これの続き。 よめは予想以上にヤル気だった。 何度か補給を試みたものの、それすらままならなくなるほどに、よめは俺を一心不乱に求めてきた。 甘えてきたり急にくっついてきたり…それはもうかわいい。一挙手一投足かわいいんだが…体の方は早々に限界を訴え始めた。 抱かれ続けて意識が飛びかけても、押し寄せるような快感の波に押し寄せられてうかつに失神すらできない。 失神してもずーっとそれはもう延々とよめが俺を離さないからだ。 結果的に快感で飛んだ意識が快感に呼び戻されるなんてとんでもないことを、身をもって経験した。 …俺のよめさんは本当に何でもできる。いや。できすぎる。 降る様なキスに目を開けると、そこには快感に酔い、獣じみた光を宿した瞳のよめがいて、俺を見てあんまり嬉しそうに笑うから名前を呼んで…それから愛を告げた途端にさらにがつがつ貪られて…いつ意識を飛ばしたのか覚えていない。 体力的には元々そこそこ自信はあった。 任務中にも一番体力があるほうだったし、なにより俺は丈夫だった。 怪我をすればそりゃ痛いけど、だからってぶっ倒れたりすることもないし、包帯まみれでも駆けずり回れる方だ。 今だって風邪引いたってめったに倒れないし、残業続きで多少弱っても、かわいいよめの笑顔でも見ればすぐに元気になれる。 その上、今回の旅行が決まってからすぐにトレーニングを増やし、Aランク任務にだって行けるくらいの気合は入れた。 準備万端。…そのはずだったのに。 でも、よめは上忍なのだ。それもすこぶるつきの凄腕の。 美人でかわいくて性格もよくて料理も上手くてあっちの方はちょっとどころじゃなく凄いよめだけど…悲しいかなその壁は厚い。 特別上忍に推薦をされたことはあるけど、流石によめのようには…いや!だがしかし! 修行でだめなら愛の力でカバーだよな! だって俺は…俺はよめの唯一の旦那様!よめのためならなんでもできる!はずだ! 諦めたらそこで終わりだって教えてる俺が、負けるわけには行かないよな? 「せんせ?ご飯…」 「あ!美味そう!あーん!」 いかんいかん。折角のよめとの食事…というかもう口をあけて餌を待つばかりのひな鳥のような状態なんだけどな…。 これはこれで幸せだ。 だってよめがずーっとにこにこしてるし、ご飯はよめのものよりは劣るにしてもそこそこ美味いし、よめとくっついていられるからな! 正直自力で食べる所か、トイレに行けるかどうかすら怪しい。 意識をすっとばしてる間によめが風呂に入れてくれているらしく、体の汚れはないのだが風呂にだって入りたい。 だが丸薬の入ったポーチは床の上に転がされたままだ。 「ほら、こっちも結構美味しいでしょ?」 「んぐ!美味い!…ほら!俺ばっかじゃなくて食べなさい!」 何とか持ち上がってくれた手で美味そうな煮物を指差すと、よめがにこっと笑ってくれた。 あーもう!なんでこう…俺のよめはかわいいんだ! 「はーい。…ん、おいし」 この笑顔をずっと見つめていたいけど…流石にそろそろ真剣に丸薬飲まないとマズイ。 足腰だってまともに歩けるどころか体を起こしているのがやっとの状態だ。 …そして今はせっせと俺に飯を食わせてくれるよめだが、多分もうちょっとしたら…また俺を欲しがるだろう。 今だって平気な顔を装ってはいても、目が、俺を映すその色違いの瞳が…欲望の炎を揺らめかせて揺れている。 多分、我慢はしてくれているに違いない。俺に飯を食わせるのが好きなよめさんだけど、こういう目のときは本当なら一秒だって待てないとばかりに襲い掛かってくるはずだ。 「あーちょっとそこのポーチ取ってください」 「え?ああ、これですか?」 にこにこしながら手渡されたポーチからささっと丸薬を取り出し、さりげなく別のモノを取り出して誤魔化した。 「飴玉?」 「んぐ。食べるならまだありますよ?」 丸薬よりは効果が劣るが、それなりに体力が回復する仕込済みだ。 もちろん飴を口に入れるときに丸薬も一緒に飲んでおいたし、これで当座は…少しの間だけならしのげるだろう。 「ん。味見したいです」 顔が近すぎて一瞬どきっとした。 アップで見るとその整った容貌がよくわかる。 要するに…落ち着かないじゃないか! 「んぐ!?」 慌ててそむけたはずの顔に、イタズラっぽく頬をゆがめたよめさんの顔が視界一杯に昼画って…それから、いきなりキスされた。 「飴玉、美味しいですね!」 「へへ!よかった!」 飴玉を奪い取られてしまったのはマズイかもしれないけど…よめさんがこんなにかわいい事するなんてって方が俺には重要だった。 「…ね、食べたら一緒にお昼ねしましょう?」 「あ、そういえば眠い…」 何故か唐突に眠気が襲い掛かってきた。よめさんの体温が心地良い。 「さ、眠ってください…ね?」 穏やかな声にそそのかされるように、俺はゆっくりと意識を手放したのだった。 ********************************************************************************* よめ。 よめまみえれ ではではー!ご意見ご感想等御気軽にどうぞ! |