晩夏10(農家)


これの続き。


そんなこんなでもうすぐ待ちに待った誕生日。
言い含めておいたからかナルトもサスケもお祝いだけ渡してはくれたけど、家に上がりこんでは来なかった。
…サクラからの意味ありげな視線が気になったけど、それはそれ。プレゼントだけ受け取ってさっさと引き上げた。
サクラは…きっと立派なくノ一になるな。いろんな意味で。
まあとにかくそれよりも、二人っきりの誕生日を無事に迎えられたってことが重要だ。
俺も必死になって任務を片付けたし、里に戻されてからは一応休みは取りやすくなった。
イルカ先生もしかも休みを取るために仕事を前倒しで片付けてくれたんだよね!
ま、忙しくて、結局あの日以来いちゃいちゃもできなかったのが寂しいけど…その分きっちり取り返すし!
時計はもうすぐ12時を指そうとしている。
定時になったら速攻イルカ先生を浚うように連れ帰り、真っ先に休んでもらった。
だって残業で疲れてるみたいだったし、だからってやめる気はないし、これ以上我慢なんてしたらもっと酷いことしちゃいそうだし!
…気がついたらちょーっと複雑すぎて多分三代目でも突破できない結界まで作っちゃってたから、冷静になるためにもこれは必要な措置だ。
イルカ切れで俺が狂ったら被害甚大だもん。
本当はお祝いの仕込みがどうとか言ってくれてたんだけど、美味しいご馳走も勿論嬉しいけど、誰よりも祝って欲しいのは…何よりも欲しいものはこの人だけ。
ちゃんと用意しておいたご飯もたっぷり食べてもらって、お風呂にも入ってもらって、ちゃんとおやすみなさいのちゅーもした。
真っ赤になって布団被って顔隠しちゃったイルカ先生がかわいくて、ついついそのまま悪阻言っちゃいそうになったのはご愛嬌だ。
布団越しに撫でてる内に、イルカ先生はすぐに沈没してくれた。
しっかり休んでくださいね?…12時になるまでは。
…誕生日になったら欲しいものはちゃーんと伝えてある。
「あなただけが欲しいんです」って。
あの時は照れちゃって大変だったけど、そんな顔すらかわいくて思わずおしたおしそうになったから、すれ違いで任務に出なきゃいけなかったのは却って良かったかもしれない。
今日はもう我慢しない。
禁欲を強いられた体は暴発しそうなほど欲望を溜め込んでいる。本当は、もう今すぐにでも美味しく頂きたい位だ。
でも後少し。ほんのちょっとだけ我慢すれば、ずっとずっと欲しくてたまらなくて、我慢していたものが好きなだけ手に入るのだ。
…なんてったってちゃーんとイイ子にしてたもんね?
カチカチと時を刻む時計の音が、もうすぐ訪れる幸せを教えてくれる。
「…3・2・1…」
ああ、もうすぐ。
寝ちゃってるけど、まずはキスから…。
「カカシさん…おたんじょうび、おめでとうございます」
「へ?」
ぱちっと開いた瞳がいたずらっぽい光を湛えている。
やわらかい微笑みに驚きよりもぞくぞくした。元々それなりに兆し始めていた素直すぎる下半身は、こんな顔見せられたら当然すっかりその気になってしまっている。
「あれだけそわそわしてたら、いくら俺にだってわかりますよ?」
くすくす笑いながら、ぎゅっと抱きしめてくれた。
重なるはずだった唇はシーツに当たるばかりだったけど、重なった体が熱くてたまらない。
「だって、今日は誕生日だもん。…ね、もう我慢しなくていいでしょ…?」
しろっていわれてもするつもりはないんだけど。だってもう限界だし。
風呂上りの言い匂いがして、やっぱり少しだけとはいえ眠っていたんだろう。瞳にうっすらと水の膜が張っている。
なんていうか、エロい。潤んだ瞳も寝起きでちょっと掠れた声も、なにもかもが俺を煽って仕方ない。
「…っんん!やりすぎは、駄目ですからね…!」
口付けに甘い吐息をくれるくせに、そんなことをいう。
手加減しろたって無理。だってこんなに…俺の欲を煽ってるのはこの人なんだから。
「んー?ま、それはねー?」
「わぁ!?あ、ちょっとまっ…ふあっ!」
これを見越して脱がせやすい寝巻きを選んでおいて正解だ。単に浴衣が似合うからっていうのもあったけど、ちょっと解けば即目的地にたどり着ける上に、色っぽいなんて最高だよね!
すっかり肌蹴てしまった浴衣からは、美味しそうな素肌が覗いている。
どこもかしこも口付けて俺の痕だらけにしたい。
全部、全部俺のものだって印をつけたい。
「一応善処します。…でも多分無理かなー?」
にこっと笑って見せたら、怒られるかと思ったのに、イルカ先生は真っ赤になって固まってしまった。
なんだろ?ま、驚いた顔もかわいいからいっか。
「え?あっちょっとま…あっ!」
「待てませんー!だってずーっとずーっと触れられなくて気が狂うかと思った」
実際多少どころか相当おかしかったらしい。
子供連れのときは流石に押さえつけられても、それ以外の任務の同行者に怯えられたのも一度や二度じゃない。
上忍待機所じゃクマに怯えられるわ、そのせいでうわばみに威嚇されるわ…散々な目に遭った。
ま、全部ちゃーんと片付けてしっかりお休みもらったけどね!
…だからこそ、このチャンスを逃すつもりはないのだ。
「も、もう!なんでそうなるんですか!そんな顔しなくても…ちゃんと、お休みもらったんだから、朝になってからで…!」
残念ながらその言い分は聞けない。
今聞けるとしたら…一回イってから入れるか、入れる前にイかせてから入れるかのどっちかくらいのもんだ。
もうどろどろのぐちゃぐちゃになるまでこの人と交じり合いたい。
いっそ意識が飛ぶほどに。
「イルカせんせ。お祝い。もらっていいですよね…?」
告白は耳元で。
吐息の中にかすかな喘ぎを混ぜて、イルカ先生は小さく頷いてくれた。
「俺で、いいんですよね…?」
ちょっと不安そうに俺を見上げている。
それだけで達しそうになるほどかわいかった。
「当然!…俺がほしいのはあなただけです」
いつだって何度だって言う。他の誰にも渡さない。…それがたとえ生徒でも。
本当なら外に出したくないくらいだ。そんなことしたら嫌われちゃうからしないけど。
…だから、せめて今日だけは独り占めさせて欲しい。確かめさせて欲しい。
好きだって、言って欲しい。
「カカシさん」
「はい」
こんな状況でもいつも通り男前に笑うこの人が好きだ。
頬に触れる手から伝わってくる優しさに、強さに、俺はもうめろめろだ。
「好きです。ぷ、プレゼントは包装紙もリボンもないですけど…受け取ってもらえますか?」
つっかえつっかえ…でも一番欲しかった言葉を貰えた。
これこそ最高の誕生日ってやつじゃない?
「はい!もちろん!大切にします。一生!」
抱きしめて笑いあって、それからじゃれあいながらイルカ先生が俺の服を脱がせてくれるの待った。
あせらなくてもいい。だって今日は二人とも休みで、まだまだ今日は始まったばかりで…二人ともこんなにも幸せなんだから。


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リクエストをいただけたので農家にしてみたり。
オタオメ編おわらず。゜。゜(ノД`)゜。゜。 もうちょっとお付き合いください。゜。゜(ノД`)゜。゜。。
ではではー!ご意見ご感想等御気軽にどうぞ!

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