今夜も眠れない6(適当)



これの続き。

 ストレス発散には運動が一番だな。重いものを運ばせてしまったこの人の後輩さんには迷惑をかけてしまって申し訳なかったが、それでもこの人を矢面に、それもあんな性根の腐った下種の汚い言葉を聞かせず済んでよかった。
 大体なんだってあの程度で暗部を名乗ってるんだろう。俺はまあ暗部なんて元暗部のこの人のことしか詳しくは知らないけど、あんなに弱くて勤まるもんなんだろうか。少なくともじいちゃんのそばにいた人たちはみんな俺よりずっと強い人たちばかりにみえたのに。
 中忍とはいえ教員は並みよりは多少厳しい水準をクリアしなければ教師を名乗れないってことを踏まえても、普通の上忍並みだったよな?暗部にも家柄採用とかあるのか?頭の悪さでは里一番かもしれないが、あんなんじゃ任務中にあっさり死にそうだよな?
 まあそんな疑問は後にしておくとして、この怪我人のくせに無茶して結界を破ってくれた無理をする人をさっさと寝かしつけなくては。その前に風呂か?飯か?
 なにせ帰ってくるなり悲壮な覚悟を決めてますって顔に書いてあるのに、戦いに行くとか言い出したからな。お礼だなんだとあの時も言っていたし、今は自分の無茶をしり目に俺への心配で頭をいっぱいにしている。明らかに優先すべきものを間違えてるじゃないか。
「ね、イルカ先生、聞いてるの?」
「聞いてます聞いてます。遅くなっちまったし、飯食って寝なさい」
「聞いてないじゃない!危ないことはやめてって言ったでしょ!」
「人が帰ってくるなりむちゃくちゃ言い出した人にそんなこという権利はありません。いいから飯食ってとっとと寝ろ」
 そう。全くもって腹立たしいことに、この人は無茶の塊なんだよなぁ。危ないことはやめろって自分が率先してやっといて何言ってんだって話だ。目が離せないなんて言ったらもっと泣かれそうだから言えないが。
 とりあえず返事は期待できそうにないから、飯だけでも用意しようと台所に足を運ぼうとしたのに、いじましくも俺の忍服の袖をつかんで引き留めてきた。目なんか潤んでるし、今にも泣きだしそうだ。そんな顔しなくったっていいのに。
「お願い。ホントに危ないヤツだったんだからね?変態だし」
「へー?そうなんですか。まあものすごく手ごたえがなかったんで、大丈夫ですよ」
「そ、れはそうかもしれないけど!たまたまでしょ!」
「怪我人は黙んなさい。俺が!どんな思いで!…怪我人はとっとと食って寝なさい。そうじゃなきゃ話なんて聞けるか!」
 そうだ。この人は自分のことを棚上げしすぎだ。無理をしとおすくせして、俺に文句なんて言わせない。そんなことよりとっとと食って寝て、けがを治して、あとのことは全部それからでいいはずだ。
 重荷を一人で背負おうとするこの人の代わりは俺なんかじゃ勤まらないにしても、少しでも負担を減らしたいじゃないか。
「…ホント、大丈夫なんだってば。そんな風にされたら一人で立てなくなっちゃうかもよ?」
 初めて聞く弱音は随分と儚げに聞こえて、おどけて見せているのに逆にそれが痛々しい。
「ああもう!それならもっとこう、どーんとよっかかってきなさい!俺がそばにいますから!」
 勢いあまって抱きしめて、頭なんかも撫でつつ拗ねて膨れた頬をフニフニ揉んでやった。かわいいったらないよな。この人。全然自覚してないだろうけど、意外とこうやって甘えてくれるんだよなあ。たまらん。
 脂下がった俺に気づいたせいか、唐突に声が低くなった。
「…何言ってんの?」
 獰猛な獣の威嚇にも似たそれが、何故か必死さが愛らしく見える。俺もたいがいだな。いやでもむしろこの人の方が俺のツボを突くのが上手すぎるんだ。
「言葉通りです。俺じゃ足らないことはそりゃあたくさんあるでしょうが、今後は俺にできることなら全力でやりますから覚悟してください」
 抱え込む人がどんなに拒んでも、俺が放っておけないんだ。いつも自分だって真っ先に犠牲になろうとするんだから少しは思いしれってんだ。ざまぁみろ!
 気分よく啖呵を切って、さて飯を何とかしなくてはと立ち上がろうとした。
「…いいの?知らないよ?甘やかして甘やかしすぎて、あんたを食っちゃったらどうするのよ」
 食う、というと、あれか。普通に頭からバリバリってなじゃないよな。この場合。
 ってことはあっちだ。惚れた腫れたの色恋沙汰。俺の最も苦手とする分野でもある。
 …ん?でも俺も男でこの人も男、だよな?珍しいことじゃないが、この人の腕にはしょっちゅう女たちがこぞって手を伸ばしていた。男を相手にするなんて話は噂でも聞いたことがない。
 どういうことだ?
「ええと、俺は食ってもうまいかどうか…?」
 自分でも何を口走ってるんだろうと思ったさ。でもなぁ。だからって目ぇまん丸にして驚いた後、大笑いすることないだろうが。
「っぷ!あはは!そうだね。そういう人だよね。イルカ先生は」
「ええい!笑うな!俺はその、そっち方面は明るくありませんのでね!」
「そうなの?それはうれしいかなぁ」
「なっ!失礼な!うるせー!どうせもてませんよ!け、経験なんてもんほとんどないですし!」
「ううん。そうじゃなくてね」
 耳元に触れるやわらかい感触は、この人の唇だろうか。いつの間にかさらされた素顔はいつ見てもきれいな人だ。きっとこういうのを花のかんばせっていうんだろうな。近づきすぎて見えないのに、あの顔が触れるほどそばにあると思うとなんだか落ち着かなかった。
「あの、ですね」
「…俺以外誰にも触られてないんだって思ったら我慢なんできない」
 甘い甘い声に混じる確かな興奮と欲の匂いに戸惑う余裕すらなかった。
 うっかりびっくりして混乱しているうちにベッドに転がされて、どういう手順かしらないが、素っ裸にされていたからな。

 
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適当。
中忍うっかり煽って上忍を本気にさせる。上忍は上忍で頭沸騰するまで行動に出られないことを後々後輩につつかれたりして。
扁桃腺炎から気管支炎にジョブチェンジなさった…。俺たちの戦いはこれからだ!
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