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これの続き。 「お誕生日おめでとうございます」 にっこり微笑む人がそう言ってくれて、それから一生懸命作ったってわかる美味そうな飯と、形だけでもと差し出された誕生日ケーキを食べた。 自分の誕生日なんて物の存在をすっかり忘れていたから、驚くばかりでたいした反応も返せないまま、気付けば促されるままに風呂場に突っ立っていた。 …もうちょっと喜んであげればよかった。 食卓には俺の好物ばかりならべてあって、それから…多分この人にとっては誕生日には欠かせないらしいケーキには、蝋燭までしっかり立ててあった。 「甘いモノが苦手だって知ってますけど…誕生日にはやっぱりコレです！」 そう言って差し出されたケーキは俺でも食べられるようにと小さいもので、大粒のイチゴがはみ出しそうなくらいだった。 半分に切ったそれを食べる間も、終始嬉しそうで…どうでもいいと思っていた誕生日が、その笑顔が見られるというだけで凄くイイモノのように思えた。 …部下たちなら分かっただろうが、俺にはどこでどう喜んでいいのかわからない。 側にいて笑ってくれているだけで幸せで、今日はその笑顔が一段と輝いて眩しくて、ソレばかりに気を取られている間にこのざまだ。 「ここ片付けますから、風呂入ってて下さい！」 そういって追いやられた以上、このまま素直に風呂に入るべきだろう。 優しいけど厳しい人だから、素っ裸でぼんやりしてる所なんて見られたらコトだ。 「あーあ。…どうせなら一緒に…なんてね？」 そう呟いて洗い場に片足を突っ込んだ所で気がついた。 あの人は…台所で洗い物をしているはずなのに、気配がおかしい。 急に不安定になったのはチャクラだけじゃなくて、乱れた呼吸が異常な事態に研ぎ澄まされた耳に飛び込んでくる。 「イルカ先生！」 台所でうずくまる人の呼吸は荒く浅い。 ろくでもないものを飲んでしまったんだというのはすぐに分かった。 転がる小瓶には何も記されていなくても、中身なんてすぐに分かる。 この人がこんなモノを飲んでしまう前に、これが部屋にあると匂いで気付かなかった自分の間抜けさを呪った。 「あんた…風呂は…？」 立つこともできないくせに、真っ先にそんなことを不満げに言う辺りこれは…。 「なにやってんの…！？」 もしかしなくてもこれは自分でわかってやっている。 …これが酷くタチの悪い薬で、中忍程度の耐性じゃ、ソレこそ色狂いみたいになるってとこまでは知らないかもしれなくても。 「アンタにプレゼント、ですよ？ベタですけど」 ふぅっと吐いた溜息さえ甘く濁っているように感じられてイライラする。 「風呂には入りますよ。アンタがね！…吐き出さないと…！」 転がっている小瓶には中身が残っていない。全部飲み下したのなら…最悪命に関わる。 そもそもが拷問用の薬だ。耐性がついて碌に毒も効かない化け物揃いの部隊で試用されるそれに、即効性の解毒剤なんてご丁寧な物が用意されているわけがない。 耐性を着ければ済むだけの話なのだから。 「いいから、貰え。…いらないんなら…捨ててきますか？アンタのものだ。好きにすればいい」 苦しいくせににこっと、だが挑戦的に笑った人は、総毛立つ程の色気をたたえている。 「馬鹿なコト言わないで。…辛いだろうけど触るよ」 抱き上げて乱暴に風呂場に駆け込んだ。 投げやりなその言葉にえぐられるほど痛む胸を抱えて。 ＊＊＊＊＊ 口を開けさせた。 水遁で直接口に水を流し込んで、この忌々しい薬を洗い流してしまいたかったが、取り乱した俺にはとてもそんな加減が出来そうにない。 仕方なくシャワーで妥協することにした。服がびしょぬれになろうが知ったことじゃない。 だが、その口をこじ開けるための指をぬるりと熱い肉が絡みつく。 