とある上忍のけいかく12(適当)


これの続き。




しにねたちゅうい。






糾弾される意味がわからなかった。
確かに父さんは任務には失敗した。でも被害は最小限で、そもそも最初から無茶な任務だった。
それを知っていたら行かせなかった。
だってこれは罠だ。
…父さんならわかっていても行くと知っていて、父さんじゃなければたくさんの仲間を見捨てることになるとわかっていて、仕組まれた最低の罠。
父さんを壊したのは、そいつらだ。
「すまない」
「大丈夫。ねぇ。ごはんにしよう?」
「カカシ。…カカシ」
「うん。ここにいるよ」
「すまない…!」
謝り続ける父さんに大丈夫と言っても、抱きしめても、全部もう届かない。
もう限界がくるかもしれないと分かってたのに、俺は止めなかった。
もっと早く気付いて止めていれば。
「父さん。父さん。…ごめん。ごめんなさい」
「カカシ」
「うん。ごはん、持ってきたよ。食べよう?」
「ああ」
こうやって時々正気に戻るけど、大抵は謝っているか静かに泣いているか、人形みたいにじっとしているかのどちらかだ。 俺のことをわかっていることもあるけど、母さんを探していることもある。
買い物に行っただけだってうそをついて寝かしつけたら、起きたときにはもうそのことは忘れていたけど。
「おいしい?」
「ああ」
穏やかに過ごさせてあげられたらいいのに。
少しでも悩まないで、苦しまないで欲しかった。
「カカシ」
「うん」
「…カカシは、いい子だな」
「そ、そう?」
優しくなでてくれる手が暖かくて、もう一人の暖かい手の人を思い出した。
今日は具合が大分いいみたいだ。それがすごく嬉しい。
「母さんのお陰だな。それにカカシは…いつもがんばっていてくれる」
「父さんのお陰でもあるよ?それにね、俺は強くなりたいんだ!いつかは父さんみたいに母さんみたいな人を捕まえたいからね!」
あの人を、俺のモノにしたい。
そのためには簡単に折れたりなんかできない。
それに父さんを守りたい。ずっとずっと、誰よりも里のためにがんばってきたって、俺は知っている。誰にもそれをウソだなんていわせない。
俺が証明してみせる。誰よりも強くなって。
「すまない」
「父さん?だから謝らないで?大丈夫だからさ。ね?」
「…すまない」
「うん。大丈夫。大丈夫だよ。ね?」
また戻ってしまった。寝かせてあげないと。それに俺にも任務がある。
こうなってしまったから余計に、俺は隙を見せられなくなった。
俺がヘマをすれば、また父さんが責められる。
…何一つ悪いことなんてしてないのに。
「父さん。おやすみなさい」
すぐに寝入ってしまった父さんを置いて、任務に出かけた。
こうやって今日みたいに穏やかな時間が少しでも長く続けばいいなとか、帰ってきたら父さんの好きだったふわっとするお菓子でも買ってこようかとか、そんなことを考えながら任務を終えた。


帰ってきて冷たくなった父さんを見つけたときに、そんなことは全部意味のないものになったけど。

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適当。
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