「っんぅ!?」

 内壁を満遍なく撫で回す指がある一点を掠った時、何かが強く弾けるような感覚があった。反射的に下腹部へ力を込めてやり過ごそうとするが、指によって開かれているせいかうまくいかない。

「承、太郎さん?」

 不思議そうに問いかけてくる声が聞こえるが、こちらとしても何が何だか分からない。答えられずにまだ内で燻る先ほどの感覚をどうにかやり過ごそうとじっと耐えた。しかし、彼の好奇心に火を灯したようだ。

「っくぁ!!」

 強く締め付けられた辺りにもう一度指を這わせると上擦った高い声と共に躯をぎゅっと縮こませている。そろりと覗き込んだ股上では立ち上がったままの芯がぽたぽたと蜜を垂らし、内腿ががくがくと震えていた。触り心地を確かめるように撫でると背筋がびくびくっと跳ね上げる。

「(……もしかして……コレ?)」

 指先に触れるコリコリとした塊。内壁の奥にあるそれは初めは探しにくいものだ、と書かれていたが、この反応はおそらく探り当てたに違いない。その見つかりにくいとされる『宝物』を見つけられた高揚感が指に伝わり、執拗に同じところばかりを責め立てていく。

「っあ、やめっ、じょ、すけっ!」
「なんでっスか?気持ちいいんでしょ?」

 口をついて次々に溢れ出る嬌声が耐え難かった。けれど抑え込むことも出来ず、己の躯の変化に戸惑うばかりだ。目の前がチカチカと白く弾けては頭が痺れるような快感が背筋を走り抜ける。額をクッションに押し付けて必死に耐えているというのに、仗助は更なる攻め手を加えてきた。

「ッうあぁ!!」
「うわ、すっげ……ぐちゃぐちゃっスね」

 おもむろに前を握り込まれて躯が大袈裟なくらい大きく跳ねる。今でさえいっぱいいっぱいだというのに、敏感なその部分にまで淫乱の手が加えられたら堪ったものじゃない。どうにか逃れようと身を捩るのに緩慢な動きにしかならず、しかも中に埋まった指を擦り上げてしまい悪循環に陥る。膝がおかしいくらいにガクガクと震え、背筋をぞくぞくっとした感覚が上り詰めていった。

「ッくぅ、んーーー!!」

 きゅうきゅうとひっきりなしに絞め上げられる指に呼気を荒げながら、前にも手を回してみると先端からとろとろと蜜を溢れさせながら震えている。もっと気持ち良くなるように、と扱いてみると一往復する間に白い背が大きくしなり、手の中に熱い液体が叩きつけられた。え?と思う間にもしなった背はガクガクと震え、数秒の後にぱたりと力を無くして突っ伏してしまう。

「じょ、承太郎、さん?(あれ?もしかしてイったのか、これ)」

 入れたままになっている指はひくひくと痙攣を繰り返す口に咥えられたまま、吐き出して力のなくした肉棒も手の中でひくついていた。腕にかかる脇腹も忙しなく動き、支えていないとずるずるとその場に崩れ落ちてしまいそうに力が入っていない。躯全体の力が抜け落ち、完全に弛緩しているらしい。

「(なんだ?これは……)」

 陶酔状態の頭の隅で理解しがたい今の状況に混乱の色が滲み出ている。どこもかしこも動きそうにないくらいにだるく、また心地いいさざ波のような余韻に浸されていた。味わったことのない快楽だ。

「ふ、ぁん……」
「ッ!?」

 何とか顔を見ようと指を慎重に抜いていると完全に抜ける瞬間、小さな声がもたらされた。少し鼻にかかった高めの甘い声。耳に纏わりつき何度も頭の中で繰り返されるその声が仗助の頬に熱を上げてくる。さらに目の前で腰だけを高く上げたままの姿勢になった承太郎の菊華が惜しげもなく曝されていた。ぬるりとした鈍い光を纏い、ひくひくと小さく蠢きその口から中に注いだローションをとろりと溢れさせている、その光景は仗助の理性を容易くぶち壊せる破壊力を持っている。

