教えて妖精さん!6

たしかに幸せだが、どう考えても性教育をまともに受けていないイルカをどうやって食べようか。
流石のカカシも、こんな相手は初めてなので、どうやったらいいか迷う。
ホテルから連れ帰ったイルカには先程から風呂に入るようにいってある。顔も服も涙と鼻水でどろどろだったし、イルカは、美味いものを食べたときと、 風呂に入ったあとはご機嫌になるからだ。イルカはこんなときでも、ちゃんとぬいぐるみとサボテンに挨拶してから、風呂に入っていった。 イルカは長湯なので、しばらくは出てこないだろう。
着替えの用意も、飯の支度もしておいたし、後は本人にどうやってこちらの意図を伝えるかだ。恐ろしいくらいこういったことの知識に欠けているイルカは、 多分何をされても理解できないだろう。…別に理解させなくてもいいのか。
思索にふけっていると、風呂から上がったイルカが、どたばたと駆け寄ってきた。
「あの!お風呂空きました!お待たせしました!!!」
いつも長風呂のイルカにしてはずいぶんと早いと思っていたら、カカシのために、慌てて上がってきたらしい。
流石に、今お前をどうやって食うか考えるのに忙しいというわけにもいかず、言われるままに風呂に入った。
カカシはシャワー派で、もともと烏の行水なので、さっさと出てくるとなぜかイルカが居間で正座して待っていた。
食事の用意をしておいたちゃぶ台が、部屋の隅に移動してある。面食らっていると、イルカがおもむろに頭を下げた。
「不束者ですが、いく久しゅう。」
どこで覚えてきたのか知らないが、震える声で一生懸命だ。イルカなりに必死に考えたものらしい。イルカが土下座したまま頭を上げない。 カカシもイルカの前に正座して、頭を下げた。
「こちらこそ、不束者ですが、幾久しくお願いしますね。」
イルカはさっと頭を上げて、感激のためかふるふる震えながら、カカシに飛びついてきた。カカシはイルカを抱きしめながら、下ろした髪や、 洗い立てのイルカの匂いに、己の中に欲望の炎が灯るのを感じた。
だが、その前に食事だ。イルカは今日ろくに物を口に入れていないようだったし、見合いの席がお流れになった後も、泣きじゃくって体力を消耗しているはず。
「ご飯にしましょう。」
「うぅ。はい。」
やはり腹が減っていたらしく、食べ始めると、例によって、小動物のように口いっぱいに飯をほおばりながら、どんどん食べていく。
カカシももうなれたもので、口についた飯粒をとったり、ご飯のおかわりをよそったり、色々と手早く世話を焼いた。
だが、その時にみせるイルカの輝くような笑顔に、今日はやめておこうかと思っていた欲を抑えきれなくなってきた。
実は、今朝イルカ宅に来たときに、抜かりなく必要そうなものは一通り持ち込んではあるのだ。…だが、イルカは疲れている。さて、どうしようか。
悩みながら食器を片付け、その間にイルカには歯を磨かせた。先に布団で休むようにいって、カカシも歯を磨いて寝室に入ると、なぜか熊のぬいぐるみが ベッドの上から移動しており、その代わりの様にベッドの上には再び正座したイルカが乗っかっていた。
何事かと思っていると。イルカが恥ずかしそうに顔を上げ、
「あの、宜しく、お願いします。」
といった。
その瞬間…カカシの中で、何かが勢い良く千切れる音が響いた。
意味は分かっていないだろう。それは確かだ。おそらく親バカ連中の誰かから、断片的な知識を教え込まれ、それを実行しているに過ぎない。 理性はそういっている、そういってはいるのだが…。
カカシの欲望は、声高に、「食っちゃえ食っちゃえ。経験から学ぶ事だってあるよ。」とそそのかしてくる。
…気が付けば、イルカは真っ赤になってカカシの下で喘いでいた。寝巻きの浴衣も大きくはだけている。
やはり欲望の方が強かった。こうなったら止まれないかもしれないが、せめて優しくしてやらなければ。そう思っていたのに。
イルカが涙目で訴えてくる。
「カカシさん。あの。怖いです。」
そんなことを言えば返って煽るのが分からないんだろうか。…分からないんだろうな…。同じ男とは思えないような反応だ。
「大丈夫ですよ。」
我ながら、胡散臭いことを言いながら、イルカのあちこちを手を滑らせる。滑らかな肌だが、筋肉の質は確かに男のものだ。 しっかりしていて、鍛錬を欠かしていないのが良く分かる。だが、服を脱がせると、思っていたより骨格は華奢で細かった。 いつも飯を食うときは、うれしそうにもりもり食べているし、小動物の様にふにふにしているイメージがあったので、意外に思った。
指先に触れるあちこちに散らばった傷が、イルカも一応忍びなのだと教えてくれる。身体を震わせている様子からすると、結構感じやすいようだ。
背中に一際大きな傷があり、そういえばイルカがナルトを庇ったのだと思い出した。
…妖精を信じていようがいまいが、イルカの本質は変わらない。自分のことは後回しで、今日だって弱いくせにカカシを庇おうとした。 腹がたって仕方ない。今後一切、イルカに傷をつけさせないと心に誓う。
…風呂も一緒に入ればよかったかもしれない。明かりが落としてあっても、忍びの目は問題なくイルカの姿を映してはくれるが、 やはりしっかり目に焼き付けておきたい。終わった後、一緒に風呂入る事に決めた。
「カカシさん。っ。…カカシさん。」
イルカが心細そうにカカシの名を呼ぶ。
