これの続き。 この人本当に中忍なんだろうか。気付かれないように細心の注意は払ったけど、ちょっとくらい警戒すればいいのに。 持ち込んだ酒を一口飲んだ途端目を見開くからバレたかと思ったら、美味いって叫ぶと同時に一気飲みしたからな…。俺の冷や汗を返せ。 ま、飲み過ぎないように気をつけてねと親切ごかしていいつつも、どんどん杯が乾かないように酒注ぎ続けたけどね。ちなみに杯も対になったもので、それを買い込んできたのも目の前で気持ちよく酔っ払いになっている男の方だ。そうやって期待させるくせに、肝心なところは少しも察してくれない。こっちの我慢も限界というものだ。 恐らくは大分胡乱げな目つきをしていただろうが、せっせと気に入って貰えたらしい酒をついでやったおかげで、中忍とは思えない速さで酔いが回ったようだった。少しは警戒しなさいよ…。まあ今更されたって困るっていうか無駄なんだけどね。 酒の勢いも手伝ってか、煮浸しがよほど気に入ったのか、どんぶりいっぱい作ったのがすっかり空になった。じゃれ付いてくるのをかまってやりつつ作ったなめろうも綺麗に平らげ、下に敷いてあったシソの葉まですでに胃の中に消えている。結局買い込んだコロッケは明日の弁当のおかずになりそうだ。煮浸しばかり食うからちゃんとご飯も食べなさいと言ったらラーメン屋に行くと言い出したから、逃げられてたまるかと口に飯詰め込んでやりつつ宥めている間に寝ちゃったのよね…。単純というか他愛もないというか、一番は隙が多いというのが正解だろうか。 ま、とにかく細工は流々。予想以上に事態はこっちの思惑通りに進んでいる。 執念深いと笑わば笑え。ここまでやって退けるものか。 「ん、あ」 「はいはい。ベッド行くよ？」 「うへへ…ふとんーいきあす！」 勝手知ったる他人の家。抱き上げたら寝ぼけて抱きついてきたのを、そのまま何度も泊まったことのある寝室に運び込んだ。とりあえず一番邪魔になりそうだという理由で俺の手によりベストを脱がされているというのに、当の本人は幸せそうにニマニマと笑っている。一体何の夢をみているのやら。むしろこれが俺の見ている夢だといわれても今なら信じるかもしれない。これまでの苦戦が嘘のようだ。まさか幻術…いや、ありえない、よな？ 無防備にさらされる肌に感無量…と言いたいところだが、湧き上がる黒い思いが胸を満たしすぎて素直に喜べない。我ながら損な性分だ。 もっと早く鬼畜になる覚悟を決めておけば…いや、無理だな。なんだかんだいって薬使ったのだって、この男に気付かれないように事を運ぶためだった。下ごしらえをしようと決めたのも、当日いきなりヤって苦痛を与えれば、単純なこの男は二度と行為をしたがらないかもしれないという危機予測によるものだ。事前に仕込んでおいた方が情に訴え損ねて体から落とすにしても楽ができると踏んだからだ。 大分手間も時間もかかって忍耐力も擦り切れてしまったものの、ここまできたらほぼ俺に依存しているといっていいだろう。少なくとも多少強引にいっても、決定的な証拠でもないかぎり、その違和感を誤魔化せるだけの信頼は勝ち得ているはずだ。 「風呂は…後でいいか」 寝ぼけている人間を湯につけるのは流石に躊躇われた。拷問用のを元に改良したから、感覚は残せるがしばらくは完全な覚醒はできないはずだし、予想外の行動をとるこの中忍は、油断するとこのだらしない寝顔をさらしたまま溺れるに違いない。酒の匂いに交じる淡い体臭は不快じゃない。むしろもっと嗅ぎたいとさえ思える。我ながら末期だ。 「んあ？んへ？へへ！」 「胸？やっぱり穴から？」 「う？…うぅ…？」 全部ひん剥いてやったら流石に寒いのか眉をしかめてもがもがしている。順調だ。順調すぎて怖いくらいだ。 全身の肌をうす赤く染めて横たわる獲物。感無量だ。しばらくこの達成感に浸っていたいのは山々だが、かといってこのまま放っておくなんてもったいないことはできない。いつだって時間は限られているものだから。 さっさと膝を立てさせて腰の下に枕を突っ込めば、目指すところは丸見えだ。 「あー…興奮する」 指先にまといつかせた粘つく液体が滴り落ちて、しどけなく寝ている男の腹に水溜りを作る。滑り落ちるそれがシーツを汚したが、どうせドロドロにするつもりだ。目を覚ます前に洗っておけば、恐らく疑問にも思わないだろう。 「うー？…そうめん…？」 …またなにか食い物の夢か。寝てるとたいていラーメンなんかの食い物か俺かナルトの夢みてるからな。この男は。 こんなことで萎えるくらいならここまで綿密な計画を立てて、人としての矜持をかなぐり捨ててまで手に入れようとは思わない。 「そうめんじゃないけど、おいしく食べてね？」 ま、食わせるのは下の口だけど。 体温で温んだ液体を、ゆっくりと目指す箇所…つまりはいずれ本懐を遂げるためにも慣らしておくべきところのことだが、慎ましやかに閉じているそこに塗りつけた。 「んっ？カカシさん、しそが…？」 この期に及んで食い物の夢をみているらしい。いっそ睦言めいて聞こえてくるから不思議だ。 「いただきます」 全部食うのをどこまで我慢できるだろうか？ 赤く滑る粘膜に少しずつ沈み込んでいく指先を見つめて、そんなことを思った。 ******************************************************************************** 適当。 バレンタインその3。あ、あしたもこうしんできればいいな！寝ちゃったとですよ…。 |