前のお話はこれ⇒記念日11の続き。 「気持ちイイね?」 「ん、ん」 続きを唆す甘い言葉に必死になって頷いて、その背にすがった。前だけをくつろげた状態で繋がっているせいで、素肌に触れられないのが少しだけ寂しくて、唯一晒されている顔に頬を摺り寄せて、唇を強請る。 いつの間にベッドに移動したんだっけ?ああ、飯、片付けてない。それからこの人を…なんだっけ?そうだ。もっと、もっとこうやってどこまでも溶け合っていたい。 「かわいい。もっと早くこうすれば良かった。ね?」 「んぅ!あっ!や、あ…ッ!」 繋がったところをなぞられて背筋が震えた。それから背中の傷にも触れてきて、ぬるりとした何かが塗りつけられる。 ああ、これ、さっき出されたヤツか。 ここはあの人の臭いでいっぱいだ。何もかもを奪われて満たされて、ここにいれば怖いことなんて何もない。 一番大切な人がいるんだから、他のものなんてどうでもいい。 視線を合わせられるのが嬉しい。俺を見てやわらかく微笑んでくれる。怒らない。それに満たされたイキモノの目をしている。 なんて幸せなんだろう。 「ここ、止まらないね?初めてだったのにもうこんなだ」 「っや、いたい」 とろとろと白く濁ったモノを滴らせ続けているその先端を、白くて綺麗な指が抉る。痛みともどかしさに身をよじると、耳に甘く噛みつかれた。 「イルカ。今誰に何されてるの?教えて?」 「カカシさんに…」 何を?触れて、混じって、それから汚した。 そうだ。俺なんかが触っちゃいけない人なのに。 「イルカ?」 「ご、ごめんなさい…!ごめんなさい…!俺は、どうして」 「…ん。いいからほら。もっと、でしょ?」 「ん、ん!」 もっと欲しい。一度堰を切ってしまえばどんなに押さえ込もうとしても、もう止まれない。この際限なく好き勝手に膨れ上がる欲望が恐ろしくて、この人になにかしてしまうのが怖くて、だから逃げるはずだったんだ。でも、どこへ?どうやって? 思い出せない。 怖いから縋って強請った。逃げなきゃ。この人に触れていたい。 頭の中身をかき回されているみたいにぐちゃぐちゃで気持ち悪い。だからもっと、もっとこうやって。 抜け出ていくものを追いかけるみたいにして腰を落として飲み込んで、それから少しの隙間も許せなくて肌を合わせることに必死になった。 失ったら生きていられない。この体温も、声も、全部。…一度知ってしまったら、もう戻れないと知っていたはずなのに。 「…いいよ。ずっとそうしてな?」 「…ッ!」 胸元に埋められた唇が牙を剥いて、もうずっと気持ちよくておかしくなりそうだった体は、そのせいでショートしたらしい。 全身がガクガク震えて、それから動けないくらい体が重くなって、瞼も動かなくて。 ただ、声が聞こえた。 「幻術耐性は低いのに、意思が強すぎるとか、アンバランスだねぇ?」 「特別上忍への推挙も多かったけど、止めといて良かった。危なっかしすぎる」 「ま、どっちにしろここから出さないけどね」 「あーテンゾウがうるさいからそろそろ戻らないと。行って」 「また分身ですかってウルサイし。生意気だねぇ?」 同じ声が違う言葉を話して、でもどっちの手も優しい。貫かれたままの体を愛しむように撫でてくれる。 もう、駄目だ。 何が駄目なのかも分からないまま、意識は闇の中に溶けていった。 「「おやすみイルカ」」 耳元に吹き込まれるその言葉すら心地かった。 ******************************************************************************** 適当。 時間的な都合で、中途半端でもあげちゃうことにします。 |