「怖いことはしません。ただイルカ先生とずっと一緒にいたいから。」
優しく頭をなでてやりながら告げると、イルカが涙目ながら、ニコッと微笑んで、嬉しそうに笑った。
「ずっと?」
「はい。」
「じゃあ。頑張りますね!でも…。何したらいいんですか?」
やはり全くこういった知識がないようだ。相変わらずふるふると震えながら、不安そうにしている。カカシに何をしたら良いか分からなくて、 不安なのだろう。体の方は正常に反応して、カカシの手の中でけなげにも勃ち上がっているのだが、今までどうやって処理してきたんだろうか。
「体の力を抜いて、俺のことだけ見てて。」
ひどいことをしている自覚はある。三代目辺りが知ったら憤死ものだろう。だが、絶対に約束をウソにはしない。こんな生き物を置いて死んだりできないし、 一生イルカに飽きない自信もある。
イルカはカカシに言われて落ち着いたようだ。そっと体の力をぬいて、熱に浮かされたような瞳でカカシを見つめている。
…なにせ、カカシはイルカだけの妖精なのだ。その信頼にこたえるべく、絶対に最高の思い出にしようと思う。
イルカを抱き起こし、先ほどいい反応をしていた背中の傷や、腰骨のあたりをなでながら、そこここにくちづけを落とし、イルカのものも擦ってやる。
「やっ。あ…うぅ。んっ。」
イルカは、泣きそうになりながら、快感に耐えているが、抵抗は全くしてこない。むしろカカシの頭に縋りついてくる。
「ね。きもちいいでしょ?」
イルカのものはもう限界に近づいている。そろそろ吐き出したいはずだ。
「はい。あ…っ。も、だめ。んんっ…。」
小さく声を上げ、イルカの腰が震えた。カカシの手の中に熱がはじける。イルカは放出の衝撃で完全に力が抜け、カカシにもたれかかってしまっている。 イルカの声やすがり付いてくる様子で、カカシもかなりキているが…イルカのためにはこの辺りでやめておいた方がいいのだろう。 イルカは相当頑張ってくれた。今日のところはもう十分だ。
「イルカ先生、大丈夫?もう、寝ちゃう?」
そう思ったから、聞いてやったのに、イルカはだるそうにしながらも、カカシにすがりついてきた。そして。
「カカシさん、お返し。しなくちゃ。」
とんでもないことを口にして、そのままカカシのものに手を伸ばし、ぎこちない手つきで触れてきた。
「ちょっ!まった!」
カカシが慌てて止めようとしたが、イルカは一生懸命なあまり聞こえていないらしく、真っ赤な顔でたどたどしく手を動かしている。本来なら、 下手すぎて反応しないところだが、必死なイルカの表情とそのつたない所作にかえって煽られる。それでなくても、先ほどからイルカの痴態で 十分元気になっていた己の分身は、限界に近づいていた。このままではイルカの顔にかけてしまう。
慌てて強引に引き離した。
「イ、イルカ先生。あのね…」
「どうして?やっぱり俺じゃだめなんですか…?一緒にいるって言ったのに…。」
ギブ&テイクが原則のイルカにとって、自分だけが気持ちよかったのが許せなかったようだ。…もう、がまんできない。というか俺は十分がんばった。 同じ目にあって、これ以上我慢できる奴がいたら、尊敬してやる。
「イルカ先生。…これから痛いことしちゃうかもしれないんだけど。耐えられる?頑張って痛くないようにするけど…。今日は頑張ってくれたから、 今度でもいいんだよ?」
我慢する気などないが、一応断っておく。イルカが絶対に断らないと知っていて言っているのだから、これは単にカカシの罪悪感をごまかすためだけの質問だ。
確信犯で聞いているのに、イルカはカカシのほうを真っ直ぐ見て、言った。
「あの、頑張ります!だから、教えてください。」
我慢するつもりのなかった欲望が、更に燃え上がり、目の前が真っ赤に染まったような、気が、した。
*****
イルカが流石に可哀相なので、やり過ぎないようにするつもりだったが、あまりにも煽るようなことばかり口にするので…大分やり過ぎてしまった。
風呂に入れたときも、ぐったりしているイルカにくっ付かれて、必死で欲を押さえ込もうとしているというのに、イルカが少しの間も離れるのを嫌がり、 すがり付いてくるものだから、我慢などできようはずもなく。
…結局はじめての相手に対して、酷な真似をしてしまった。
疲れきったイルカは、それでも幸せそうにぷーぷー寝息を立てながら、カカシにくっ付いたまま眠り込んでいる。時々くすくすと笑っているが、 夢の中で、甘いものでも食べているのだろうか。
なんとなく、自分以外に対して笑っているかもしれないと思ったら、不愉快になったので、そっとイルカの鼻をつまんでみた。いくらイルカが鈍いといえど、 流石に苦しいらしく、もぞもぞと難しい顔をして身をよじっている。だが、それでもカカシから離れようとはせず、むしろ前より顔をくっつけてくる。
やっとこの難しい生き物を手に入れた。最初はこんな任務はお断りだと思っていたし、イルカの扱いには非常に苦労したが、イルカがカカシのもの になるための、それこそ試練だったのかもしれない。
運命など信じていなかったが、これがそうだというのなら、三代目には感謝しなくては。…本人は今頃、恐ろしい悪夢でも見ているだろうが。
ぴったりとくっついてくるイルカの体温に、喜びと心地よさを感じながら、カカシもそっと目を閉じた。

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