ウソツキ。

「何か悩み事あるんなら、俺にできる事なら何でもしますよ!」
笑顔でそういってくれた。
「ホントに…?」
俺が考えてること知ったら絶対に拒まれるって知ってる。だからずっと我慢してた。
…それでもこの思いを捨てられなかったから。
でも、この人なら…。
「ええもちろん!」
何でも受け入れるって顔で、声で、瞳で。
…そんなコト言うアンタが悪い。
「じゃ、ヤラセテ?」
*****
「で、その言葉に頬を桃色に染めて恥じらうイルカ先生を朝までじっくり…」
「ヤラセテって何やらせようとしたんだってばよ?イルカ先生はカカシ先生と違って忙しいんだから変なことさせたらダメだってばよ!」
「…低レベルなうそつくんじゃねぇよ。上忍のくせに。」
「キャー!?カカシ先生!セクハラですよ!それ!」
「あはは!」
「こんの馬鹿上忍!子供たちになんてこと…」
たまたま通りがかっただけなのに…どうしてかわいい元教え子とその上忍師のこんなふざけた会話を聞かなきゃいけないんだ!
「なぁなぁ!イルカ先生!カカシ先生になんかされたのか!?大丈夫なのかってばよ!…もしかしてエロ本買いに行かされたとか…!?」
「コイツの言ってること。…ホントなのかよ?」
「やだぁもう!サスケくんったら!そんなコト聞いちゃ…」
「っ!うそつくんじゃねえ!俺のこと強引に…」
子どもたちは騒いでるけど、それ所じゃなかった。
にやにや笑ってるカカシさんの意図は見え見えだ!だって、今日は…!
「えー?だってエイプリルフールだしー?」
当の本人はふざけた顔でヘラヘラしてたけど…。
「カカシ先生!イルカ先生がいくらぼんやりしてるからって、こき使うなんてサイテーだってばよ!」
「…うそだろ…?格下の中忍だっていっても里内で…!?しかも男だろ!?」
「きゃー!もう二人とも!何てこと言ってるんですか!」
ああもう!ホラ見ろ!
ナルトは怒ってるし、サスケは…何かいらんこと考えてるみたいだし、サクラに至っては…何で喜んでるんだ!?
「ナルト!大丈夫だから!サスケも!この人のいうコトを信じるんじゃない!サクラも落ち着け!」
「ほんとに大丈夫なのかってばよ?」
「まあ、…ありえないな。」
「もしかして…照れて…!」
騒ぐ三人をいさめてみたけど、ナルトはまだ怒ってるし、サスケはまたなんか勝手に納得してるし、サクラも…だからなんで喜んでるんだ!
騒ぎを収めるのに頭を痛めていたら、カカシさんがいやみったらしい口調でまぜっかえしてきた。
「えー?そんなこといっちゃうんですかー?」
こんなコト言われる筋合いはない!そもそも…
「事実でしょう?…ウソツキなのは。」
「昔はね?」
にこっと露になった片目でを細めてちょっと得意げな顔までしている。
「はぁ…。」
この大嘘つきにしてやられてからもう1年。
あんな目にあったら忘れようもない。
*****
切欠はナルトたちだった。
アイツは大物になるって…いつかほんとに火影にもなれるって信じてたけど、やっぱりアイツのどたばた具合がちょっと心配で…。
俺は、上忍師を引き受けてくれたカカシさんに声を掛けた。
飲んで食って、それから色々話して…俺なりにこの人なら大丈夫だろうと思った。
ナルトのこと抜きに出会ってても楽しかっただろうなと思うくらい博識で、ちょっとつかみどころがない感じもするけど、驕った所もなく、子どもたちのことを考えてくれて、うわさとはぜんぜん違って、優しくて気さくな上忍だった。
この人が上忍師でよかった。
雲の上の人だから、もうこういう風には二度と会うこともないだろうことを残念に思うぐらいになんていうか、感じのいい人だった。
だから、最初に誘ったのは俺なんだけど、2度目の誘いはカカシさんからだった。
「今日、どうですか?」って誘われて、最初は意味が分からなくて「は?」って返しちゃって、でもカカシさんの手が杯を傾ける格好なのに気付いて、ソレで慌てて大声で「行きます!」って言った。
くすくす笑うカカシさんに、「じゃ、待ってますね?」とだけ言われて、顔真っ赤にする羽目になったけど、その時も楽しくて、沢山飲んで食って話した。
結局…それからも結構ウマが合うっていうか、それなりの頻度で酒飲みに行く仲になったわけだ。
カカシさんは、楽しいけど、ちょっと変わった人。
でもその認識に新しい特徴が加わった。
…時々小さな嘘をつく。
*****
「カカシさん。今日。どうですか?」
「あー…すみません。ちょっと任務が。」
コレで何度目だろう。
カカシさんは時々ウソを付く。
確か…俺がうっかり飲みすぎて寝潰れた翌日からだったからだろうか?
