これの続き。 ここからが、勝負だ。 怒りの形相は、普通の子供なら泣き出すレベルで恐ろしいし、殺気じみたチャクラのうねりもひしひしと感じる。 それでも怒りを押し殺すためか、湯飲みを砕きかねない勢いで握り締めているせいでみしりと嫌な音が聞こえてくる。 ま、だからってイルカから離れるつもりなんてないけど。 父さんのおかげっていうか…うみのさんが自己防衛に力を注がざるを得なくなったせいで、イルカとの時間が増えたのは正直嬉しい。 家に上がった日にいつもどおりに過ごしてただけなのに、怒りながら笑うっていう器用なまねをしてくれたっけ。 気を遣ってくれたんだろうけど、こっちとしては…うん。怖かった。 結局イルカと二人でずっと一緒にいたいですっていったら、家が震えるくらいの大声で叫ばれちゃったっけ。 声とか裏返ってたし、イルカがあんまりびっくりした顔するから、大慌てで落ち着いてもらおうとした。 そしたらいきなり、父さんのことを聞かれた。 「小僧…!お前の親はどこだ…?どこにいる!」 そういって唸り声を上げるうみのさんに、イルカまでおびえる始末。 そのまま母親はいないってことと、父さんなら今頃任務で、あと少ししたら帰ってくるって話をしたら、俺の家までそのまま怒鳴り込みに行ってしまった。 …それが切っ掛けだよね。 「小僧…!貴様の話というのは何だ…!?」 今にも忍刀で真っ二つにされそうな勢いだ。 何とか上手く話さないと。 父さんがどうしてこの人のことを気に入っちゃったのかはわからない。 ちょっと変わった人だっていうのは、早くに忍になって、他の忍と組むことが多かったからすぐに気づいた。 どこにいっても父さんみたいな人はみたことがない。 なんていうか、任務では目的だけを見てる。 強いし、仲間を守る姿勢も尊敬してるけど、多分人間としてはいろんな意味でダメな人だと思う。 しろっていわれたことはできるんだけど、それ以外は全然ダメだ。 自分から何かをするっていったら、修行とかそれくらいで、酒の一滴も飲まない。 母さんが先立ってからはいっそうそれが酷くなった。 ここにいるのにいない感じっていうか…はかなげだなんだって女にはモテてたけど、父さんはそいつらに少しの興味も示さなかった。 時々唐突に犬を拾ってくることの方が多かった位だ。 食事とかも作ってくれるけど、そのうち自分で作るようになったのは、そのせいもある。 なんだか心配だったんだよね…。 それがこの人を見つけたとたんこの反応。 …期待しちゃったのも本当だ。 多分俺は、この人が俺のイルカの父親でなければ、もっとあっさり策を弄して父さんのものにしていたかもしれない。 父さんが誰かのものになるのは嫌だけど、誰かが父さんのものになるなら平気かなぁって。 あんなに生き生きした父さんをみるのは、母さんがいなくなってから初めてだった。 ちょっと所じゃなく暴走してるのは困るけどね。 「父さんが、うみのさんにご迷惑をおかけして申し訳ありません」 だからなんとか上手く話さないといけない。 父さんも幸せ、うみのさんも幸せ、奥さんも、もちろん俺たちも幸せになれる妥協点ってヤツを探るために。 頭を下げただけなのにひるんでしまうこの人は、上忍なのにびっくりするくらいお人よしだ。 イルカもそういうとこそっくりだけどね。 俺が子供だってことを最大限利用する。父さんの息子である以前に、この人にとっては片親の幼い庇護すべき存在でもあるから。 「う、うむ。それで、なんだ。話というのは」 「それは…」 全身の神経を集中した。 …みんなの幸せな未来のために。 ********************************************************************************* とりあえず子カカイル祭り継続中。 怖い子供へん。 ではではー!ご意見ご感想等御気軽にどうぞ! |