独占欲14(適当)




これの続き。 



「おきた?」
「う…あ、れ?」
俺はどうしたんだっけ?
確かカカシさんと話してて、それから…それから。
そうだ。この人を閉じ込めなきゃいけなかったんだ。
「ご飯にしましょ?一杯運動したし」
そういえば腹が減った気がする。
食うこととそれからこの人に抱かれること以外していないことに、今更ながら気がついた。
今日は、休みだっただろうか。
閉じ込めるためにどうにかしなきゃいけないのに、どうして俺の手は自由にならないんだろう。
「カカシさん」
縛められた手をもぞつかせながら視線で開放を訴えると、何故か知らないがすごく嬉しそうに笑ってくれた。
「かっわいいなぁもう!どうしよ!もう歩けないでしょ?でもしたい」
そういえば足に力が入らない。腰が岩でも括りつけたように重くて、人に言えないような所がジンジンと熱を持ってひりついている。
何が原因って、この爛れた生活のせいなんだが、恥ずかしいと思うより嬉しさの方が勝る。
ずっと欲しいものを我慢してきたから、それがいざ自分のモノになったら、どうしたらいいかわからなくなった。
だからまずは閉じ込めなきゃいけないんだ。
それから、大事に大事にしなきゃいけない。
でも、どうやって?
「歩けない…」
しかも印も組めない。これじゃ閉じ込めるのが大変だ。
はやく、早くしなきゃいけないのに。
誰かにとられてしまう前に。
「ご飯食べたら連れてってね?その部屋に」
俺はこの人に話しただろうか。そうか。この人が自分で一緒に入ってくれるなら最高だ。
…鎖は外せないけど、自分から望んで閉じ込められてくれるのなら…きっとあの人のように悲しい顔をさせないで済む。
「はい…!」
早く食事を済ませて、それから急いで連れて行かないと。
ベッドはいつも手入れを欠かしたことはないし、掃除もしたばかりだ。
食事の好みも調べて…後は。
「うーん。正気じゃないのは分かってるんだけどかわいすぎてどうしよ?部屋に入ったら悪化するのかねぇ?」
困っている。カカシさんが。どうしよう?
「カカシさん…?」
「んー。へーき。だから、そんな顔しないで?」
「でも…!」
だってそんなに辛そうじゃないか。
俺にできることなら何だってしたいのに。
「火影様にも話は通しておきました。二人っきりでいちゃいちゃしてもいいって」
それが本当なら夢のような話だ。
好きで好きで、大事すぎてどうにかなりそうなくらい好きで、そんな人を本当に俺だけのものにしていいなら、もうなにがあってもいい。
…この人を失うことの他は。
「何が食べたいですか?ベッドはやわらかいのと硬いのとどっちが?それから服は…」
「イルカ先生が食べたいんですけど、その前にご飯食べましょ?」
そうだった。ちゃんと食事してから、一緒にあの部屋に帰ればいい。
これからはずぅっと一緒だ。
まだ油断できないけど、こんなにも楽しそうにしてくれているのが嬉しい。
「ごはん」
「ん。食べて?」
動けない俺に鳥の雛にでもするように食事を与えてくれる。
どうしよう。幸せすぎておかしくなったんだろうか。このままここにいたいと思い始めている。
そんなの。ダメだ。だってここは外だから、奪われてしまうかもしれない。
「ごはん、食べたら…」
「そうね。…ああもう腹が立つけどかわいいから許してやりたくなっちゃう!下種がもう死んでるのが残念すぎるじゃない!」
よく分からない。でもなんでもいいや。カカシさんが楽しいならそれで。
もうすぐ二人っきりで過ごせる。
蕩けそうに緩む顔を、白く長い指が優しく撫でていった。

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適当。
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