俺が飲みすぎそうになると、任務がって言って途中で帰ったり、今日みたいにAランク任務の帰りなのに、さもこれから任務があるみたいな言い方をして、俺を避ける。
まあ、Aランク任務受けてるくせに、疲れも見て取れないだけじゃなくて、汚れさえないくらいだから騙されると思ってるんだろうけど…。
俺は、残念なコトに任務受付所勤務だ。
カカシさんの任務がいつなのかも知ってる。
だからそんな無茶な任務は入れないってことも知ってる。
それなのに、この人が特殊な瞳を持ってるっていっても、ここの所ずーっとこの調子だ。
…抜けたはずの暗部の任務があるんだとしても、こんな組み方はしない。
無茶をさせればそれだけ危険が上がって、結局戦力が下がるし、三代目はそういう無茶を何より嫌うから。
何か事情があるとか、本当に任務なのかもしれないと悩んでたけど、断られた後、たまたま一人で飯食ってるトコみちゃったから。
だから、これが多分ウソなのは分かる。
飲んでて楽しかったのは俺だけなのかなとか、思ったけど、普通にカカシさんからも誘ってくるから訳が分からない。
何か事情があるんだろうと、本人から言い出すの待ってたけど、どんどん何か…様子が変になってくし、ふとした時に疲れた顔してため息とかついてるの見ると…なんか、胸がギリギリ締め付けられてるみたいに痛んだ。それなのに、すぐにソレを隠して笑ってるのも。
…騙されたフリを続けるつもりだったけど、もう無理だ。
「嘘はいけませんよ。」
俺の言葉にちょっとびっくりした目をして、…でも一瞬で表情を消してからかうような口調で話し出した。
「ねぇ。だったら、どうしてくれるの?」
さすが上忍だ。
一瞬の戸惑いと、それから苦痛を堪えるような表情は、もう完全に押し隠されてしまった。
「イルカ先生?」
くすくす笑うその口をふさいでやりたい。
…ホントは辛いくせに、何で隠すんだ!
「とりあえず。俺んち来てください。…酒はあります。つまみだけ買って…」
それでも俺は、平然と応えてやった。
カカシさんがどうあっても言わないつもりなら、俺も受けて経つまでだ!
「イルカ先生は俺と酒飲むの楽しい?」
唐突に…俺の言葉を断ち切るようにカカシさんが聞いてきた。
完全に感情を消したその声はまるで機械のようだ。
それなのに、俺にはソレがカカシさんの悲鳴みたいに聞こえた。
何でかわからないけど、この人は苦しんでて、それを…今なら俺に打ち明けてくれるかもしれない。
「ええ。もちろん。…実はもう仕事終わってるんです。行きましょう!」
カバン持って、それから逃げられないように手を引いて。
「イルカ先生は漢前だなぁ…。」
そう呟きながらカカシさんは俺の手をぎゅっと握り返してくれた。
その様子にも後押しされて、改めて気合を入れた。
カカシさんを連れて帰って、全部白状させる!
*****
「は?」
今、この人なんていった?
畳みに染みを作りながら、コップが転がっていく。
「だから、ヤラセテ?」
そうだ、ちょっと怒った声で、静かな激情を堪えた瞳で、でも、どこまでも冷静な態度で、…確かに言った。間違いなく俺に向かって。
俺を、どうしたいんだろう。この人は。
やっぱり怒ってるのか、それとも任務なのか?
