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自慰の写真をネタに宮下に脅されながら、その宮下に犯される画像をネタに、今度は篠沢と下辻に脅される日々が約2週間続いた。
どちらの目的も僕の体で、性欲処理的なものだったが、宮下の場合は独占欲が強いようだったから、もしバレてしまったら――と思うと僕は怖かった。
ただ、その恐怖は一言で言い表せるものじゃなくて、僕の複雑な内面を物語っている。
普通この場合に考えることは、宮下に篠沢たちのことがバレて、宮下が篠沢たちにケンカを売ってしまい、その騒ぎで僕らの関係がまわりに知られてしまうんじゃないかということだろう。
まわりに知られなくても、結果としてどちらかが僕から手を引くことになるかも知れないが、憂さ晴らしに写真や動画をばら撒かれてしまわないかという恐怖もある。
だが、僕が真っ先に考えたのは、どちらかが僕から手を引いてしまうかも知れない、その恐ろしさだった。
そう、僕は今この状況を僕なりに楽しんでいたし、興奮もしていた。
脅されながら犯され、乱暴に荒々しく攻められ、他人に気づかれるかも知れないギリギリの行為を強要され、時には苦しさに涙しながらも僕は興奮していたのだ。
宮下や篠沢の言うとおり僕はマゾヒストで、そういう行為が好きだった。
そんな自分の性癖に気付いたのは高校の頃。
僕は昔から女子に興味が持てず、物心つくころには自分はゲイだということに気付いていた。
それでも、消極的な僕は好きだなと思う男の子が居ても話しかけることさえできず、そんな自分を変えることができたらと、高校は男子高へ入った。
入学してすぐに好きな人はできたが、それでもやっぱり告白することはできなかった。
僕のそんな態度は、でもそれほど露骨ではなかったはずだった。
ところが、ひとりの生徒に気づかれてしまい、僕は自分がゲイだということをバラさない代わりに、その男子の言うなりになることを約束してしまった。
今とあまり変わらない状況で、僕は彼の言うままに何でもやった。
それからずるずると深みにはまり、僕はその頃にあった経験のせいでマゾに目覚めてしまったのだ。
それまで未経験だった僕の身に、次々と新しい刺激が降りかかり、その快感に僕は陶酔しきっていた。
だが、これではいけないと自分自身を省みたのが高校3年の夏。
大学受験も間近に迫っていたし、これ以上続けて抜け出せなくなったら困ると思ったのだ。
だから僕はマゾヒストという自分の性癖を隠し、無かったものと思ってそれまでの生活に決別した。
大学に入ったら普通の男として、普通の大学生活を送ろう、そう思っていた。
なのに――自慰をしているところを写真に撮られ宮下に脅されるようになってから、また僕は少しずつあの頃の僕に戻ろうとしている。
今の生活が続けばいいと思ってるし、次にはどんなことをされるんだろうと期待していたりする。
そして今、宮下からのメールを見ながら、もし篠沢たちとのことを宮下に言ったら、宮下はどんな反応をするだろうかという、危険な考えが脳裏を過ぎっている。
寮の奴らどころか、学校中に知られてしまうかも知れない。そんなことになれば、風紀を乱したということで寮を追い出されるかも知れないし、最悪の場合は学校にいられなくなるかも知れない。
そうなれば今の生活も当然続かなくなるだろう。
でも、もし宮下が篠沢たちに嫉妬したら……もっと僕を攻めてくれるだろうか。
言葉で、体で、僕をいつもよりもっと激しく攻めてくれるだろうか。
僕はそんな自分の考えに興奮を覚えながら、宮下が指定した場所へ向かった。
丁度いいかも知れない、宮下の家だった。
宮下の家はどこにでもあるような一戸建てで、家族は父母弟となっているが、父親は単身赴任で家にはおらず、母親もよく友人と旅行に出かけているとかで家にいないことが多く、高校2年になる弟は度々友人の家に泊まったりでやはり家にいることは少ないらしい。
そんな変な家族だから、母親には1回しか会ったことがないし、父親と弟には1度も会ったことがない。
「今日も母さんと弟は外泊するって連絡あったんで、ゆっくり楽しめますね」
家に着くなり自分の部屋へ連れ込み、すぐに僕の服を脱がしながら宮下が言う。
その宮下の手を止めると、僕は思い切って言った。
「話が、あるんだ」
「……なんですか?」
いつもと違う僕の態度に、宮下もすぐに気づいたようで動きを止める。
僕は宮下の目を見ることができず、俯きながら告白した。
「僕……宮下とは別の奴に――脅されてるんだ」
「――え?」
「宮下とセックスしてる所をビデオに撮られて、それで脅されてて……」
「……それで?」
「――セックスを強要されてる」
長い沈黙があった。
僕は宮下が僕から手を引くと言い出さないことを願った。
しばらくして、再び宮下が口を開いた。
「誰ですか、そいつは」
「……言えない」
「なんでですか!」
「言ったらきみはどうする?」
