってロックオンでない錯覚に陥ってしまう。全身が粟立つ中、彼はそっと顔を上げてその瞳に刹那の顔を写し込んだ。笑みを浮かべるその顔を見た瞬間、刹那の背に悪寒にも似たぞくぞくっとした感覚が駆け抜ける。

「あん時は刹那を助ける為だったけど…今回は、別。」
「べつ?」
「そ。今回は…俺しか知らない刹那を作るため。」
「…そんなこと…」
「出来るよ…今からセックスするんだし。」
「…せ…ッ!!」

 途端に顔を真っ赤にする刹那にロックオンは肩を震わせて笑ってしまった。

「あぁ、言葉は知ってるんだ?」
「ば…バカにするな!」
「でも内容は知らないんだな。前も何の抵抗もなく委ねてたし。」
「あ…あれも…せっくす…なのか?」
「…なんだと思ってたの?」
「…スキンシップ。」
「…まぁ本番までしてないからあながち間違いでもないか。」
「……ロックオンは…誰にでもこういう事するのか?」
「はぁ!?」

 『触れ合い』という意味では確かにスキンシップだな…と一人納得していると刹那がとんでもない事を聞いてくるから目を見開いて驚いてしまう。しかも表情から察するに刹那の中では決定付けているらしい。

「しないっての!…最近は…」
「え?」
「なんでもない。とにかく!こういう事…セックスってのは愛してる人としかしないもんなの。」
「……ロックオンは…俺と…したい?」
「もちろん。刹那は俺の愛してる人だからな。」
「………分かった。」

 赤くなったままの頬を撫でながら言い聞かせるように言葉を重ねれば、刹那は少しだけ考えてじっと見上げてきた。と、思ったらしっかりと頷いて了承の意を告げる。おや?と思っていればシャツを掴む手が離されてぽてん、と顔の横に下ろすとぎゅっと拳を作った。

「いつでもこい!」
−…予想はしてたけど…すがすがしいまでのクラッシャーだな…

 まるでこれから戦うような宣言をされてロックオンは思わず涙を浮かべて項垂れてしまった。刹那はというと微動だにせずにじっと見上げている。

−ま、刹那らしいっちゃらしいかな…
「?…どうした、ロックオン?」
「いぃえー?なんでもないですよー?」
「?」
「そんじゃ、ま。遠慮なく。」

 気を取り直すと改めて刹那の上に覆いかぶさった。

「狙い撃たせてもらいますよ?」
「っんぅ…!」

 * * * * *

あの時は薬のせいでただ熱くて…断片的には覚えてるけど…あまり記憶には残ってなかった。
だから…

「んぁ…ぅ…」

こんなに恥ずかしい事されてたとか全然覚えてないんだ!

「ひぁ!」

 首筋を通り鎖骨を舐めて更に下がっていったロックオンは、タンクトップを捲り上げるとコルセットを外しながら隙間から覗く肌に舌を這わせていく。舌先で擽るように這わせていたかと思えば不意討ちのように、ちゅっ…と音を立てて吸い付いた。

「刹那…顔隠しなさんな…」

 ぴくん、ぴくん、と跳ねる躯に笑みを浮かべながら、顔を腕で隠してしまう刹那に囁きかける。その声にさえも躯を跳ねさせるから鎖骨に歯を立てて反応を楽しんでしまった。

「んっ…ゃだ!」
「全く…強情だな…」
「ぁ!」

 ふるふると髪を振り乱して必死に耐える刹那に苦笑を洩らすと、肌けたコルセットから姿を見せた愛らしい実を摘み上げる。意図した通りに跳ねた躯と弛んだ腕に笑みを浮かべると手首を一纏めにして押さえつけた。露にさせられた顔をかっと赤くしてじたばたと暴れ出す刹那にわざとらしく顔を近づけると唇の端に口付けた。

