これの続き。 最初は穏やかだったはずだ。 でも恥ずかしそうに服を脱がせてくれるイルカ先生に、押さえつけていたものがはじけるのは…我ながらびっくりするほど早かった。 俺から脱がせた服を床に落として、それからものすごーく必死な顔をしたイルカ先生がそっと顔を寄せてきたのだ。 くれたのは触れるか触れないかも怪しい淡いキス。 それなのにそれだけで脳が沸騰した。 獲物を捕らえる獣の素早さで、速攻ベッドに押し倒してキスを返した。 ま、もらったのよりずっと激しくて濃厚だったのはご愛嬌ってことで。 そこからはもう歯止めなんて利くわけがなくて、下の口まで濃厚にとろっとろになるまで手で舌で愛撫した。 「や…!」とか、「だめです…!」とか…そんな台詞で止まれるわけがない。 本気で嫌がってたら別だけど、真っ赤な顔で身も世もなく喘いで、縋って来ちゃうんだもん! 些細な抵抗には煽られるばかりで、むしろ…俺の欲望の炎に油所か火遁で加勢しちゃってるような状態だったわけだ。 そこへきて、「好きです」なんて涙目で言われたらどうなるかなんてわかりきっている。 つながって、一緒に頂点まで上り詰めても、その体を離すことなんてできなくて。 「あっ…!ん、も、だめで…んん!」 つれないことを言う唇を塞いで、空気を求めて蠢く舌を絡め取って、熱い吐息まで全部自分のものにした。 膝の上に乗ってもらったのは、もう体重を支えられなくなるまで攻め立てた後だからだけど、そんな状態で覚束ない抵抗なんかされても気持ちいいだけなんだけどねぇ? 恥ずかしがるのが却ってそそるってことが、まだ分からないらしい。 「だめじゃないでしょ?ほら…まだこんなにきゅうきゅう締め付けてくるよ?」 「あぁっ!」 「ね、意地悪しないで?」 おねだりの視線にこの人は凄く弱いって気付いたのは、ついさっきのことだ。 流石にいきなりすぎたと慌てては見たものの止まれなかったから、素直にごめんなさいって謝ったら…いきなりぎゅっと抱きしめられたのだ。 ちなみに中まで締め付けてきて大変気持ちのいい思いをしたのはおいとくとして。 「誕生日、だから…!特別…」 俺にも、自分にまで言い聞かせるようにして囁いて、それから噛み付くみたいなキスまでくれた。 今だって、ほら。 俺を見上げた瞳が潤んでいる。 「そんな顔すんの…卑怯だ…!」 乱れた吐息に悔しげな音を混ぜて、でも受け入れてくれている。 「だって、欲しい」 この所ずっと我慢してたってことを除いても、俺はいつだってこの人が欲しい。 「…全部あげます。でも…」 あなたも俺のものですからね? かすれた囁きはそれでも俺の耳にしっかり届いて。 …その結果、歯止めがいっそう利かなくなったのはいうまでもない。 ***** 「ご飯…」 「え!あ、ごめんなさい!今すぐ!」 途中で気絶したイルカ先生に気付いて、流石に一旦中断したんだけど、気付けば自分まで眠ってしまっていたらしい。 日の高さからして、もう昼近いかも。 俺は平気だけど、イルカ先生にこんな時間まで空腹で過ごさせちゃうなんて…! ベッドから飛び出そうとしたら、イルカ先生にぎゅっと腕を掴まれた。 「お祝いの用意が…!れ、冷蔵庫…」 動けないだろうと思ってたから、その素早さにも驚いたけど、冷蔵庫を開けてみてから驚愕した。 「これ、全部…!?」 大きな冷蔵庫一杯に豪勢な料理が詰まっていた。 …新鮮そうな秋刀魚も。 「お祝い、したかったんです。…さんまだけは焼きたてじゃないと…!」 ぽつりと呟いて、七輪まで這っていこうとするイルカ先生を慌てて止めて、綺麗にした布団まで連れて行った。 確かにこのプレゼントも包装紙もリボンもない。 でも…がんばりすぎでしょ! 「たくさんあるからそっち先に食べて、さんまは後で食べよ?俺が焼きます!」 ご馳走はたっぷりあるから、いっぱい食べて、それから…また一杯イルカ先生も食べちゃおう。 食事の支度をしなくていいなら、まだまだ時間は残っている。 「でも!お祝いなのに…!」 「もらったでしょ?まだもらうけど。…好きです。最高の誕生日だ…!」 いそいそと支度をする俺に、イルカ先生がちょっと困った顔で、でも嬉しそうにしてくれたから。 俺は最高の誕生日を満喫できる喜びに、どっぷり浸ってしまうことにしたのだった。 …イルカ先生が「しょうがねぇなぁ」って言ったのは聞こえてたけどね? ********************************************************************************* リクエストをいただけたので農家にしてみたり。 おわりってことにしていいでせうか? ではではー!ご意見ご感想等御気軽にどうぞ! |