これの続き。 「おいしかった?」 「はい!もちろん!」 飯は美味いし、ニコニコ笑ってる恋人…なんだよな。へへ! 上忍で激務でそれなのにいつだって俺の心配をしてくれて、今だって食後のお茶を淹れてくれている。その恋人に対して、俺はなにができただろう? プレゼントだってろくに選べなかったし、洗濯だって気付いたら終わっていた。全自動洗濯機だからとはいえ、この家で出来る数少ない俺の仕事だったのに。 俺はもうちょっとがんばるべきなんじゃないだろうか。 「眉間にしわ。どうしたの?」 頬杖ついて額をつついてくる姿さえ様になる。対して俺はといえば、寝ている間に休暇が終わりかかってる上に、よれよれの服を適当にひっかけただけで、しかもよろよろしている。 この人が俺のことを好いてくれてるなんて、何かの間違いなんじゃないだろうかとさえ思えてきそうだ。 「…なんでもないです!俺は!その!これからもがんばるんで、その、好きです!ずっといっしょにいてください!幸せにします!」 精一杯の告白さえ信じてもらえるかどうか不安だった。 …でも、なんだろう。カカシさんが笑ってくれた途端に、そんなこと全部どうでもよくなった。 「あー…がんばりすぎないでね?ま、イヤっていっても一緒にいるんでそこは諦めて?」 「…はい…!はい!がんばります!」 「ん。ほどほどにね」 あくまでも控えめで、でも俺の気持ちに応えてくれる優しさが胸を高鳴らせる。その白く長い指先を絡めるように両手で握り締めて、誓った。 俺は絶対にこの人を幸せにしてみせると。 そう。そのためには俺の出来ることを増やしていかないとな! 「え、ええと!まずその!花見とかいきませんか!」 「いーけど。用意は俺がするから」 「え!あ、じゃあ場所取りは俺が!」 「イラナイ。花見ね。許可は俺が取っておくから、あのお酒持ってきましょ?」 「はい!」 許可ってなんだろうとか、酒一緒に飲んでもらえるんだなとか、頭の中に幸せと疑問が渦巻いて、なんとなくふわふわする。地に足が着かないってのは、こういうときにいうんだろうか。 「花見、ね。そういうのも楽しそうだねぇ…?」 目を細めて指を握ってくるカカシさんがかわいらしくみえて、俺も笑った。 ちょっと照れくさいけど、こういうの、いいよな。一緒にいるって感じがして。 「つまみは任せてください!乾き物とか…!」 「イラナイ。そういう用意はするから、他の連中とか連れてきちゃ駄目ですよ?」 「え!はい!ふ、二人っきりですね…!へへ!」 そうだよな。裸踊りとかいきなり歌いだすヤツとか連れてったら駄目だよな。カカシさんと二人っきりで花見かぁ…!自分で言い出しといてなんだが、最高の眺めだろうな。桜とカカシさん。 「そーね。ナルトたちとは別口でやるから。俺と一緒に行く方は秘密にしといてね?」 「はい!」 そうだよなー。あいつらとも一緒に行きたいけど、もうこの人の部下なんだよな…。それなら俺も花見ついでにラーメンでもおごってやろうか。アカデミーの側の河川敷の桜並木はそりゃもう見事で、水面が桜色に染まるくらいだ。あそこなら散歩に誘うだけでも楽しんでくれるんじゃないだろうか。 ナルトは花より団子だろうが、サスケはああ見えて綺麗なものが好きだし、サクラも自分の名前の由来である花を気に入っているみたいだった。 そうと決まれば受付ででも予定を聞こう。カカシさんとの花見を邪魔しないようにどこか別の日を選べば大丈夫だよな? 心配になってちらっとカカシさんをみたら、ため息をつかれた。え。やっぱり駄目、なのか? 「七班だけがいいの?アスマと紅辺りにも声かけとこうか?酒は持参させるから」 「え?」 「ガイはなしにしたいところだけど、多分かってに嗅ぎつけてくるだろうし。アレと一緒に騒ぐの平気なら呼んどこうか?」 「は、はい…!俺も一緒に行っていいんですか?」 「…あたりまえじゃない。俺と一緒にいてくれるんでしょ?ずっと」 「もちろんです!」 そう、だよな。これからずっと一緒にいるんだもんな。 俺、もっとがんばらないとな! 「…洗脳までは流石にね」 「へ?」 「ん。大丈夫。今はまだ、ね」 髪の毛を梳いてくれる手が気持ちよくて、俺も同じようにカカシさんの髪を撫でてみた。やわらかいのに逆立つのが不思議だよなぁ。ふわふわだ。 こうやって二人してお互いの髪に触っているのがなんだか妙におかしくて、嬉しかった。カカシさんが気持ちよさそうにしてるってとこが特に。 ******************************************************************************** 適当。 中忍がんばる決意を固める。上忍はそれを察していっそ意思を奪うことも視野に入れ始める(が、常識人なので踏みとどまる)。 あともうちょっと? |