「もちろん、そいつを殴ってやりますよ」
「ダメだ。そんなことしたら騒ぎになって、他の人たちや大学に知られてしまう!」
また沈黙が降りた。
気がつくと僕は震えていた。
どう転ぶかわからない緊張と恐怖に震えていた。
今度は、それほど間を空けず宮下が沈黙をやぶった。
「どんな風に?」
「え?」
「どんな風に抱かれたんですか?」
思わず顔を上げると、恐ろしい剣幕で宮下が僕を見つめていた。
僕はその時、自分の望むようになったかも知れないと、今度は興奮に震えた。
宮下は僕の答えを待たず、僕をベッドへ押し倒すと性急に求めた。
「いつからですか?」
「何回やったんですか?」
「気持ちよかったんですか?」
「言ってください! どんな風に犯されて、秋山さんはどんな風に乱れたんですか!?」
矢継ぎ早に問われて、僕は喘ぎながら答え、そして「どんな風に」という質問は何度もされ、それに答えるたびに同じことを強要された。
イラマチオをさせられたと言えば、宮下も自分のものを強引に僕の口に突っ込んだし、準備のできてないあそこにいきなり突っ込まれ激しくされたこともあると言えば、宮下も僕の後ろに何の準備もなく自身を突っ込み激しく犯した。
「こうですか? こんな風にされたんですか? それで秋山さんも今のように善がってたんでしょうね。ほんとあなたは淫乱な人だ」
乱暴に突き貫かれて僕はたまらず喘いだ。
「ああっ……宮下っ……んっ……宮下っ!」
「好きなんでしょう? 秋山さん。こんな風に犯されるのが、本当は好きなんでしょう?」
中を掻き乱されるように抉られ僕は身悶えた。
「宮下っ!――宮下っ!」
「言ってください。『僕は脅されて犯されるのが好きなんだ』って!」
再び荒々しく攻め立てられて、僕は背を仰け反らせながら声を上げた。
「んっ、はぁ……好き、あぁ――好きなんだっ! 僕はっ、こんなことされて興奮する、いやらしい奴なんだ!」
「秋山さんっ」
僕自身、興奮は最高潮に達して、宮下の激しい攻めに体を揺らしながら、宮下が僕の中で射精するのを感じ、僕はついにそれだけでイッてしまった。
自分の精液で自分の腹を汚しつつ、僕は後ろだけでイッたことに驚き、その快感と恍惚に酔いしれた。
それは宮下も同じだったようで、まだ僕の中に自分のものを入れたまま、顔を寄せると僕にキスをした。
キスの合間に何度も僕の名を呼びながら、貪るように求められて眩暈を覚えた。
初めての宮下とのキスだった。
宮下の攻めは夜遅くまで続いた。
すでに篠沢たちに何をされたかじゃなく、僕が犯されてどんな風に乱れたのかとか、どんな風に善がったのかとか、そういうことに宮下の興味はあって、そして宮下の攻めに喘ぐ僕を見れば、「あなたの体は本当に敏感で淫乱だ」と言葉で攻めた。
僕は自分が望んでいたことが現実となり、卑しくも内心で喜んでいたのだが――
ことが終わり帰る頃になって、宮下が信じられないことを言い出した。
「俺、やめます」
「……え?」
「秋山さんを脅迫するの、やめます」
「―― ……」
「本当は嘘なんでしょう? 他のヤツに脅されてるって」
「なにを……?」
僕は宮下が何を言っているのかわからなかった。
頭が真っ白になって、血の気が引くのを感じた。
宮下との関係が終わる?
「だっておかしいですよ」
「……なにが?」
「秋山さんを脅してるってヤツ、俺が秋山さんとやってるって知ってるんなら、俺んとこにも何か言ってくるのが普通じゃないですか」
「?」
「やっぱ秋山さんが他のヤツとやってるなんて、普通は許せないですよ」
「……?」
「だから、嘘ですよね? 他のヤツに脅されてるなんて」
あとで思い返して理解したことだが、宮下はかなり自分の基準でものを考えていたようだ。
宮下は僕との関係に執着心があって、そしてかなり独占欲が強いみたいだった。
もし、自分が篠沢たちの立場だったら、先に僕を脅迫していた男を暴力にものを言わせるなり、逆に脅すなりして、僕から引き離そうとするだろうと考えたんだ。
本当に僕を脅す男がもう1人いるなら、自分のところに何か言ってくるはずだと思ったんだ。
実際は篠沢たちに、宮下のような独占欲なんてのはなくて、ただ僕を性欲処理に使えたらいいと思っているに過ぎないのに。
さらに、
「俺にそんな嘘を言ったのは、俺との関係をやめたいからでしょう?」
宮下は僕が望んでいたことと全く逆のことを口にした。
「俺が秋山さんにするように、他のヤツにも同じことされたって言って、俺の怒りを煽って……それで俺がどんなに秋山さんにとって嫌なことしてるかって、思い知らせるために言ったんですよね。犯されるのが好きだなんてことまで言って」
どうしたらそこまで考えが巡ってしまうんだろうか。
僕は呆然として、項垂れる宮下を見つめ続けた。
「俺、やめます。今まですみませんでした。写真のデータも全部消すんで、安心してください」
そう言って頭を下げる宮下を僕はこれ以上見たくなくて、宮下の謝罪に答えることもなく足早に部屋を出て行った。