これの続き。 とろり。 あらぬところからそれが溢れるねっとりとした感覚に身震いして耐えた。 皮膚も、自分ですら触れることができないところも、全てが男の残したもので溢れている。 「ん…、ぅ…」 痛みと違和感と、取り返しのつかないことをしてしまったのだと、いまさらながら恐ろしくなる。 一番酷いのはたっぷりと精を注ぎ込まれた所だろう。 なぜか出て行くことをしない男のせいで、蹂躙され続けたそこはもはや感覚さえ遠い。 戦場でもないのにそんな所の治療を申し出るのは、自分にはできそうもない。 そもそもこの男がやったと知れたら、それはそれで厄介ごとを呼びそうだ。 それ以外にも、術で動きを封じられていた体は軋み、引き攣れる筋肉はしばらく言うことを聞いてくれないだろう。 正直身動ぎすらことすら辛い。 そんな状態なのに、男は酷く満足そうにしている。 「どこもかしこもぜーんぶ、俺のだらけでサイコー」 くすくす笑いは耳を擽り、術を解かれてなお動くことを放棄した体を嬉しそうにたどっている。 確かに男の言う通りだ。 こんなにも汚されて痕を残されて、男の思い通りにされた体は、まるで自分のものじゃないかのように言うことを聞かない。 この惨状に諦めしか感じないのはそのせいだと思い込もうとした。 所有の証を残すことに執着した男に感じるものなど、それ以外に必要ないはずだ。 腕が、俺を捕らえる腕が心地いいことには硬く目を瞑っておかなくては。 一人で立てなくなるようなモノは、今の俺にとって邪魔者でしかないのだから。 「だから、ねぇ。…これからは勝手に俺のモノに触れるなんてゆるさないし、一人で黙って耐えるなんてかわいくないことしてもすぐわかるし、お仕置きしちゃうよ?」 脅しのような言葉を、睦言染みた声が紡ぐ。 耳に響くそれは酷く甘い。 …気持ちイイ、ね? 快感に溺れて朦朧としていたはずの記憶が蘇って勝手に体に熱が篭る。 「ぁ…!」 「あらら、かわいい顔して煽んないでよもう!」 そこが本来の居場所であるとでもいいたげに居座っていた性器が、それを煽るようにゆるりと動いた。 項に落とされた口付けは、また一つ赤い痕を増やしたようだ。 「…ま、これからいくらでもできるから、今日は我慢してあげるけど」 なにが我慢か。 これだけ好き放題シテ置いて。 脳裏にちらつくそのセリフは、男の不埒な手のおかげでついに言葉になることはなかった。 「や、あっ…!」 「これからずーっといちゃいちゃするんだから、よろしくね?」 男が笑っている。…まるでそれが当然の権利であるかのように。 なんて物言いだ。 なんて馬鹿だ。 …こんなセリフで、胸が痛むなんて気のせいだ。 「ふ…ぅっ…!」 早くこの嵐が過ぎるといい。 そうすれば忘れるには強烈過ぎる記憶も、いずれは薄れて消えてくれるはずだ。 「守る。…今度こそ」 誓い染みたその言葉が毒のように染みこむのも、与えられる刺激に馴染み、溺れ始めている体も、全ては今だけの幻だ。そのはずだ。 「眠いんでしょ?…おやすみ」 背後から抱き込まれたまま、泥のように疲れた体はその言葉に引きずり込まれるように眠りに落ちていった。 ********************************************************************************* カカシてんてーおたおめ適当小話9。 次あたりで終わる予定です多分(´・ω・`) ではではー!ご意見ご感想等御気軽にどうぞ! |