「ッ承太郎さんっ」
「ぁ……ぐッうぅ!!」

 感極まったような仗助の声が聞こえたと思った瞬間、躯が裂けるような痛みに襲われる。めり、という音が聞こえそうなその部分は先ほどまで仗助の指を咥えていた位置だ。

「じょ、すけッ!!」
「っく!じょう、たろ、さんっ!力、抜いてっ」
「むちゃ、いうん、じゃ、ね、え!」

 ぐいぐいと容赦なく押しあてられる熱い塊に息が浅くなる。指なんかとは比べモノにならない太さが無理にこじ開け、押し入ろうとしてくるその状態に過去に味わった痛みがひたひたと蘇ってきた。頭を振るい、どうにか散らそうとしていると、背中に柔らかな感触が押し付けられる。

「っ!?」

 汗をにじませカタカタと震える背中を見下して支配欲に浸っていたのだが、クッションを握りしめる指が、シーツを手繰り寄せる手が必死に見えて飛ばしてしまった理性が一気に戻ってきた。途端に一人突っ走った罪悪感と承太郎に痛みを与えてしまったことがとても申し訳なく思う。どうにか宥められないかと眼下にある背へと口付けた。するとぴくっと跳ねて硬直したようだった。

「ッん〜〜〜!」

 肌を柔らかく食むように唇が吸いついてきたかと思えば背骨の窪んだ位置を舌が這いあがってきた。途端に背筋を駆け上がるぞくぞくとした感覚に喉を反らせる。項に到達した唇が耳元で愛らしいリップ音を立てるのを聞いて詰めた息が、ふ、と解けた。その瞬間全身の力がふわりと抜け行く。

「ぅあぁ!!」

 詰めていた息がふわりと解けた瞬間を狙い、ぐっと腰を押し付けると先端が菊華の中へと入り込んだ。その後は招きいれられるようにすんなり奥へと進んでいく。腕の中でびくびくと跳ねる躯を抱きしめて下腹が密着するまで押し進めた。

「ぅぐ、ぅ、ぅ……」

 耐え難い圧迫感で呼吸がままならない。逃れたいのに躯に回された腕が身動き取れなくしてきていた。どうにか身を捩ろうとした時、耳元で荒い呼気を聞き、躯に巻きつく腕がそろりと動いて胸のあたりを擦っている。まるで咳で苦しむ子供をあやす様な手つきだ。

「全部……入ったっス」

 押し込んだの間違いじゃねぇのか、と毒づきたいのに口を開けない。荒々しく呼吸を繰り返すだけで精一杯なのだ。それなのに胸を摩る手とは別の手が太腿の裏を撫でてきたり、脇腹を這いあがらせたり、圧迫感に苦しむ下腹を撫でたりしてぞくりと肌が震える場所ばかり触ってくる。振り払うように身を捩ろうにも突き刺された状態では満足にいかず、むしろ小さく擦れて痛みだか疼きだか分からない感覚で頭がおかしくなりそうになった。

「っは……は、ぁ……」

 細くも詰めていた呼気を吐き出している様子にほっとする。あれほど理性を強く持って当たるようにと心がけていたのに……この甥っ子の色気の前ではそんな決意などチリに等しく呆気ないもののようだ。貪欲に快楽を拾い上げる性器を包む肉筒が想像以上に淫らに締め付けてきている。入口を強く引き締めているくせに内壁は蠢くように絡みついては時折きゅっと締め付けてきた。

