これの続き。 「…くそ!避けるな!」 今日も彼は随分と腹を立てているようだ。 その度にふわりと香る匂いに目を細めた。 このまま少し楽しもうか、それともこの匂いを間近でもっとかぎたいという欲求に従おうか迷う。 確かカカシが、この人を襲うなと言っていた。 確かに体に傷をつけるのは本意ではない。 今までのものも、結果的にそうなってしまっているだけだ。 カカシに悲しまれるのは困る。彼女を怒らせてしまうかもしれない。 だが、どうしても我慢するのは難しい。 この人のものであるというだけで、嗅ぎ飽きたはずの血匂いすら甘いのだから。 「さて、どうするか」 いっそ幻術か、それとも薬でも使おうか。 時間が出来るたびにこの人の匂いを追うのが日課になってはいたが、そろそろ我慢するのにも飽きてきた。 手に入れてしまえば、後は結界でもなんでも使って、閉じ込めてしまうことができる。 早く安心したい。どこかへ消えてしまうかもしれないのが酷く恐ろしい。 昔カカシにそれを強いたときは、三代目が泣いて止めにきた。 他にも何人俺の元に説得にきたのか覚えていないほど、彼らは俺の大切なものを外に、危険に晒せと訴えた。 いまだに納得することはできていないが、彼女は三代目の言うことを聞けといっていたから、最終的に少しずつ外に出すことには同意した。 今思えば、確かにあの子ならば自分で立つことが出来るだろう。 あれは、俺の子でもある。 何があってもいいように、自分のもてる全てを、あの子には教え込んだ。 まだそれらを完璧に身に付けられているとは言いがたいが、忍としてはよく似た戦い方をする息子は、そう簡単には死なないだろう。 彼女の下へ行きたいと思い始めてからすぐ、いざという時のための忍犬たちも用意した。 あの子になにかあれば、その身をもって守るように言いつけてある。 「どうするかもこうするかもないわ!貴様自分の息子に無茶を強いてのうのうと…!恥を知れ!」 そういえば、確かこの人の妻となったのは、かつての部下だったはずだ。 こうしてこの人を追いかけるようになってからも、彼女は一度も俺を止めなかった。 任務以外で人の物を盗るなといわれいるが、所有権を放棄されているのなら、その限りではないだろう。 つまり、今は手に入れるには絶好の機会だと言える。 「痛いのは、良くないだろうな」 「は?」 自分にとって、痛みを感じることは敵の攻撃を受けたということ以外に取り立てて意味のないものなのだが、普通はそれに苦痛を感じるのだと聞く。 この人を傷つけたくはない。 痛みを与えないようにするには意識を奪わないと、暴れられてしまいそうだ。 縛り上げて閉じ込めるより、いっそ術印でも刻んでしまおうか。 …二度と俺の前から消えてしまわないように。 「ウミノサン」 少しずつ距離をつめると、大慌てで飛び退っていく その強い視線は俺から外れることがない。 「貴様に…父親の心得ってもんを教えてやる!」 背後に渦巻く力強いチャクラが、とても美しいと思った。 印を結び慣れた指は、こんなときには便利だ。考えるより先につかうべき術を選んでくれる。 目の前の獲物を、永遠に自分のモノにするために。 ********************************************************************************* とりあえず子カカイル祭り継続中。 Σ(`ハ´)ぴーんち!だったりして(´∀`*)ウフフ ではではー!ご意見ご感想等御気軽にどうぞ! |