武将の人6(適当)



これの続き。


「うみのさん」
受付所を出てすぐ声を掛けられた。
とっさに身構えたが、声が違う。
振り返った先で俺を見上げていたのは、銀髪小僧だった。
「どうした小僧」
今まで見る限りでは、この子供はあのケダモノの息子とはいえ、安易に己の父の味方をしたりはしないだろう。
だからといって安心などとてもできないのだが。
邪険にするには不憫だという思いもあって、とりあえず話だけは聞いてやることにした。
「あの、ご相談があって。任務が終わったばかりで申し訳ないんですが、お時間をいただけますか?もしご都合が悪ければ日を改めますし…あの、父さんのことで」
子供に何をさせてるんだあのケダモノは!?
もじもじと俺を見上げる不安そうな顔に胸が痛む。
何かと迷惑をかけられてはいるが、まだまだ子供だ。
あんな輩に苦労させられているのを見るのは辛い。
こうして気遣いができる子の父が、どうしてあんな破廉恥且つ奇矯な振る舞いばかりのケダモノなのか、理解に苦しむ。
…この小僧には片親しかいないなのだと最近知った。
ヤツに弱点はないものかと、三代目にそれとなく向けたのが切っ掛けだが、随分と幼い頃に死別しているらしい。小僧が下忍になるかならないかの年に、すでに鬼籍に入っていたと聞いた。
奥方がよっぽどできた人だったんだろう。それを失って…。
安易に同情するのは危険だ。それは理解している。
とはいえ、やはり無視もできん。
この状況で、イルカに甘えたくなる気持ちもわからんでもないからな。
…あんなのが親、か…かわいそうに。
それに相談というなら、小僧の考えを知る良い機会にもなる。
この際、隠れて何かしでかされるよりも、ずっと安全だろう。
「話を聞くくらいならかまわん。うちへ来い」
「はい!」
許可を与えただけで、小僧は安堵で顔をいっぱいにして笑った。
子供らしい顔をやっと見た気がする。
こんなにできた子供がいるのに、あのケダモノは何をやってるのかと改めて腹が立った。
…まあしっかり影響は受けているようだが、今のうちに手を打てばなんとでもなるだろう。
イルカは絶対に渡さん!
ふわふわのひよこのような頭をなでてやると、少し恥ずかしそうにしたのがよりいっそう不憫に思えた。
*****
この所銀髪小僧とケダモノのおかげで、イルカを不安にさせてばかりいるから土産を買った。
食事前にあまり間食を食べさせるのはなんだが、新作のアイスがでるというCMを食い入るように見ていたのを思い出したのだ。
毎度毎度ではないわけだし。…妻にはいい顔はされないだろうが、少しだけならかまうまい。
もちろん小僧にも買ってやった。
イルカにはオレンジ味、小僧はもうひとつのソーダ味と言うヤツにしたようだ。
…少しは笑ってくれるといいが。
夕暮れ時の川原で死闘を繰り広げてからこっち、イルカは終始俺を見ては不安そうな顔をするようになった。
好物を食べているときなどは普通にしているようだが、親としては胸が痛い。
早めに手を打たねばならんな。
「ただいま」
「お邪魔します」
「カカシ!カカシの声だ!あれ?父ちゃん」
…この扱いの差…。父ちゃんちょっと、いや大分悲しいぞイルカ…。
「イルカ。手洗い場を案内してやってくれ。それからこれは土産だ」
「あー!これ!ありがとう!父ちゃん!」
うむ。やはりかわいい。この笑顔を曇らせたくないと言うのは、親として当然だろう。
あのケダモノは何を考えているのやら。わが子が人の道を外れようとしているのに…。
そもそも本人が人の道などというものを気にしてはいないようだが。
「イルカ」
「うん!こっち!」
視線だけでやり取り…!?い、いや、小僧はもう下忍。そのくらいのことはできて当然か。
べ、別に仲がいいという理由ばっかりじゃないはずだな。
「おかえりなさい!あら、あの子も?」
「ああ。…あのままでは不憫でな…」
「そう、それで」
こうして気遣ってくれる優しい妻と息子に囲まれて、俺は幸せ者だな。
不甲斐ない所ばかり見せるわけにはいかぬ。
「じゃあご飯もう1人分作らなくちゃ!あなたも手を洗ってきてくださいね!」
「ああ」
いそいそと台所に戻っていく妻に言いようのない幸福感を感じながら、俺も洗面所に急いだのだった。


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とりあえず子カカイル祭り継続中。
まだまだ暴走中。もうちょっとで終わらせたい…。
ではではー!ご意見ご感想等御気軽にどうぞ!

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