背筋を這い上がる様な混乱を後押しするのは、強すぎるその視線。
俺だけを見ている。
「なに、言って…」
「何でもしてくれるって、言ったよね?」
こぼれた酒のせいで、部屋中ほのかに麹の香りが漂っている。
酒に酔ってるからだ。
そう信じたいのに、カカシさんは今にも食いつきそうな瞳で、俺がコップを取り落としたことなど気にも留めない。
これが、カカシさんのウソの理由か?俺は…こんなにカカシさんを怒らせるようなことしたのか?
「なんで」
ちゃぶ台を強引によけたのに驚いてたら、吐息が掛かるほど間近にカカシさんがいた。
上忍らしく気配もなく距離を詰められて、無様に手を突いて仰け反ってしまった。
…視線がそらせない。
強すぎて、見ているのが怖いのに。
そんな俺にうっすらと笑みさえを浮かべたカカシさんが、歌うように囁いた。
「エイプリルフール…」
「え?」
そういえば、今日は4月1日だ。
なるほど。上忍ならやりかねないかもしれない。こんなたちの悪いウソでも。
安堵と、でも僅かな落胆に力が抜けた。早まったままの鼓動が何のせいなのか自分でも不思議に思いながら、そのもどかしさを誤魔化すようにことさら明るく振舞った。
…なんでもなかったコトにしたかったから。
「あ、何だそうだったんですか!こんなたちわるい嘘は…!」
理由が出来てそらせた視線にホッとしながら、今にも俺に覆いかぶさってきそうなカカシさんを押しのけようとした手をぎゅっと捕まれた。
「…にするつもりだったんだけど。やっぱり無理。」
「え?」
「諦めてね?」
多分、一瞬だったんだろうけど、スローモーションみたいに、ゆっくりと俺を押し倒すその顔を見ていた。
自分の方が呆れたみたいな顔したカカシさんを…その顔がぼやけるくらい近づいて、その薄い唇が俺の口をふさぐまで。
*****
「んっんんっ!?」
訳が分からない内に何か始まってしまった。
キス、されてる!
驚いて目を見開いてたら、俺の反応をじっと見つめるカカシさんと目があった。
酔ったようで、それなのにどこまでも冷静に俺を捉えようとするその強い瞳が、食らいつくように俺をむさぼるその舌が、俺の思考を摘み取っていく。
ぬるぬると絡みつくそれに、俺は簡単に流された。
身体が勝手に反応して、腰が浮く。そのままカカシさんのもたらす熱に溺れそうになった時、擦れた背中のせいで、自分の身体が畳みに押し付けられているコトに気付いた。
「ここで、いいよね?」
ふ、熱の篭ったと息を吐いて、ベストを引き剥がすその手に、迷いはない。
服を脱がされてて、今までキスしてて…っていことは…!
いくら鈍い俺でもこれからなにが起ころうとしてるのか位はわかる。
「まっ待って下さい!」
ベストを投げ捨てて、アンダーまでめくり上げようとしていたその手を止めた。
ハズだった。
「待ってて言われても犬じゃないんだから待てないよ?」
止めたはずの腕は邪魔だとばかりに両方まとめて頭の上に縫いとめられてしまっている。それも片手で。
もう一方の手は、もうズボンにかかっていて、それももう半分以上脱がされかかってる。
「なんで、こんなコトするんですか!?俺は…なんかアナタにしましたか!?」
淡々とコトを進めていくカカシさんを止めたいというより、こんなことされるようなことをしてしまったのかって不安のほうが先立った。
確かに酔っ払って色々…多分やらかした。
つぶれて持って返ってもらっちゃったし、時々は絡んだりしてたのかもしれない。俺は楽しかったけど、カカシさんは…。
俺は、この人に何かしてしまったんだろうか。…こんなコト腹いせでされるようなとんでもないことを。
怒りよりも悲しくて、涙が勝手にこぼれた。
「ちがう。」
不安が顔に出てたのか、言葉にしてないのに、辛そうな顔したカカシさんがそう言った。
服なんかじゃなくて、俺の頬に触れて、涙を掬い取る指が俺の痛みをやわらげてくれた。…だって、いつもの時みたいにやさしい。
「じゃ、じゃあなんで…?」
その指に励まされるようにしゃくりあげるようにして、問いかけた。
理由を、知りたい。
もう誤魔化されるのなんかイヤだ!
