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『姉ちゃんのおっぱいを搾って助けてあげて!』




   ≪2≫

(……なんとも思ってない……か……)
 弟の言葉に、胸の奥がチクリと痛む。
(まあ、そうだろうな……何を期待していたんだ。私は……)
 英里にも一応は女としてのプライドがある。
 浩次の何気ないひと言で自尊心を傷つけられて、彼女は頬を軽く膨らませながらパジャマの上着を脱いでいく。
 ボタンを外しきったところで、ふと弟の視線に気がついた。
「こら。こっちを見るな」
「な、なんだよ。姉ちゃんがいきなり脱ぎ出すから……」
「ボタンをはずしただけだ。ちょっとあっちを向いてろ」
 英里がそう言うと、浩次は背を向ける。
「何してんだよ。姉ちゃん」
「手伝いをしろと言っただろう。ほら。こっちを向いていいぞ」
 弟に背を向けて、床に座り込んだまま英里は声をかけた。
 パジャマの上着は、ボタンをはずしきっている。
 ブラジャーはつけていない。というより、いつもつけているサイズのものはつけられなくなっていた。
 メロンサイズの見事なバストは、肩に羽織っただけのパジャマでは隠しきれない。とはいえ、さすがに剥き出しにしておくのは恥ずかしいので、乳首のあたりに手をかぶせて隠している。
「何を……何を手伝えって……」
 姉の奇妙な行動を前にして、浩次は声をうわずらせた。
「乳搾りだ。母乳が出るようになってしまったと、さっき説明しただろう。これが一人でやると、なかなか大変でな」
「そそそ、そんなことを弟に……手伝わせるなよ!」
「なんとも思ってない、と言っていたじゃないか。別に気にすることもないだろう」
「だって、俺……女の胸なんか、触ったこともないんだぜ」
 浩次の言葉を聞いた英里の口元に、あからさまな嘲笑が浮かぶ。
「……わ、笑うことないだろ!」
「本当にダメな弟だな。キミは」
「どうせ俺は彼女イナイ歴が年齢と一緒だよ。悪かったな! 弟が非モテでごめんなさいね、どうもすいませんでした! 申し訳ありませんねー!」
「しょうがない。やり方を見せてやるから、きと覚えろ」
「やり方、って……」
「いいから。私の横に来い」
 英里は右腕で剥き出しの豊乳を隠すようにしながら、空いている手を伸ばし、浩次をつかんで引き寄せる。
 自分のすぐ横に弟を座らせると、彼女の頬が赤味を帯びた。
(相手が弟でも、見られてると……意外と恥ずかしいものだな……)
 とはいえ、見せると言った以上は引き下がれない。
 目の前に置いた洗面器を引き寄せ、のしかかるみたいな感じで上半身を傾けた。
「いいか。このようにしてだな……」
 胸元を隠してた腕をどけて、左乳房に手をあてがう。両方の手のひらを使って上下からはさみ込むと、サンドイッチを思わせる状態になった。
 量感抜群の乳肉は手だけでは包みきれない大きさだ。潰した半球から柔肉がはみ出すどころか、先端に宿ったピンク色の乳頭までもが丸見えになっている。
 顔を真っ赤にしている浩次が、居心地悪そうに目をそらしていた。
「キミはどこを見ているんだ」
「い、いや……その……姉ちゃん、胸……見えてるから……」
「見えているが、それがどうした。顔が赤いぞ」
「んなっ……ね、姉ちゃんだって……赤いじゃん」
「そんなことはない。ほら。今から搾ってみせるから、やり方をきちんと見ておけ」
 英里は腕に軽く力をこめる。
「ん……」
 みっしり張った乳球が形をひずませると、つき出た乳首から白い液体がにじみ出てきた。
「うわ……姉ちゃん、なんか出てきた! なんか出てきたよ」
「だから最初から、そう言っているではないか」
「どんどん出てくるな……すげぇ……」
 押し潰している左乳から、とめどなく乳液があふれ出る。
(弟に見られながらだと……なんだか、すごく……ヘンな気分になってくるものだな……)
 母乳をタップリと蓄えた柔乳に軽い圧迫を加えるだけで、微細な乳孔からシャワーのようにミルクが迸っていく。
 床に座った体勢での乳搾り。飛び散る液体が洗面器の上に、ピチャピチャと水音を放ちながら落ちていった。
「……ん……んぅ……」
「姉ちゃん……なんか、エロい……」
「ばかもの。人が真面目にやっているのに、キミはふざけているのか。それにさっき、なんとも思ってないと言ったばかりではないか」
