記念日5(適当)

前のお話はこれ⇒記念日4の続き。


薄紅色のそれは肌に落ちるとその体温のせいかふわりと甘く香った。
足を開かされ、滴ったそれを塗り込まれる。冷たくはない。ご丁寧に手のひらで弄んで見せてくれたお陰か、それともこの状況に興奮して上がりすぎた体温が、その冷たさを感じさせてくれないのか。
「…ッうあ!」
「怖いの?そういう顔、もっとしなよ」
痛みよりも、異物感と…言い当てられた通り恐怖もあった。
腹に、自分の中に、自分じゃないものが入り込もうとしている。本能がそれを拒むのに、もがくこともままならない。
それにそんな所に触れさせていること自体が辛かった。
…突っ込むと言われたんだから当然か。
妙に冷静にそう思う自分もいて、この人を今汚しているのは俺で、どんな理由だろうと触れてもらえていることに、浅ましくも興奮した。
こんなことをされているのに、下肢はもはや隠しようもないほど反応し、震えながら立ち上がったそれにも薄紅色のとろみが垂らされる。
「だめ、です。やめてくれ…!」
幹を伝う薄紅を、先端にぬり付けられる。素直な体はそんなモノを触らせていることに怯える本体を無視して、喜んで蜜をあふれ出させる。
良く分からない液体ならまだしも、そんなモノでこの人を汚して言い訳がない。尻だって、そこは排泄に使うものだ。
いっそ避妊具でもつけて尻だけ使ってくれるならまだ耐えられたのに。
こんな風に触れられたら、探るように触れられてしまったら、こんなにも汚してしまうことに怯えているのに、体だけは浅ましく喜んでいる。
「ヤダね。何でアンタの言うことなんか聞かなきゃいけないの?」
拒絶は一蹴される。いつものことだが、泣きたくなった。
それが当然だってことはわかっている。この人は…この人は上忍で、俺よりもずっと強いのに優しくて我慢強くて…それに、里を統べる者だ。
この行為が気まぐれであっても、ただの憂さ晴らしであっても、怒りに任せた制裁であっても、それをとがめることは誰にもできない。
あの子が知ったら食って掛かるかもしれないが、そんなヘマをするような人じゃないはずだ。それに、こんな事をしていると知られることのほうが恐ろしい。
見ている。無様にもがき、口だけは反抗するくせに、本当は貪欲で、欲しくてたまらないものを強請るように浅ましく発情しているこの体を。
みっともなく足を大きく広げられて、尻に指を突っ込まれて、性器を弄ばれて、腰が揺らめく。
ぐちゅりと水っぽい音を立てて、出し入れされる指が増やされたのを感じて、それだけで達してしまいそうになっている。
あの赤い目を失っても、この人の瞳は何もかも見抜いてしまいそうで
「ふっ、うぅ…!」
「ああ、駄目駄目。顔隠すなって。ちゃんと俺を見てなきゃ意味がないでしょ?」
歯を食いしばるだけじゃ足らなくて、枕に縋りついたのを咎められた。
耳に荒い呼吸がかかるだけでたまらなくなって、頭の中が一瞬弾けたように真っ白になった。
出してしまったんじゃないかと怯えている間に枕は奪われて、腰の下にねじ込まれてしまった。
そんなことをしたら…はしたない液体で汚れてしまう。奪い返そうにも全身が鉛のように重く、溶けてしまいそうなほど熱い。
「だ、めだ…ッぁ!」
圧し掛かる体を押し返したのは汚してしまいたくなかったからだ。どうしたらいいのか分からないのに、勝手に滲み出る涙にすら熱を煽られて、甲高い声が上がるのを止められなかった。
「ああ、イく?」
己の状態を言い当てられたことに言いようのない羞恥を感じて、叫び出しそうになった。
見ていれば分かるだろう。ましてやこの人は同性だ。こんな状態になっていれば限界が近いことはすぐに気付けたはず。
当たり前の事が逃げ出したいほど恥ずかしい。なんてものを、見せてしまってるんだ。
「だめ、で、す。見るな。汚れ、る…っ!」
隠すために伸ばした手は、左右まとめてシーツの上に押し付けられた。
「いいから。イけば?…イけるもんならね」
次の瞬間、引き裂かれるような痛みと焼かれるような熱を感じて、もしかすると悲鳴をあげていたかもしれない。
「…イっちゃった。すごいね。ああ、痛い?」
「うぁ、あ、や、う」
熱い。痛い。中に、この人が。
思考は碌にまとまらない。ただ達してしまったことだけは、圧し掛かる人を汚す白濁で知った。
俺が、汚した。俺を、この人が。
「…勃ってる。イイの?」
イイさ。当たり前だ。アンタがどれだけ欲しかったと思ってるんだ。
そんなこと、言えるわけがない。これ以上したらそれすらも黙っていられなくなるかもしれない。
「ん、や、抜いて…!」
言えない悪態の代わりに拒絶を示した。
もうだめだ。もう耐えられない。…いっそ淫乱だと踏みにじられてもいいから、何も言えないくらい壊してもらえるほうがずっとイイ。
このまま打ち捨ててくれれば、妙なことを口走らなくて済むはずだ。
「チッ!…ま、いいや。アンタは口先より体の方が素直みたいだから」
舌打ちされた。…この人にとって俺はなんなんだろう。どうしてこんなにこの人を不快にさせてしまうのかわからない。
ただ泣きそうな顔を見られたくなくて、せめてと顔を逸らしたら…噛み付かれた。首筋に…一瞬で命を奪う事が出来るそこに触れられて、全身の肌が粟立った。
忍として鍛え上げた体は恐怖を感じるはずなのに、それは明らかに快感だった。
「ッツ!っぅ、そだ」
「俺を見て、目を逸らすな」
触れそうなほど近くでそう命じられた。…ならば、それには従わなくてはならない。
全てを切り裂く鋭さで、何もかもを暴いてしまう瞳が、ほの暗い光を称えて俺を射抜く。
ただ、見ていた。重ねられた唇に息を乱されても、ねじ込まれたそれが出し入れされるのも、何もかも。
完全に意識を手放してしまうまで、ずっと。


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適当。
微エロが続く、かもしれない。
時間的な都合で、中途半端でもあげちゃうことにします。

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