「は、離せ!」
「だぁめ。せっかくいい顔してんだから。それにこうしてたら余裕ないだろ?」
「ぅんッ!」

 摘み上げた実をくにくにと押し潰せばびくっと躯を跳ねさせた。にっと唇を歪めてもう片方の熟れた実に舌を這わせてみれば押し付けるように背を反らせる。

―ぢゅうっ…
「ふぁッ!」

 きつく吸い上げられて腰が浮いてしまった。背筋を駆け巡る小さな電流のような感覚に声が抑えられず、ロックオンの長い指が何かする度に別人のような声が溢れてくる。

「は…薬のせいかと思ってたけど…元々敏感なんだな。」
「あ…ぅ…」

 胸から顔を離して刹那の顔を伺えば瞳には涙を浮かべ、頬は赤く染まり、しどけなく開いた唇は微かに震えている。胸全体を手を添えれば僅かな膨らみは完全に隠せてしまう。それでも柔らかく包むように指を這わせて全体的に揉み上げれば身を捩るから病みつきになってしまった。

「さ…さわる…なぁ」
「なんで?ずいぶん気持ち良さそうだけど?」
「あッ…」

 力が抜け切った手首を離して両手で揉み上げればふるふると頭が振られる。そのくせ、背を反らすせいか手にぴんと固くなった実が押し当てられた。

「ほら。俺の手に押し付けてきて…ねだってるみたい。」
「…だっ…て…ちいさ…い…」

 ポツポツと言葉を洩らした刹那の顔を思わず凝視してしまった。もう手を動かすのも億劫になっているのか、拘束を解いた刹那の腕は上げられたままで、抵抗らしい抵抗をしなくなっている。けれど、瞳はロックオンの行動をつぶさに観察しており、不安げに見つめていた。そんな普段見せない表情で愛らしい乙女の悩みを打ち明けられたら…めちゃくちゃにして可愛がりたくなるというものだろう?

「…小さいって…誰と比べて?」
「………」
「まさか…ミス・スメラギとか?」
「…っ…」

 どうやら図星のようだ。視線がふいっと反らされたので思わず吹き出してしまった。

「笑うな!」
「いや、悪い悪い…ミス・スメラギと比べるなんて思わなかったから。」
「だって…ロックオンより年上だ…」
「まぁな。けどさ、俺としては…」
「ひゃう!」

 わざとらしく言葉を区切り顔を近付ける。やわやわと揉んでいた手できゅっと掴んでみれば可愛いらしい嬌声が上げられた。

「こんな風に敏感な方が好みかな。」
「は…ぅ」

 掴んだ部分を宥めるように指先でさすり、こりこりと当たる実を手のひらで転がすように回した。小さく息を詰めるような声がして瞳が細められる。全体的にやわやわと揉み上げたりまた撫で回したりとしていると、胸元に落としていた視線がちらりと上げられた。その瞳が何か訴えているようで、おや?と不思議に感じると手が重ねられる。

「刹那?」
「手袋…やだ…」
「ッ!!!」

 きゅっと眉間にシワを寄せて拗ねた風に言ってきた言葉にロックオンは鼻血を噴きそうな衝撃に見舞われた。頬が赤くなっているだろう当人に気付いていないのか、刹那は動きを止めてしまった手から手袋を脱がそうとぐいぐい引っ張っている。

―こ…このっ…天然ッ!

 なんとか暴走しそうな体を理性で抑えつけ、上がった呼吸をどうにかやり過ごす。

「ぅ…むぅ?」
「脱がしてくれるんだろ?」

 ぐいぐいと親指の付け根あたりまで引き上げたところで突然手を浮かされた。かと思えばむにっと唇を突かれる。何がしたいのか、と目線で尋ねればにっこり微笑まれてそんな事を言ってきた。

「手袋の指先…噛んで?」
「は…ぅむ…」
「そ。そのまま…」

 言われたままに噛み付けばするり、と中から指が抜けていく。ぱさり、と音を立てて革の手袋が鎖骨あたりを叩くとロックオンが満足そうに頷いた。

「ん、いいね。刹那、こっちも。」

 くわえたままだった手袋をどけられるともう片方の手も同じようにしてくる。素直に従えばまた手袋が肌の上に落とされた。その光景にうっとりとしたような表情のロックオンがまた頷いている。