自由にならない手がもどかしい。本当ならこの人に触れたいのに。
「好きなの。」
「…押し倒すのが?」
確かに浮名を流してたのは知ってるけど、男相手にまでこんなコトする人だとは思わなかった。もしかして、俺の反応が悪くてこんなことしてるんだろうか?でもそれじゃ今までついてたウソの理由にならないし。
びっくりして涙は止まったけど、俺の頬をなでるカカシさんの手は止まらなかった。
「そういう天然なトコも好き。」
ちょっと寂しそうに諦めたような目で、でも嬉しそうに俺を頬を撫でる。
まるで大事なモノに触れるみたいに、そっと。
ああもう…何なんだよ!騙されたくなるじゃないか!この…!
「ウソツキ!」
「なんでそうなるのよ?」
頭突きかましてやろうとしたけど、よけられた。でも、面食らったみたいな顔してる。
本気で不思議そうなのが腹が立つ。
「だって…俺飲みに誘っても断ったじゃないか!…ホントは俺のことなんか…!」
好きだなんて知らなかったけど、一緒に飲むのは楽しかった。好きな人相手なら…なおさら断らないはずだ。
それに…俺なら好きな人相手にこんなコトしない!
何でか呆れたような顔してるカカシさんに腹が立って仕方なくて、蹴りのひとつも入れてやろうと思ってたら、カカシさんがでかいため息をついた。
「ああもう!当たり前でしょ?アンタ俺がこういうコトしたいって分かってる?」
「あっ!」
ズボン、そういえば脱がされてたんだった!
突っ込まれた手が我が物顔で、俺のモノを握り込んだ。
先を弄って、こすって…その刺激が同じ男だからか妙につぼを得ていて…それに、触れているのが誰の手なのかを考えたら、さらに一気に血が上った。
「上忍だからね。それなりに自制心っていうか、コントロールできると思ってたのよ。酒なんか飲んでも酔わないし。」
「は、なしてください…!っ!」
自制心があるのは知ってる。任務帰りとかに何かを堪えるような顔を一瞬だけ見せてくれたから。…すぐに消してしまったソレが心配でずっと見てたから。
「でもねぇ。アンタ無防備に酔いつぶれたりなんかするから。」
「んあっ!」
立ち上がったものをはじかれて、それさえ俺を猛らせる。
ああもう!何でこんなに上手いんだ!
気持ちよすぎて思考がまとまらない。
…でも、確かにそういえば酔いつぶれた頃から様子が変になった。
「我慢できなくなる前に、距離置こうと思ったのに…誘ってくるじゃない?」
「う…!」
確かに誘った。つぶれた時は恥ずかしくて申し訳なくて、流石に自重しようと思ったけど、この人と飲むのが凄く楽しいし、どうしても止めたくなかったから。
「俺だって一緒にいたいから、どうしてもやばそうな時はちょっと誤魔化して。だから、俺すっごく我慢してたのよ?なんで誘うかなぁ?しかもこんな…自分の家とか。」
「そんなの知らな…」
だって知らなかった!ただ一緒にいるのが楽しくて、失いたくなくて、隠し事去れてるのが悲しくて…だから俺は!
「こんなトコ誘ったら襲われても文句言えないでしょ?」
手を止めずに僅かに殺気さえ感じさせるカカシさんは、多分怒ってるんだろう。
でも、俺にだって言い分はあるんだ!
「だから…っ!何で、それ…っ!んっ、言ってくれなかったんですか!」
気合いで下半身に集中しそうな意識を繋ぎとめて、必死で言った。
知ってたら、俺だって!
「言ってどうするの?アンタ見てるとめちゃくちゃにしたくなるから一緒に酒飲むのはイヤですって断るの?出来るわけないでしょ?」
「そ、それはそうですけど!」
確かに急にそんなコト言われてもびっくりするけど!でも…!
…だって寂しかったんだ。断られて。すごく。
何で一緒にいてくれないんだって、ちょっとうらんじゃうくらいに。
それにしても、やっぱりこの人は器用だ。
時々しか苦痛も思いも見せてくれなくて、なんでもない顔して酒飲んでたし、今だってこんなコトしながら話してる。
俺が必死で上がる息を堪えてるって言うのに涼しい顔で。
その差にものすごく苛立った。もっと言いたいことがあるのに…!
