これの続き。 「かわいー…!」 ぐっすりと…というか、死んだように眠っている。 晩御飯もまだだったのに、いきなりだったもんね? イルカは結構食いしん坊だから余計に謝らなくちゃなって思ったんだけど、それよりも熟睡してる顔をじっくり眺められるのが嬉しくて、頬に触れたり髪をかき上げたり、あとはくっついてうなじに顔を埋めたりして楽しんだ。 「イルカ先生だ」 前回この部屋に来た後、長期任務に引っ張り出されて結局姿を見ることすら出来なかった。 アイツがやってきたから。だからこれでやっと会いにいけると思ったのに、最低のタイミングだった。 偉そうな態度で手紙を書けとか言い出すし、クソガキ八つ裂きにしてやるとか、今すぐ消してやるとか、あの人は俺のモノだとか一々五月蝿いことこの上なかったんだよねぇ。そのくせあの人の唇は柔らかいだの、寝顔が無防備でかわいいだの…! こっちだってやっと会えると思ったのに邪魔されて、滅茶苦茶イライラしてたからかるーい準備運動も兼ねて一戦やらかしたけど、腹立たしいことにあっちの方が年の功か一枚上手で逃げられてしまった。…せいぜい生き残れとか大概失礼な台詞を残して。 大体お前が生きてるんなら俺が生き残るのは確定でしょ?ばっからしい。 そう、全部馬鹿らしいんだよ。あんなヤツにもう構ってやる理由はない。あいつに引き離されてからずっと、技を磨き、術を学び、戦術も身につけた。母さんを、父さんを、先生を、それから友を失って、いつも愛しい人まで奪われる。 そんなの馬鹿らしいだろ?誰が大人しく好きにされてばかりでいてやるものか。 俺はもうとっくに無力なガキを卒業したんだから、アイツの思い通りになるつもりなんてさらさらないんだよ。 ずっとイルカを探そうとしていた。だってアレが未来なら俺の生きている時代にだっているかもしれない。顔岩を見てそう気付いて、でもすぐに探しにいくことはできなかった。 俺に、監視が付いたから。 訳ありの目玉と俺の出自は確かにそうされるだけに十分で、だがたまにしか現れないアイツよりずっと分かりやすい障害だった。 大人しく任務をこなす犬でいれば、いずれは鎖をつけたと勘違いして監視の目は緩む。 そうして不安定になっていく情勢の中、暗部に行けと命じられてことはむしろ好都合だったし、命令されなくてもいずれは希望を出すつもりだった。 だって俺は強くならなきゃいけなかったから。 身元を隠さなければいけない代わりに、俺についた監視なんか物ともしない権限が手に入る。すべての忍のデータが見られるなら、簡単にあの人を探せると思った。思った以上に早く入り込めはしたものの、思うように動けるように監視が緩むまで随分時間がかかったけど、自由になったら中忍一人探し出すのはそう難しいことじゃなかった。 待っているだけなんて馬鹿らしい。俺よりずっと年上に見えたけど、あれが未来なら…少なくとも顔岩の数が増えてなかったんだからそう先の話じゃないはずだ。年上だろうが年下だろうがそんなことはどうでもよかった。ま、今まだ生まれてなかったら出会えないってことくらいか。問題は。 それがクリアされた以上、あの腹立たしい男を待ち望んで呆けている必要は一切感じない。 先生がいなくなっても鬱陶しい連中はうじゃうじゃいてどうしようもなかったし、この眼を手に入れてから手のひらを返したみたいに集ってくる連中も増えた。 全てを振り切るために戦歴を積んで、コレならいけるってとこまでやっときたんだ。 あの時喚いていた言葉はさっぱり意味がわからなかったけど、今になって思えばこうなることをアイツは知っていたに違いない。 手に入れた。あとは…後は逃がさないように囲い込むだけだ。 今はもう、この人と俺は同じ時間を生きているんだから。 「うぐーうーはら、へった…うー…」 「起きたらごはんにしようね?」 どうしても離れがたかったから、影分身を使って準備をしておいた。 温めればすぐに食べられる。あとはどうやってこの人を捕まえたらいいかだけど…多分、きっとできる。しかもそう時間も掛からずに。 だってあんなことしたのに今でも。 「カカシ…?」 「ここに、いるよ」 「へへ…!」 こうやって笑ってくれるのが、たとえ寄る辺ない子どもへの憐憫だったんだとしても、情があるなら愛に摩り替えてみせる。 「好きだよ。イルカ先生。だからもう我慢なんてできないから覚悟して」 掠め取った唇は甘く蕩けて、結局目が覚めるまで離せなかったのは…ま、我慢のしすぎは体の毒だったってことだよね。多分。 ******************************************************************************** 適当。 ちゅーで苦しくて起きた中忍は、なんかすごいことになってる状況に頭が真っ白になったり尻までもまれて真っ赤になったりなどしたらいいと思いました。 ご意見ご感想お気軽にどうぞ。 |