これの続き。 言うことを聞かなくなった体が投げ落とされた先は見知らぬ部屋の…それも一応はベッドの上であるようだ。 受身もろくに取れなかったが、それでも上等な寝床のおかげで痛みはなかった。 とはいえ、とてもそれを喜べる状況じゃない。 全身の神経を緊張させている俺とは正反対に、男は酷く楽しげに笑っている。 「初めてでしょ?こういうの。ベッドのがいいんじゃないかと思って」 初めてじゃなかったら殺すだのなんだの物騒なことを言う男の手で、俺の服はあっさり切り裂かれ布切れに変わった。 襲撃で薄汚れていたとはいえ、こんな風にずたぼろにされたら直すこともできない。 壊すのが好きなんだろうか。この男は。 …俺も、壊されるのかもしれない。 これから男が為そうとしていることが分からないほど鈍くはない。 このまま抵抗もできずに好きにされるくらいなら、いっそのこと…。 「ああほら、そんなこと考えちゃ駄目だって。もーなんでわかんないかなぁ?」 「んっ…!ぐっ!」 噛み潰そうとした丸薬は奪われた。仮死状態になれば流石にその気も失せるだろうと踏んだのに、男は取り出したそれを確認した後さっさと灰に変えてしまった。 万事休すか。 嫌に冷静にそう思う自分に、少しだけ驚いた。 今までとはタチの違う暴力に、これから耐えなければならないというのに。 知らない部屋に連れ込まれ、相手の意図は読めない。それだけでちりちりと項が逆立つような緊張感が這い上がってくる。 その上、四肢の自由さえ奪われて、足の間に陣取った男のされるがままにされているのだ。 諦めたわけじゃないはずだ。 ただ、逃げられないと確信してしまっただけで。 「じゃ、頂きます」 足を広げられて、ぬるりとした何かが這いまわる。 何かなんて考えたくもない。見ることすら恐ろしくて目を硬く瞑った。 耐えなければならないなら、できるだけ忘れられるように。 息を殺し意識をできる限り沈めようとした。 「こーら。もうほんっと聞き分けないね?」 …玩具の態度にもこだわるか。なんて無駄なことを。 やりたいなら好きにすればいい。この手の嫌がらせは初めてだとはいえ、覚悟していなかったわけでもない。 いっそ意識も奪ってくれればいいものを、よほど屈服でもさせたいのか。 「聞き分けもなにも、アンタ、自分の好きなようにしかしないだろ」 それなら一緒のはずだ。 死に物狂いで抵抗しようが、意識を遮断しようが…何をしたところでしたいようにするだろう。 この男にはそれができるだけの実力がある。 「そうね。でもねぇ?だったら俺が諦めないってことも理解しなさいね?」 何を理解しろというんだ。 勝手に居ついて勝手に暴れて…挙句の果てに人を所有物扱いする。 なにが誕生日だ。体のいい玩具じゃないか。 「ふざけるな…!」 「何で怒るの?」 なんでも何も、これで怒らない人間がいたらそいつの方がおかしい。 この男が何をしたいのか俺にはさっぱり理解できない。 自由になるのは口だけだ。せめてもう少しだけでも罵ってやろうか。 ぎっと睨みつけた先で、男がにんまりと笑った。 「ねぇ。さっきさ。…死なないって決めたのを覆すくらい、俺が怖かったの?」 「は?」 死なない…確かにまだ死ぬ気はない。 それをいつこの男に知られたのか。…だがあのハッタリは薬を奪われた段階でばれているはず。それにその前にクナイを振るったのも命を盾にすれば退くだろうと考えただけのことだ。 それを何を言い出すのかこの男は。 「最初の日、死にそうになってたくせに死なないっていったもんねぇ?」 そうか。あの日。記憶もろくに残っていないほど一方的な暴力を加えられたあの日。 それなら覚えていなくても不思議はない。 いつも通りに襲撃者はやってきて、だがその中にいた顔ぶれに我ながら馬鹿みたいに動揺した。 あの子のことを普通の子供だといったときに、同意してくれたはずの仲間。 …したり顔で平和を説きながら結局はこうかと呆然とした。 好き放題になぶられても抵抗するチャンスを失った体は思うように動けないままで、この男が来なかったら俺は今頃慰霊碑刻まれて…いや、任務中じゃないからそれすらも叶わなかったかも知れない。 「そうだ。死ねない。まだ」 あの子がせめて下忍になって、自分の足で立つまでは。 欲を言えば腹の内の化け物を滅ぼす日まで生きていられればいいのだが。 「うん。そうして。生きてよ。俺のために」 「なんでそんなに俺にこだわるんだ…」 所有権を主張する男をいなすのももう飽きた。痛みには耐えられても、向けられる得体の知れない感情は理解できない。 「そーんなの。簡単でしょ?…ああ、でも折角だし、体から教えてあげる」 「ひっ!」 つっ…っと性器に手を滑らせ、男が色悪な笑みを浮かべている。 「俺のだって印たっぷりつけとかないとね?」 ああ、食われる。 ただそれだけが俺の頭を支配した。 ********************************************************************************* カカシてんてーおたおめ適当小話5。 つぎはえろのはず! ではではー!ご意見ご感想等御気軽にどうぞ! |