「承太郎さん……」

 耳元で興奮気味な声がする。ぎゅっと閉じていた瞳を開くと生理的に滲み出て来たであろう涙が視界をぼやかしていた。息苦しさは一向にマシになる兆しが見えないが、あることに気づく。
 身構えていた以上に痛みという痛みが感じられない。どうやら薬を使われたようだし、仗助が事あるごとに慰めるように体を撫でてくる、というのも原因かもしれないが、それにしたって、と思う。何度かヤって小慣れていればまだしも、今日が初体験だ。薬にしても軽いものだと言っていたので痛みをどうこう出来るとは思えない。

「(……まさか……)」

 ふとある可能性を思いついて冷や汗が頬を伝っていく。そろりと瞳を動かして躯に絡みつく仗助の手を見た。けれどそこには男らしいごつごつとした節くれ立った手があるだけで、自分の思う『手』は見当たらない。

「うごき、ます」
「!ちょ、ま」

 耳元で荒い呼気に交じった声を聞いた。次いで腰を鷲掴みにされる感覚に、はっと気づいたが、もう遅い。抑止の声も言い終わらぬ内に体内に埋め込まれた熱がずるり、と抜け出ていく。

「んっ、ぅう!」

 熱くねっとりと絡み付く内壁を振りきり、押し込んだ自らの欲望をゆっくり引き抜いていると離したくないと言われているかのように口がきゅうきゅうと絞まる。奥へと導くようなうねりを加えて絡み付いてきた内壁。更に抱き込んだ背がしなやかに反り、白い喉を曝け出すように仰け反る。

「っく、うぅう!」

 抜き出した自身を再び時間をかけて押しいれると、目の前の背中ががくがくと震え腰を跳ねあげさせた。ゆっくりと抜き出せば嫌がるように捩られ、押し込めば迎え入れるように押し付けてくる腰の動きに頭がくらくらとする。

「(処女のくせにこんな動きするとかっ!えろすぎっ!)」

 菊華が慣れるまでは、とぞくぞくする背筋と積み重なる射精感に抗いゆったりとした動きを繰り返した。けれど、こぼれ出てくるのはくぐもった声ばかりでさっき聞いてしまった艶っぽい声には程遠い。クッションに埋め込んでいるから当然ではあるのだが、どうにかしてまたあの声を聞きたかった。
 何か方法はないか、と律動の合間に考えた結果、ふとひらめいた。

「ッ!?じょ、じょうすけ?」

 ふと揺さぶり上げてくる動きが止まり、乱れた呼吸が僅かに楽になる。けれどぐずぐずと腰の奥で疼く熱がもどかしくて仕方ない。腰を掴んでいた手が片方離れていくのに気付き、閉じた瞳を開くと片腕を引き上げられた。唐突だったその動きに驚き上体だけが僅かに振り返るような姿勢になったおかげで見えた仗助の顔をじっと見上げる。

「……声」
「え?」
「声、聞かせてほしいっス」
「!ぅあ!」

 熱っぽい声が縋るような言葉を紡ぐ。それにぴくりと躯を跳ねた時にはすでに行動に移されていた。クッションへと埋めることの出来なくなった口から吐息に混じり艶を含んだ声が溢れる。

「あっ、や、やめっ、ぅあ、っぁん!」

 噛みしめることも出来ずひっきりなしに溢れる声を聞きたくなくて首を振るう。せめてぐちゃぐちゃになっているであろう顔を見せてなるものか、と最後の意地で仗助の視界から顔を反らして隠した。
 腰を打ちつける度に掴んだ腕の先で指がぴくぴくと跳ねて宙を引っ掻いている。待ち望んだ甘い声もふんだんに零れ落ちて耳に心地いい。わがままを言うならば悦楽に啼き叫ぶ顔を見たかったが、今日はこれ以上望むのは高望みすぎるだろうとぐっと堪えた。

「(今度するときは正常位で決定だな)」
「あぁっ!あ、あっ、ぁあッ」

 高ぶる熱に比例して打ちつける腰の速度も上がって行く。締め付けの強くなる内壁に仗助は熱い呼気を吐き出してラストスパートに入った。全身をぞくぞくと駆け巡る快感が限界にきているのだ。腰の奥にわだかまる熱を吐き出したくて仕方がない。掴んだ腕も痙攣を始めていて時折ひきつるように大きく跳ねる。

