これの続き。 「イルカ!?」 「父ちゃんどうしたの?」 「い、いやそのだな…!」 二人の距離が近い。…もっと言うなら完全にその、顔が重なって…いやまさか…!? 「ほら、行こう?うみのさんも手を洗いにいらしたんですよね?」 「ああ、まあ、そうだが」 「そっか!ごめんね?父ちゃん」 慌てたように二人して洗面台を空けてくれたのは別にいい。 むしろありがたいというか、きちんと気を遣えるようになったことがうれしい位だ。 だ・が! なぜあの二人は手に手をとって出て行ったんだ!? おかげで湧き上がる不安…あんな風に自然と家出…いやまさか里抜け…!? 「く…っ!やはりあの小僧には徹底的にお付き合いと言うものを叩き込んでやらねば…!」 大急ぎで顔と手を洗い、居間へ急いだ。 …放っておいたらイルカの部屋でなにをされるかわからん。 「アレの息子であることには変わりないからな…!」 アレのことを思い出すとついつい身構えてしまう己を叱咤した。 今くじければ息子を守れないのだから。 ***** 「父ちゃん!アイス食べていーい?」 「ああ。溶ける前に食べなさい」 「やったあ!父ちゃんありがとう!えへへ!」 やはり笑顔でいて欲しいな。いつも。 うれしそうにアイスを手に取り、二つあることを確認して銀髪小僧にも渡してやっている。 優しい子だ。 …なぜ見詰め合っているんだと苛立ちが募ったが、ここは俺が譲ってやろう。 二人して袋を開けている姿はかわいいと思えなくもない。 「じゃ、半分こな!」 「え!でもいいよ!イルカにあげる」 「だってもう半分にしちゃったから、はい!」 「じゃ、俺も。はい!」 「ありがと!カカシ!」 「イルカもありがと!」 二つに折れるタイプのアイスだったのは知っている。 …だがなんだこれは。二人して…! イルカー…父ちゃんも目の前にいますよー…。ひとくち…。いやアイスが好きなわけじゃないんだが…! 「あ、こっちも美味しい!」 「イルカのも美味しいよ?」 なんでそんな目で見てるんだ…!かわいいかわいいうちの一人息子を! イルカもなぜそんなに嬉しそうに頬を染めて…! 「あー二人とも。食べ物で遊ぶんじゃない!ちゃんと座って前を向いて食べなさい!」 「はーい!」 「はい!」 …返事はいいんだ。それは良くわかっている。 慌てて前を向いたイルカは多少反省しているだろう。 だがそっと机の下で手を握った小僧は…やはりアレの息子だ…! 「そうは、させん…!」 即実力行使に出る父親よりも、かえってタチが悪いかもしれん。 苛立ちとともに握り締めた湯飲み茶碗がミシミシと音を立て、俺は己の怒りを制御することの難しさを痛感したのだった。 ********************************************************************************* とりあえず子カカイル祭り継続中。 みじかいごめんなさい…。 ではではー!ご意見ご感想等御気軽にどうぞ! |