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『AMBIVALENCE』 by Riko
久しぶりに着いた、少し大きめの街。これまた久々にまともな宿で、たっぷり 夕飯を食って。腹ごなしに路地裏をブラついていたところで、建物の壁に背を 預けて気だるげに煙草を吹かしている女の人を見かけた。艶やかな色の袖なし のワンピース、薄い肩に掛けられた光沢のあるショールと、俺だったら三歩も 歩けないような、踵の高い靴。どんなに鈍い俺の目から見ても一目でわかる、 『夜の世界の人』だった。 何を熱心に見ているのか、その瞳は僅かに上空へ向けられている。視線の先を 薄暗い路地裏で、ぽぅ…っと燈る灯りに誘われて、小さな羽虫が集まる。大半 「あ…っ」 無意識に声を上げていた俺に気付いた女の人が、こちらを振り返る。ほんの少 「…『飛んで火に入る夏の虫』って言葉、あるじゃない?」 不意にそんな風に話しかけられて、俺は「う、うん…」とぎこちなく頷く。彼 「アレってさ…『わざわざ危険な中に入っていくバカなヤツ』って意味じゃな 静かな声で言葉を紡ぐその人の眼差しは、此処とは全然違う場所を見ているみ 「いきなり話しかけてゴメンなさいね…おやすみなさい、いい夜を。」 もう一度俺に向かって薄く微笑ってみせた彼女は、ひっそりと扉の向こうへ消 月明かりを受けて、光が弾けるように輝く金の髪を見上げる。 「聞かせ…て…」 繰り返す荒い呼吸を、ドクドクと脈打つ鼓動を、俺の名前だけ呼ぶ声を。 「ア…ツ…熱…い…熱い、よ…」 これ以上何も暴かれたくない。 「…何考えてる…?」 怖いくらいキレイな紫の瞳に、自分だけが映ってる。 「…別に…何にも。それよりもっと…深く、キテ……」
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