これの続き。 起きたら全部夢だった…なんてことはなく、腹が減りすぎたとき特有の締め付けられるような胃の痛みと、美味そうな味噌汁の匂いと、それからぎゅうぎゅう締め上げられている上に呼吸まで取られそうなキスにたたき起こされた。 「ふ、ぅ…!」 なんだこれ。どういう状況なんだ。 っつーかコイツはどうして俺を荷物みたいに抱え込んでるんだ。 「ああ、起きた?ごはんにしよう?」 熱っぽい吐息がむき出しの肌を擽り、とっさに飛び上がるほど驚いた。が。 「な、なななななにしやがる!ぐっ…いってぇ!」 痛い。物凄く痛い。いやもうそりゃもう色々と。寝て良くなるかと思いきや、そう簡単にはいかなかったようだ。 「昨日のガキが作っただけじゃ足らないでしょ?お腹に優しいのも作ったから食べてね?」 ガキ…?ガキってもしかしてカカシのことか? ならやっぱりこいつはカカシじゃないってことだよな? だって、やっぱり違う。一朝一夕でこんなに筋肉が付くか?背が伸びるか? しかも妙に冷静っていうか。 カカシは繊細な子だったから、俺が何か言うたびにじっと俺の様子を伺ってたけど、コイツは緊張もなければ怯えた様子なんてどこにもない。 ただ飢えたような瞳が俺を見据えているだけだ。 頑丈な方だし、ちょっと眠れた…んだが、とはいえ今の俺は生まれたての子馬よりよたよたしている。 コイツが本気出したら俺なんて簡単にどうとでもできるだろう。 普通ならもっと警戒していいはずの状況なのに、妙に落ち着いてるのが我ながら不思議だった。 「…食う、が。説明しろ。お前は…カカシなのか?」 「うん。ずっとずーっと待ってたんだ。イルカ先生に会えるのを」 くっつかれたままでしかもベッドの上で、服も着ていない。 やわらかくたわんだ瞳に俺を映して、寂しげに笑ったりなんかしなければ、クナイの一つでも投げつけて一目散に逃げていただろう。 「だから、説明、しろ」 動揺は息を飲むことで誤魔化したつもりだったが、どうもコイツには見透かされているようだ。 「あのね。イルカ先生が好きです。ずっと一緒にいたい」 そりゃ説明じゃないぞとか、好きってお前も俺も男なんだがもしかして俺は子育てを誤ったのかとか、イヤイヤだからお前誰なんだよとか、一瞬で頭を過ぎった思考の全てを振り切る真摯さで、カカシが恭しく手を握った。いや、捧げ持ったって方が正しいのか? 「なっにす…!?」 「ずっと側にいて?」 押し付けられた頬はあの頃の子どもらしい柔らかさじゃなくて、白磁のように滑らかな…だが大人の物で。 「っいいから!飯食うんだろ飯!腹減ってるから訳の分からんこと言うんだ!食ったら!説明しろ!」 「うん!」 腹は減っていた。飯を食うには腰が痛むだろうなとも思っていたさ。 でもなぁ。何で俺をそのまま抱き上げて膝にのせるんだ? 生暖かい肌がケツにっていうかだな、危険物が…! 「一杯食べてね?」 「…おう」 あの子とそっくり同じこというからつい文句を言い損なったけど…頭を抱えてのた打ち回りたいと思った俺を、誰も責められないと思う。 …それ以前に足腰が立たなかったせいで、飯を食ったあとにまたベッドに逆戻りしたんだけどな…。 ******************************************************************************** 適当。 飯食ってる最中にたっぷりセクハラされた物の、飯が同じ味だ…!?とか大パニックで気付かない中忍とかどうだろうか。 ご意見ご感想お気軽にどうぞ。 |