春の陽気の4(適当)



これの続き。短いです(´・ω・`) 


「三代目、申し訳ありません。急に…」
「よいよい。それで…なにがあった」
老獪な里長は、自分のようなただの中忍に対しても、もちろん下忍にも上忍にも平等で、常に冷静で優しい。
何があってもこの人なら何とかしてくれると信じられる。
おまけに俺にとってはある意味親代わりのような人だ。
こうして急に時間を取らせてしまったというのに、慈愛に満ちた瞳で安心させてくれる。
…それなのにこれからこの人に告げるのは、突拍子もないことこの上ないことだ。
直属の部下が率先して規律を破っている上に、その内容がまたとんでもない。
男の尻を追い回すために自分の部下の制止も振り切って暴走していることを知ったら、倒れてしまうんじゃないだろうか。
言いづらい。だがいつまでも黙っているわけにも行かない。
ぱっちりさんの口ぶりだと、被害が俺だけで済んでいるとは思えないしな。普段からなにがしかやらかしているだろう。アレは。
ある意味ぱっちりさんだって被害者だ。
里を守る要となる暗部の労力を無駄に消費していると言うこと自体が問題だし、あの男の行動は部隊全体にも影響を及ぼしていることは確実なのだから。
言わなくてはならない。だがどう切り出したものかと悩み、結果的にもごもごと口ごもってしまった俺に、三代目は威厳と慈愛を持って語りかけてくれた。
「イルカ。言うてみよ」
「…はい」
不安でいっぱいの頭をゆっくりと撫でる小柄な老爺は、だがしかしその圧倒されるような存在感で心をほぐしてくれる。
やはり三代目は偉大な方だ。…どんな瑣末事にも心を砕き、間断なく里の危機に神経をとぎすましているからこそ、あれだけの悲劇があったあとでもこの里はこんなにも栄えている。
…問題は山積みだとしても。
「まあ、座れ。その顔では手身近にと言うわけにもいかんのじゃろう?」
「は、はい!でもその!…ちょっとお伺いしたいのですが、今も三代目のお側には暗部が控えて…?」
いるのが当たり前ではあるが、いたら恐ろしくて話せない。
ぱっちりさんのように良識がある相手は、残念ながら少なそうだからな。あの口ぶりだと。
「…ふむ。そこまでの話か。よもやまた…?」
「ああいえ。その件ではありません」
三代目が気にしている子どもの話を、そういえば一度も自分からしたことはない。
水を向けられれば隠す気もないが、この人の手を煩わせまいと思う気持ちの方が強かった。
…それだけ今回の相手が手ごわいというか…常識はずれといえるだろうか。
胸ににじんだ情けなさには、しばし眠っていてもらうことにした。
この際対策が先だ。現状では自分の貞操その他もろもろが危機に瀕しすぎている。
「そうか…。では、聞こう」
「実は、その、変質者に付きまとわれています」
「ふむ…」
ゆっくりとその皺だらけの瞼を閉じる姿は、いつも大きな問題が起きたときに見る姿だ。
思考に沈むときの、その顔が好きだった。昔から変わらない。
どんなに酷いことがあってもこの姿をみると何とかできる気がするのは、いつだって解決策を考えだしてくれたからだ。
意を決して言いよどんでいた一言を告げた。
「それも暗部の」
それは直属の部下の背信に等しい。
身内であるからこそ厳しいひとだ。裏切り、仲間への理不尽な権力の行使を何よりも嫌っている。
そんな人にこんなことを告げるのは辛く、苦しかった。
だが、苦渋に満ちた表情で吐き出された台詞は、自分想像をはるかに超えるものだった。
「そうか…テンゾウでは抑えきれなんだか」
「へ?」
「寮を出ると聞いたときも驚いたが…あやつは何を考えているのやら」
「え、えーっと?」
これは、もしかしなくても状況を知っているということだろうか。
…つまり、もうすでに対策は講じられた後だと。
「ワシとてあやつを押さえ込むのは並大抵の苦労ではない。…負ける気はせんがな」
いたずらっぽい笑顔に少し和まされた気もしたが、それは恐ろしい事実を知ったが故の逃避だったのかもしれない。


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適当。
おわらない('A`)
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