「じょ、たろ、さんっ……イくっスっ」
「あっ、あッ、じょ、すけっ、じょおっすけぇっ」
「ッく!」
「ぅあぁぁぁぁ!!!」

 痺れた舌先で必死に名前を呼ぶと一際強く叩きつけられた。腰の奥で弾け飛んだ快感の塊に自身の肉棒がどくっと白濁した蜜を吐き出す。その解放感にひくっと喉を反らせると耳の傍で息をのむ音が聞こえた。ついで躯の中に熱い飛沫が叩きつけられて頭がくらくらと回る。びくびくと震える楔を体内に感じ、絶頂の余韻を味わい合った。

 * * * * *

 終わった瞬間、かくりと崩れ落ちた承太郎は意識を手放していた。そんなに酷く扱ってしまったか、と青ざめたが寝息が思ったよりも穏やかだった。起こさないように彼の中で萎えたものを抜き取り、簡単に拭うとまた触りたい衝動を突き動かしてくる魅惑のラインを隠すように上掛けで下半身を覆い隠した。
 ベッドの端に座り込むと仗助はぼんやりとしていた。けれど時折慌てたように顔を引き締める。先ほどまで曝されていた承太郎の痴態に思わず鼻の下が伸びてしまうのだ。正常位は出来なかったので表情を見れなかったが、ひくひくと震える躯に零れ落ちる普段よりも幾分高く甘い声に弛む頬を引き締める事が出来そうにない。両手で顔を覆い、静かに身悶え続けた。

「(……それにしても……)」

 ひとしきり身悶えた仗助はふと横たわる体を見やる。うつ伏せになり腰から下だけ覆い隠した姿はしどけなくて非常に目の毒なのだが、それよりも気になる事があった。
 承太郎の躯の反応だ。
 躯を重ねる上で調べられるだけ調べた結果、初めは男だろうが女だろうが相応の痛みはあるのだという。それを少しでも軽減出来ないかと調べてみたところ、全身を出来る限り弛緩させるのがいい、という情報を得た。ではどういったことをすれば弛緩するのか?てっとり早いのはリラックス目的のマッサージ。それも温感マッサージは特にいいらしい。全身を撫で回し、擽ったそうにしたところは性感帯になりやすいというのでしつこく撫でていたら効果は確かにあった。後ろを開く際にも痛みが軽減するように、と『温熱ジェル』を潤滑剤に使用した。それも効果てき面だったらしく、不快そうな声はすぐに熱のこもったそれへと変わっていった。特に躯の反応はまるで自分が屈指のテクニシャンになったかのような錯覚に陥りそうなほどイイ反応を返してくれた。
 ただの温熱ジェルだけであそこまではいくまい。とすると、彼自身が敏感で感受性が高く、自分との躯の相性が高いのではないだろうか?
 その特別感がまた仗助をつけ上がらせているのは自身でも分かっていた。何より承太郎に痛みばかりを与えずに済んだことが嬉しい。

「……承太郎さん」

 起こさないようにそっと呼びかける。返事を期待してはいなかったが、小さく呻くような声が漏れたのに笑みが漏れた。そろそろとすぐ傍に寝転がると優しく髪を梳いていく。起こしたくはないけれど、起きてほしいなんとも複雑な心の現れが指先に出ていた。

「(起きたら怒るかな?それとも呆れた顔して何でもない風に対応しちゃうかな?)」

 どちらの反応でも彼らしくていいな、と小さく笑いながら仗助は飽きることなく髪を梳いて行く。

 しかしその予想は、飛び起きた承太郎が仗助の顔を見た途端真赤になってクッションへと突っ伏したことによって大きく裏切られることとなる。
 二人してどうしていいか分からずに固まってしまうまであと数分。


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