気の長い話12(適当)


これの続き。



「焼けたー!こっちは昼飯分にもってこうな!」
「うん!」
腹ごしらえも出かける準備もできた。
あとは…どうするかだ。
探検する所はまだまだ沢山あるし、イルカも楽しんでくれている。
でも、もし見つかってしまっていたら…。
そう考えるとそううかうかしていられないのも分かっていた。
打てる手は打ってあるとはいえ、ここが見つかってしまえばそこから先どうなるかはある意味賭けだ。
どっちにしろこの手を離さないってコトだけは決めている。
…もしも引き離そうとしてきたらどうするかってことも。
「よっし!詰め終わった!…けど一匹余っちゃったから…カカシ食う?」
「あ、それなら…」
詰め切れなかった魚を受け取ろうとした手を追い抜かしたのは、見覚えのある大きな手だった。
「ん。良く焼けてる!おいしそうだね!」
「せん、せい」
その行動が予想外というか、この人は存在そのものが予想外っていえば予想外なんだけど、この人の速さならある意味納得がいく。
みつかるなら先生が相手だろうってのは想定内だ。
「おはようカカシ君!ごちそうさま」
焼きたての魚をちゃっかり頬張りながら、先生が笑っている。
すかさずイルカを背後に庇うことができたけど、それはたいした意味がないことも分かっていた。
この人なら、俺が指一本も触れられない内に、イルカを里まで連れ帰ることができる。
「先生、俺は…!」
覚悟はしていた。流石にこの人を誤魔化せると勘違いできるほど俺の頭はおめでたくない。
でも真っ先にイルカを確保しないってことは、完全な敵ってわけじゃなさそうだ。
「はじめてのおいただね!それもこんなに徹底的に!流石うちのカカシ君だ!」
なんでこんなに嬉しそうなのかって辺りはおいといても、ここが見つかってしまったのなら、取れる手段はそう多く残されていない。
「イルカは俺が無理を言ってついてきてもらっただけで…!」
おいたって言い方は、もうすっかりいろんな人に俺の企みがばれて、俺たちの居場所を探されてるってコトに他ならない。
このまま連れかえられてしまう前に、イルカが騙されてたんだって印象を与えておいた方がイルカに迷惑をかけないで済むはずだ。
そう思って先生に頭を下げようとした俺を制するように、イルカが叫んだ。
「カカシは悪くない!父ちゃんがわからずやなんだ! 」
イルカだ。イルカが俺のために怒ってくれている。
本当はそんなこと言ったらイルカの立場がまずくなるのに、それを嬉しいと思ってしまった。
だって、イルカが、俺を守ろうとしてくれている。
「そっか!いやー!相思相愛だね!おめでとう!カカシ君!」
「先生…」
肩をバンバンたたかれた挙句、心底嬉しそうにそんなことを言われると、自分のしでかしたことがなんなのか疑問に思えてくる。
「ま、うみのさん拳骨は覚悟しておきなさいね?奥さんの方は俺が何とかするから」
「え…?」
拳骨なんてもので済むんだろうか?
でも、あの奥さんを抑えてもらえるっていう情報は正直言って相当にありがたい。
「と、父ちゃんの拳骨何て怖くないもん!」
イルカがこうして未だに俺を庇ってくれるってコトも。
「じゃ、二人ともがんばってね!先生は二人とも元気だったよって伝えておくから!」
さらっとそれだけ告げると、先生はあっという間に姿を消していた。
「消えた…」
あいかわらずだけど、腕だけはすごいひとだ。
ココがばれたのは…。
道を辿られたな。たぶん。俺の術の痕跡を辿るくらい、あの人には、朝飯前だ。
つまりいつここにうみのさんたちが着てもおかしくないってことでもある。
「カカシ!父ちゃんに拳骨されたら俺に教えて!俺が父ちゃんひげ抜いてやるから!」
「ううん。だって俺が強引に誘ったんだもん。それより、庇ってくれてありがと」
イルカの優しさが嬉しくてぎゅっと抱きしめたら、にかっと笑ってくれた。
「そんなの!当たり前だろ!カカシは俺の仲間だもん!」
「うん…!ありがと!」
仲間。…その大嫌いだった言葉も、イルカに言ってもらえると嬉しくてたまらない。
本当はもうちょっと関係を進めたかったけど、キスは貰った。
強敵の方は先生が手伝ってくれるってわかっただけでももうけものだ。
「頑張ろうね」
「おう!父ちゃんなんかに負けない!」
決意の拳を振り上げるイルカと一緒なら、何でもできる気がした。


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そっとつづき。寝落ちつづきでかなしい
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