今夜も眠れない7(適当)



これの続き。

  中忍にしては強いのは知ってる。さっきボコボコにされてたアレはあの程度でも一応暗部の末席にいた。それをああまで一方的に蹂躙できるんだから、もしかすると純粋に体術のみなら俺とだってやりあえるかもしれない。
 結界だなんて隠し玉にも気づけなかったのは、この人との生活があまりにも得難いものだったから府抜けていたせいもあっただろうが、あそこまで簡単に引っかかったのは間違いなくこの人の腕がいいからだ。
 破るのにも苦労したしね。あんなに強固な結界、いくら三代目の仕込みがあったからっていっても、繊細なチャクラコントロールができなきゃ無理だ。それも俺に気づかれないくらい素早かったってことを考えると、並みの上忍じゃ下手をすれば遅れをとる。
 そうだ。頼りになるのは知ってる。忍としての強さはさっき知ったばかりだけど、人間的な意味で俺なんかと比べ物にならないくらいこの人は強い。
雄々しく頼れと胸を張って、手を差し伸べて抱きしめてくれる。…俺がケダモノだなんて知りもしないくせに。
どんなにこっちが無茶するなって言ったって聞いてもくれないくせに、俺のことは体を張って止めようとしてくれた。実際、アレがもっと手ごわい敵であったとしても、この人は一歩も退かなかったに違いない。
 この人の甘さは毒のように染み込んでしまって、もうそれなしには生きていけそうもない。
 写輪眼のカカシ相手にこんなこと言う人、普通いないよね。こんな人、絶対他にいない。そうじゃなくたって俺の唯一の人だけど。
寝辛そうにしているときも、俺のことを心配そうに撫でてくれる時も、いつだって不埒な欲望は胸の奥で燻っていて、ふとした拍子にあふれださないようにこらえるのに必死だった。
 でも、もう無理。
「カカシさん?どうしちまったんですか!ちょっ!服!こら!やめ!」
 肌が赤い。羞恥のためか、それともさっきの戦闘の余波かは知らないが、こっちとしては都合がいい。剥ぎ取った服は適当に放り捨てておいた。
 この人を感じるために邪魔なものは全部イラナイ。肌を、熱を、匂いを、この人の全部を感じたい。
「イルカせんせい」
「…な、んですか。まだ痛むんですか!?」
 違う。苦しいだけだ。もう止まれない。これでこの人に永遠に拒まれることになっても、全部自分のモノにしたいという欲求を抑え込むことなんてできやしない。
 触れているところから少しでも熱が移るように、自分から服を脱ぎ捨てた。自分も素っ裸にされてるっていうのに、それを呆けたような顔で見ている。
 当たり前か、男と、なんて、考えもしないだろう。かわいい嫁さんもらって子だくさんーなんて夢を本気で考えていそうだ。恐ろしく前向きで潔い。
 でも、ごめんね。…一夜で我慢できる自信なんて欠片もないんだ。
 今なら間に合う。誰にもこの人を渡さずに済むかもしれない。そう思ったらこの人の幸せとかそういうことは頭から簡単に吹き飛んでしまった。
 結局俺はどこまでも利己的な忍だってことなのかもしれない。
「助けて」
「わー!ちょっと待ってなさい!医者!」
「…イルカ先生が欲しくて苦しい」
「…はへ?」
 ぽかんと開けた口が卑猥だ。そこに何を突っ込みたいかなんて、この人に教えるつもりはないけど、衝動のままに体は動いていた。
「すき」
「んぐ!う?うぐ!」
 唇を合わせるだけじゃ足りなくて、戸惑う舌を捕まえてたっぷり味わう。怯えるでも怒るでもなく受け入れてくれているのは、多分驚いてそれどころじゃないからだろう。
 あの実力で本気で抵抗されたら今の俺じゃ少々分が悪い。できないわけじゃないけどね。
 ただ、この人は俺に抵抗なんてしないだろうって確信もあった。怪我人相手に暴力をふるえるような人じゃない。それも、俺みたいに不幸の塊みたいなヤツになんて特に。
 同情でもなんでもいい。この人が手に入るなら。
 沸騰した頭で考えられるのは、どうやってこの人を喘がせて突っ込んで泣かせて縋らせるかってことくらいで、暴れるでもなく頬を赤くして息を乱す姿に興奮しか感じられなかった。
 ずっとほしかったものがてにはいる。
 頭にあるのはたったそれだけ。
「きもちいい」
「ん、は、え?えええええ!いやちょっとまちなさい!頼むから!」
「無理。したい」
「いやいやいや。落ち着けって!俺は男ですよ!」
「イルカ先生でしょ?」
「いやそりゃそうですが!そうじゃねぇ!」
 男だろうがなんだろうがどうでもいいんだ。この稀有な人を誰の手も届かないところに閉じ込めてしまいたいだけで。それは無理だってわかってるから、せめて俺のモノだって証を刻み付けたい。策略をめぐらすのは得意だ。この人に誰にも余計なちょっかいなんてかけさせない。
「…イルカ先生は、俺じゃだめ?気持ち悪い?」
 こう聞けば、この人が躊躇うことなんて分かり切っていた。俺が好きとか嫌いとかじゃなくて、俺が悲しむからこの人は躊躇う。そうしてその隙を突けばどうとでもできる。
 下種の手管だ。今更おきれいな言い訳なんてしない。もう手に入れると決めてしまった。
「…おいこら。ちょっとそこの上忍様。座んなさい」
「え?」
 これは予想外だったかも。怒ってるというか、これはなんだ?悲しんでる?
「あんたは、そうやってすぐ自分を卑下するけどな。俺はあんたがどんなに自分が駄目だって喚いても、そんなもん嘘だって知ってるんだよ!」
「え」
「甘えただし無茶するし、そんなんだからほっとけねぇんだ!もっと自分を大切にしなさい!」
「えーっと」
「嫁さんもらって幸せになってくれたらそれでいいと思ってたのに。なんだよ畜生。気づかないままだったら我慢できたのに」
「イルカ先生?」
「…あんたが、好きだ。いいか?俺はしつこいんだ。今更なしっていっても聞けねぇぞ」
 告白と共にぶつかるように口づけが降ってきて、あとはもう。
 めくるめく夜ってやつを堪能した。

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適当。
いちゃぱらふうみ。
医者の不吉な予言通り咳のおかげでねむれねぇってばよ…。はよなおさな。
ご意見ご感想などお気軽にどうぞ(`ФωФ') カッ!

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