とっさに卑猥な赤い肉から指を抜き出すと、ちゅくりと卑猥な音を立てた。 「…っだから！なんてことを…！」 「…っ…ふ…！なんで躊躇う？俺が何でこんなコトしてんのかアンタわかってないだろう！」 怒鳴ったら怒鳴りかえされた。 怒りだけじゃない何かに赤く染まった身体は、きっと服で擦れるのすら辛いはずなのに。 「わかんないよ…！こんなことして…！早く抜かないと…！」 失うことを思うと寒気がする。…いや、もっと酷い何かだ。震えが来るほど恐ろしいソレに飲み込まれたら…どうなってしまうかわからない。 「…わかった。もういい」 ふぅっと吐き出された息は、溜息なのか噛み殺した喘ぎなのか分からなかった。 ただ、わかるのは。 「アンタは黙って…スルことシテろ…！」 触れる肌の心地良さに抗うことなんて出来ないってことだけだった。 ＊＊＊＊＊ キスもした。口でも抜いた。それでも萎えずにぐちゃぐちゃに濡れて喘ぐイルカ先生は、今まで見たことがないくらい積極的でまるで食われそうなくらい激しく俺を欲しがってくれた。 散々ヤッて、気持ちよくて止まらないのは俺も、それからこの人も一緒で、でも流石にヤバイのは明らかだ。 呼吸の乱れ方が尋常じゃない。これだけシテればそれなりに抜けてきてはいるみたいだけど、せめて僅かなりと効果を薄れさせる薬を飲ませるべきだと思った。 今日何度目か分からない間抜けさだが、さっき脱ぎ捨ててしまった服にソレは入っている。 「ん…っ！あっ…だめ…もっと…！」 愛撫の手を止めただけで、焦れたように腰を揺らす。 その締め付けも、熟れて蕩けた顔も、達してしまいそうなほどそそる。 「っ…！でもほら、ちょっとでもマシに…」 欲望に激しくぐらついてはいた。 このまま…発散させれば収まる可能性も高い。 それまでにこの人の体はガタガタになるだろうけど。 「黙れ」 俺の逡巡を見透かしてか、そういい捨てたイルカ先生は、俺を受け入れたまま圧し掛かるようにしてぺろりと唇を舐めた。 引き寄せられるようにあわせた唇は酷く熱く甘くて。 「止まれなくなる…！」 呟きはあっさり肯定された。 「止まらなきゃいいだろ。…早く…うぁっ」 突き上げるたびに甘く甲高い声で鳴くのを手放せるわけがなかった。 髪を振り乱して乱れる人の腰を掴んで、ガンガン突いて中を汚して…結局いつまでつながりあっていたのかすら記憶に残らなかった。 ＊＊＊＊＊ …抱き潰した。 完全に痛んだ喉はひゅうひゅうと音をだすばかりで、意識がないとはいえ呻くことさえ碌にできないでいる。 「あーもう…！なんてことしてくれるんだか…！」 気持ちよかった。 溶け合って混ざって、快感だけを追い求めて…体はこの上なく満足しているはずだ。 上忍の俺でさえ鈍く腰が痛むくらいだ。 ずっと朝があけても俺を受け入れていたイルカ先生が、まともな状態であるハズがない。 「…っもぃ…ったか…」 俺の声に目覚めたらしいイルカ先生は、にやりと笑ってそう言った。 唇の動きからするとこれはおそらく「おもいしったか」…一体何のことだ？ 「なにが？こんなにボロボロになったのはアンタのほうじゃない！なんてことさせるのよ…」 「…ったは、おんなじこと…してるんで…よ！」 詰られているのは分かる。だが言いたいことが分からない。 それにこんな状態で怒鳴ろうとするなんて…喉をこれ以上痛めつけるのを見過ごせない。 「しばらく、寝てて」 「…っ！？」 術を使ったのは反則だと後で怒鳴られればイイとして…。 「治療しなくちゃ」 医療忍術は使えなくても、そこそこ効く薬なら持っている。 形だけはよく似た小瓶を取り出して、中身を口に流し込んだ。あわせた口から注ぎ込んだそれを飲み下すのを確認し、溜息をついた。 「アンタは…なにがしたかったの…？」 ＊＊＊＊＊ もう一度目覚めた時には、想像通り怒られたが、それは想定外にあっさりしたものだった。 それよりも…。 「アンタ、少しはわかりましたか？」 真剣な瞳。だが呆れるられているというのが良く分かる表情だ。 この人は一体何が言いたいんだ？ 「少しはって…誕生日プレゼントはサイコーでしたけどね？二度とこんなことしないでください！アンタに何かあったら…！」 「そう、それ！…アンタ同じことしてるんですよ？俺に」 「は？」 同じこと？…毒を食らったまま帰ったことなどないはずだ。この人に少しでも影響がでるかもしれないのに、そんな危険なマネはできない。 「ああもう！アンタ賢いのになんでそんなに馬鹿なんだ！…いいか？心配してるのに無謀なことばっかりされるこっちの身にもなれってんだ！」 「…え？」 怒っている。気だるさの残る身体はあの蕩けた時間の残滓を漂わせているが、怒りに震える瞳はもう濁ってはいない。 あるのは…純粋な怒りだけだ。 心配はした。だがソレはこの人に何かあったらといてもたってもいられなかったからで…そうか。そういうことか。 「ああ、やっとわかったみたいですね？」 ベッドの上で起き上がることすらままならないはずなのに、堂々と、それもにやにやと勝ち誇ったように笑っている。 「ごめんなさい…！俺は…」 いらなくなるまでは大切にしてくれる。きっとこの上なく大事に大事にしてもらえる。 …でも、そうじゃないんだ。 このひとは、おれを。きっとずっといっしょう。 「分かったつもりでどうせ怪我してくるんでしょうけど…どれだけ辛いかってことくらいはちゃんと分かってて下さい」 ぎゅっと抱きしめられた。大切な人にするように優しく、だが逃がさないとばかりに強く。 「…ごめん、ね…？」 体を張ってまでこんなとんでもないことをする人だって、俺は知っていたのに止められなかった。 やっぱりこのひとは骨の髄まで教師だ。 「…ホントはアンタに欲しいって言わせるつもりだったのに…思ったよりコレが強くて失敗した」 不満げに唇を尖らせて言っているが、ようするにやはりこの薬のことをろくに知らなかったらしい。 「アンタしぬとこだったんですよ…？」 「死ななかったでしょう？これでアンタが変わるなら安いもんだ」 「…こんなの、ホントもうぜったいにやめて」 「アンタもな？」 勝ち誇ったように笑うこの人の方が、名ばかり売れた俺よりずっと上手だ。 「誕生日プレゼント、確かに受け取りました。…だから、ねぇ。俺も」 「当然！俺を貰っといて途中で放棄しようなんて甘いですよ？ずーっとずーっと…離れてやりませんから」 最高の笑顔で、俺の誕生日プレゼントが抱きしめてくれた。 胸の中に何かがジワリと広がっていって…どっぷりそれに溺れている。 そうだ。きっと。 「俺がいらなくなっても、側にいてくださいね？だってもう俺の…」 「ええ。…当然だ馬鹿野郎」 二人して笑って、こぼれた涙は笑いすぎたせいにした。 暖かい時間はこれからもきっとずっと側にある。 だから俺は…イラナイモノには一生ならないだろう。 「大事にしないとね？」 「そうです！…アンタ勝手に怪我とかしたら承知しませんよ？」 だいじな人が側にいて、その人のだいじなものが俺だなんて、最高に幸せで…怖いくらいのそれにを守りたい。これから先もずっと。 なにせ誕生日プレゼントに貰ったのは、最強の恋人なのだから。 ********************************************************************************* てきとー！ なっげぇええええ！なんでだ！？…でももうすぐカカ誕になっちゃうのでそのままあげちゃえ！うふふ！←無計画。 ではではー！なにかしらつっこみだのご感想だの御気軽にどうぞー！ |