虫4(適当)


これの続き。




「すごい…!」
「そ?」
忍でしかなかった父さんと、俺をその子供として…利用価値のあるモノとしてしか見なかった連中のお陰で腕はいい。
何度それを呪ったか分からない。
俺から父さんを奪ったのは、里にとって都合のいいコマにするためだという連中までいた。
あながちはずれじゃないだろう。
父さんのように強く、だが澱みの中で生きられない人は、この里には邪魔だっただろうから。
生き残るためだけに磨いた技に、今はほんの少しだけ感謝している。
「俺も!次は絶対!」
「ん。がんばって?」
…俺だけの子どもは覚えがいい。
素直で、それに結構負けず嫌いで、それから…俺のことをよく見ている。
一人でいることが多かったせいか、無意識に甘えてくるのもかわいい。腕を上げていくのを見るのも楽しかった。
態度の変化に気づかれてしまうほどには、俺は浮かれすぎていたらしい。
「俺、忍はきらいだけど、カカシは好きだな」
「ん。俺も。イルカのこと好き」
「へへ!そっか!」
俺の言葉の意味などわかってはいないだろう。
…わかっててもどっちにしろ同じだけどね。
この子の単純な世界を俺だけにしてしまうのは、きっと簡単だ。
後はタイミングだけ。
最近少し不審がられているらしいから気をつけないとね?
「次の的は…アレかな?」
「よーっし!みててね!」
「うん!」
「…っし!あたった!」
こんなにかわいいんだもん。今まで真っ暗だった世界にこの子が入り込んで、全部変わってしまった。
子供と侮られているうちに手を打たなければ。
気づかれたらきっと、この子を隠されてしまう。
…また奪われてしまう。群れなければ生きていけない虫どもに。
「今度は動いてる的でやってみる?」
「うっ!な、なら!…カカシが見本見せてくれるならいいよ?」
「いいよー?見ててね?…あの葉っぱが落っこちたら千本で…こう」
銀色の針で幾度も貫かれた葉が、木の幹に貼り付けられている。
こんな風にイルカも止めて置ければ良いのに。
…痛みなんて感じさせずに、もっと確かなもので。
「すっげー!カカシ!…俺も!がんばる!」
「ん。がんばって?」
監視の目をかいくぐってこの子に会い続けるにも限界がある。
今は探りを入れられる程度で済んでいるし、影分身ごときで誤魔化される程度の無能な監視しか着いていないが、そろそろ行動を起こすべきかもしれない。
「あ?あれ!…当たれ!」
「あら、惜しかったね」
「ちぇー?次次!」
「ん。次当たったらさ、おもしろいもの見せてあげる」
「ホントか!?…ぜったいだかんな!」
「ん。勿論!」
もう随分すばやく動けるようになった。
…でも間違っても忍と言い切れるほどは強くないこの子を、きっとあいつ等はもてあます。
普通の子供には残酷になれない連中ぞろいだから。
俺と、違って。
「絶対に、次は…!」
真剣な瞳がきれいだと思った。早く。早く全部俺で塗りつぶしてしまいたい。
タンッと高い音がして、小さな木の葉が一枚、木の幹に縫いとめられた。
これでやっと。
「おめでと!」
「やったぁ!」
無邪気に喜ぶ子供一人、閉じ込めるのは簡単だ。
「いこ?」
「え?どこへ?」
「約束したでしょ?おもしろいもの」
「うん!…すっげたのしみ!」
小さな手をぎゅっと握り締めて幸福感に浸った。…もう二度と逃がさないと。


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適当。
うすっくらい。みじか…
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