前のお話はこれ⇒記念日10の続き。 「ご飯おいしかった?」 「はい!」 飯はもちろん美味かった。それよりも食べている間中ずっと頬を啄ばまれたり、なでてくれたり、とにかくずっと触れてもらえるのが嬉しくて、最初は恥ずかしいかったはずなのに、途中からは自分から強請って食べさせてもらっていた気がする。 駄目だ。この人が甘やかしてくれるから、際限なく甘えたくなる。 執務があるんだから早く戻らせてあげなきゃいけないのに、離れがたくて今も抱き込まれたままでいる。挙句、心地よさにまぶたが重くなってきた。 どうしよう。このままじゃ何もできない。 この人がどれだけ忙しい人なのか知っている。だからこんなことしてる暇なんてないはずなんだよ。 それに、何かしなくちゃって…そうだった!マッサージ! 「ん?どうしたの?」 「マッサージ!っとその前に飯!食器洗います!あの、流しはどこですか?」 自分の家なら流しに放り込んでためちまうことなんてしょっちゅうだったけど、ここはこの人のための場所だから、そんなこと絶対にできない。この間確か片付けているのを途中まで見たんだから、どこかにあるはずなんだ。 癒し、か。癒しって他になにかできることがあったか?俺ならこの人が笑ってくれてるだけで幸せだけど、どうしたらいいんだか分からない。だからせめて何か役に立つことを探さないと。 「ああ、食器はいいの。それよりこうしてたいんだけど」 「え?」 こうしてって…椅子に座ってるこの人の膝の上に俺が座ってるだけ、だよな? 背中に感じる体温にうっとりする。肌も一応は隠せてるし、居心地は最高だし、俺としてはいつまでだってこうしていたいけど、この人は重いだろうし、そもそも仕事があるはずだし、ええと、あと、あとは、なんだっけ? 「癒されるんだけど。だめ?」 「駄目じゃ、ないです」 駄目なんてありえない。むしろ望むところだ。でも何か大切なことがあった気がしたんだけどなぁ。思い出せないんだから、多分たいしたことじゃないはずだ。 あったかくて幸せで多分俺はものすごくだらしない顔をしている。だって頬が緩みっぱなしだって自覚はある。それになんていうかだな。すごくくっついていたい。もっとずっと。 「したいの?」 聞かれて何のことだかわからなかったのに、触れ方が変わったらすぐに体の方が反応した。 「あっ!んん…!」 ずるりと押し込まれたものは多分この人の指で、あの時あんなに痛かったのにすんなりと奥まで潜り込んでいく。あのときの歓喜と快感を思い出して、全身が溶けそうで、怖くて驚いて、だから思わず背を反らしてしまった。 「駄目。逃がさないよ。ほら、足開いて、乗って?できるでしょ?」 びっくりしただけなんだ。逃げようとしたわけじゃないのに。 さっきとはぜんぜん違う冷たい声。痛みを感じるほど強く捕まれた腕は、痣ができているかもしれない。 そんなにも怒らせてしまった。また俺は失敗した。 それが悲しくてすがり付いて許しを請うはずが、言葉になるまえに喘ぎ声に変わった。 「や、あぁ!あ!」 熱い硬いそれが押し込まれる。広げられているのがありありとわかるように、ゆっくりと浅く入れられて、ゆるゆると入り口だけを出入りしている。 「あれだけやったしねぇ?ね、…全部入れて欲しい?」 「ん、ん!」 うなずいてしがみついたら、それはすぐに与えてもらえた。 「あ、うぁ!いた、んっ…!」 「ん。だいじょーぶ。ほらきもちいいでしょ?」 一気に突っ込まれて、本能的な恐怖に駆られて泣き言を零したら、なだめるようになでてもらえた。 気持ちイイ。それはもう頭が真っ白になるくらいにイイ。揺れる腰を咎められなかったから、我慢するのはさっさとやめてしまった。腰を落としてゆっくり飲み込んで、それだけで動けなくなりそうなほど気持ちよくて、でも足りないからまた抜き出して、それにも感じすぎて涙が零れていく。 足りない。でも終わったらどこかに行ってしまうかもしれないなら、こうやってずっと繋がっていたい。 ゆるゆると繋がったまま体を揺らしてキスして欲しくて唇を捜した。すぐに与えられた口付けに、飢えた子供みたいにしゃぶりつく。 もっと、もっと、これじゃ足らない。 「もっと」 「うん。がんばってるの見てても楽しいんだけど、俺も我慢できなくなっちゃった」 ああ、してくれるんだ。よかった。 壊れそうなほど激しく腰を叩きつけられて、肌がぶつかり合う音が響いても、ほとんど気にならなかった。 与えられるものを一欠けらも残さず受けとめるのに必死だったから。 ******************************************************************************** 適当。 22〜27まで不在ですので更新滞ると思います。 時間的な都合で、中途半端でもあげちゃうことにします。 |