「うん。いいな。」
「…いい?」
「あぁ。なんつーのかな…嬉しい。」

 手袋の指先を噛ったままに聞けば頬が弛められ瞳が弧を描いて細められる。その表情に胸がどくり、と大きく跳ねる。どうしようか、とじっと見つめていると手袋を取り上げられて代わりに「ご褒美。」と言って深く口付けられた。

「ん…ぁ…」
「あぁ…そうだ。」
「…なに…」
「胸の大きさが気になるなら俺が協力してやるよ。」
「…協力?」

 きょとりとした瞳で見上げてくるのににっこりと少々人の悪い笑みと言われるだろう、微笑を浮かべて両手を再び刹那の胸に這わせる。言い聞かせるように説明をしながら全体を押し上げるようにと柔らかくも見上げた。

「そ。これから大きくなるんだろうけど。こうやってマッサージしてればもっと育つっていうし?」
「……そうしたら…ロックオンは嬉しい?」

 ロックオンの手の動きに少し息を弾ませながら見つめた後、ちらりと上目遣いに伺ってくる。その瞳に下半身をずくりと熱くした事をおくびにも出さず、誤魔化すように頬へ軽く口付けた。

「俺だけにさせてくれるなら嬉しいけど?」
「…じゃあ…たのむ…」

 脳天に雷を落としたロックオンはもじもじと少し照れた風に言ってくるその唇に噛み付くように口付けを施した。
 最初に感じたのは異物感だけだった。けれど、気付けば躯中が解けそうなくらいに熱く火照り口からは嬌声が零れ落ちるだけになってしまった。その声に混じって粘着質な音も聞こえてくる。

「すっげ…とろとろになってきたぜ?」
「…ゃあ……ぁッ…あッ…」

 長い指を生かして奥まで擦り上げるように動かせば刹那の細腰が淫らに揺れ動く。もっと、と強請っているのか、与えられる未知なる感覚に逃げ打っているのか…定かではない。痛みで歪められていた顔が徐々に熱で浮かされていく様はロックオンの劣情を否応なく刺激し、優しくするつもりが表情に魅入られた彼の手はどんどんと激しさを増していく。それに比例するように刹那の上げる嬌声も間隔が短くなってきた。

「そろそろ…きそう?」
「ぁ…やッ…やっだぁ…」

 耳元で掠れた声が響き脳内をじん、と痺れさせる。躯中を駆け巡る熱に四肢は勝手に反応を示し、苦しいほどの快感は毒のように思考を蝕み始めた。

「やッ…も、ヤ…だぁ…ッ!」
「いや?」
「んっ…もぉ…はな…してぇッ」
「刹那…その『イヤ』じゃ、ダメ。」
「なぁ…ぅんッ!」
「『気持ちよすぎてイヤ』ってのは却下。」

 いつの間にか溢れた涙を散らしながら懇願しても淡く微笑まれるだけで一向に開放してはくれない。 それは苦しくて苦しくて堪らないのに躯はもっとと強請っているからかもしれなかった。その要求を正確に読み取っていくロックオンの指は単調な抜き差しから、ぐちゅり、と卑猥な音を立てさせて胎内をかき回すように指を折り曲げたまま動かし始める。

「ぅあぁ!!」
「ほら…躯はもっとって言ってる。」
「んっ…ぁうッ…っふ…んんッ!」

 カタカタと震えだした内腿に刹那の絶頂が近いと知らされる。証拠に中を蹂躙する指がきゅうきゅうと締め上げられた。近づく解放の瞬間に、刹那は髪を振り乱し普段からは想像もつかない高く甘い声を上げ続ける。縋るものを求め彷徨う指先がロックオンのシャツを握り締めた。

「ッあぁ!」

 ひくんっと躯を引きつらせ衝撃に耐えるよう閉じられた瞳に誘われ、ロックオンは首の後ろに手を回してわななく唇に噛み付いた。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
無自覚デレせっちゃんはきゅるきゅるにし過ぎそう危ない;

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