「でも、そうね?最初に言っとけばよかったか。」
「え?」
急に、手が止まった。…それに嬉しそうに笑ってる。
腕が自由になったのに、驚いて固まってたら、カカシさんが耳元で囁いた。
「だって、嫌がってないもんね?」
「んっ…!…イヤでは、ないです。…嬉しいのか…?」
その声にもぞくっと来たけど、確かに行為自体は嫌がってなかった気がする。ただ好き勝手されるのがイヤだっただけで…。
気持ちイイからじゃなくて、俺に触れてるのがカカシさんだから。
…ああそっか。俺カカシさんのこと好きだったのか。
導き出された答えに、ものすごく納得した。
「なーんか頼りないねぇ?ま、いいけど。」
カカシさんがため息ついたかと思ったら、膝の辺りで蟠ってたズボンを引き下げられてしまった。
部屋の隅に投げ捨てられたベストの仲間入りを果たすのを見送って…冷静になってみれば俺。今殆ど服着てないし!
「あ!わっ!ちょっと待った!あの!少しずつ段階踏んで!」
どうしてこんな時に限って鎖帷子も下着も着てないんだ俺は!…洗濯サボるんじゃなかった!
慌てても、俺に伸びる手は止まらない。
「イ・ヤ。」
無常にも、笑顔のカカシさんは欠片の躊躇いもなく、俺の最後の砦である上着も引っぺがしてしまった。
「あぁっ!なんで!?んぁっ!」
脱がされたそれがベストとズボンの仲間入りをするのを見届ける前に、俺の視界は遮られた。
「だってそんなコト言われたらもう我慢できないし?」
ニヤリと笑ったその顔が、舌なめずりする獣に見える。
「っ!」
背筋を走ったぞくっとする感触に、とっさに逃げようとしたのに、捕まった。
「…逃がさない。」
欲望に染まったその瞳にとらわれて、身動きも出来ずに俺を暴く手を見ていた。
どこかホッとしてる自分を滑稽に思いながら。
*****


*****
まあそれからのことは言うまでもないんだが。
「安心して?気持ちよくするから。」
「…ホント誘うの上手だよね?」
なんていいながら嬉しそうに笑う男に、しっかりめちゃくちゃにされた。
それなのに、今日もウソの上手い男は、怒り狂う俺に驚いた子どもたちをその舌先三寸で巧妙に追い立てて、笑ってる。
その余裕にも腹が立つ!
「なんてこと言い出してやがる!」
「だって、エイプリルフールだからって、あいつ等が下らないウソつくから。ちょーっとからかってみたくなったのよ。でも、忍があんなんじゃダメだよねぇ?」
ベストの襟首つかんで揺さぶってやっても、楽しそうにこんなコト言い出すんだから話にならない。
「アンタが言うな!」
「あはは!」
あれから…俺が怒っててもなにしてても、こうやって嬉しそうにしてるから質が悪い。
まあ、俺も側にいてくれればそれだけで嬉しいんだけど、何か負けたみたいでイヤだ。
でもその度に反応が薄いから怒るのが馬鹿らしくなるだけどな…。
でもコレだけは言っておきたい。
「全く…そういうたちの悪いウソつくのいい加減止めなさい!」
目を見つめて言ってやったら、イタズラする時のニヤッとしたたちの悪い笑顔を浮かべていた。
「うそじゃないでしょ?…目潤んでて、顔赤くして…可愛かったよ?」
「わー!?アンタもう黙れ!」
…こういうのも、流石にもう慣れ…るわけないし!往来でなんてこといいやがる!それも結構頻繁にそういう話するし…!!!
俺が口をふさいだはずの手に口づけられて、慌てて引っ込めたら、ウソツキは嬉しそうに囁いた。
「ふふ…大好き。」
ああもう!なんで、こんなヤツ好きになっちゃったんだ!?
…せめてもの意趣返しなんてコレくらいしか思いつかないけど。
「…エイプリルフール?」
どんな答えが返ってくるかと思ったら。
「もう、嘘にはできないよ。」
カカシさんは、そういって晴れやかに笑った。

…やっぱりこのウソツキに勝てそうにない。


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ト○ビア的な「ウソツキ…!」っていうのを書きたかった。…ハズなのに…!?
嘘にはさせない黒上忍ってことで?途中の☆印からただやってるだけ的なオマケにいけますので…。
ご意見ご感想などございましたら、お気軽に拍手などからどうぞー!


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