「そうだけどさ……」
 浩次は体育座りになって、顔から火が出そうなほど満面を赤く染めている。
「実演はこれくらいでいいだろう。やり方はわかったな」
「う、うん……」
「今度はキミにやってもらうぞ」
「本当にさせる気かよ……」
「したくないのか。困っている姉を見捨てるのか。キミは本当に薄情な弟だな」
「わかったよ。わかったってば。するよ……」
 浩次の震える手が差し伸べられていく。
 英里の豊満な胸乳に手が乗ると、ふいに背筋をゾクッとさせる震えが訪れた。
「あっ──」
「へ、ヘンな声出すなよっ!」
「別にヘンじゃない。そこは敏感なのだ。もっと丁寧に扱え」
 目をつり上げて弟を見返しながら、彼女は自分の感覚に戸惑う。
(なんなのだ……今の感じは……気持ちいいような、くすぐったいような……)
 英里が考え込んでいる間に、浩次の両手がやわっこい乳塊をはさんでいた。
「ほら……行くぞ」
「そっとやれよ」
「こ、こんな感じか」
「痛い痛い……ばかっ。もっと力を抜け」
「……難しいなあ」
 ぶつくさと文句を言いながらも、浩次は絶妙な力加減で軟乳から乳汁を搾り出す。
 手ではさみ込んだ軟質の乳房から扱き出すように、手のひらを乳根から先端方向にゆっくりと、何度も往復させる。
 手を動かすたびに白い液汁が飛び散っていく。浩次は目と口を丸くして、姉の放乳をジッと見ていた。
「すげ……結構いっぱい……こんなに出るんだな」
「ん……んふぅ……」
「だから、いちいちヘンな声出すなっての……」
「ヘンじゃ……ない」
「そ、そうかよ」
 そんな会話をしているうちに、洗面器には白い液体が溜まっている。たいして時間もかからないうちに、指の関節ひとつ分ほどの深さにまで達しただろうか。
「ちょっと、手を止めて」
 弟に声をかけてから、正座に近い状態から膝を立てた姿勢に変える。
 浩次がいる方向と反対側の手を床につく。上半身を前に屈ませると、張りのある乳房もさすがに重力に引かれ砲弾型になった。
「いきなりどうしたんだよ。妙な格好して……」
 四つん這いの体勢となった姉に、浩次がたずねる。
「さっきのポーズだと、胸が重くて腰が痛い」
「婆ちゃんみたいだなあ」
「そういうことを言うからモテないんだぞ、キミ」
「う、うるせぇな! よけいなお世話だよ」
 たしなめる姉に、浩次は意地の悪そうな目つきを返す。
「しかし、あれだな。こんな格好してると、牝牛みたいだな」
「──ひゃっ」
 いきなり乳首をつままれて、英里の身体がビクンと震えた。
「お。出る出る。こっちの搾り方のほうがラクだな」
「こ、こらっ……」
「これなら両方いっぺんにできるぞ。ほら」
「ひゃぅ……や、やめないかっ。もっと、やさしくぅ……うぁ」
 左右の乳頭を指ではさみ潰される。
 つままれた先端からピュウピュウと白い乳液がこぼれ落ちていく。
 弟の手で敏感な乳頭部をいいようにいじり回されていると、繊細な神経が快楽を感じ取る。手足をついた獣じみた姿勢になっているせいか、ひどくうしろめたい快感だった。
(こんなことされたら……本当に、牝牛になったみたいじゃないか……)
 ピンクの突起がこじられるたびに、ジンジンと痺れが広がる。
 浩次の指先がリズムをつけた動作を繰り返し、交互に左右の乳首をはさむ。
「すげえすげえ。止まらねえよ、姉ちゃん。どんどん出てくる」
「んんっ……人の身体をオモチャみたいに……するなぁ」
「洗面器じゃなくて、桶とかのほうが雰囲気でそうだな」
「いい加減に……しろっ」
「……イテッ!!」
 英里は弟の頭に軽くどついた。
「殴ることないだろ」
「人の胸で遊ぶとは何事だ。殴られて猛省せよ」
「自分で手伝わせておいて、それは言いすぎじゃないか」
「お姉ちゃんのおっぱいをなんだと思ってるんだ、キミは。最低だぞ」
 弟の手が離れたので、手のひらで乳房を隠しながら頬を膨れさせる。
「ふざけるなら、もういい。帰れ。帰っていいぞ」
「そんなぁ……あ、そうだ」
 情けない口調になった浩次が、ふいに目を瞬かせた。
「良いこと思いついたよ、姉ちゃん」
「なんだ」
「搾るよりも、口で吸い出したほうが早いんじゃないか?」
「口で……吸う、だって……」
 怒りと軽蔑がないまぜになった表情を弟に向ける英里。
「キミは……なんだ。その、頭が悪いのか。もしかして」
「そこまで言うか……」
「いやいや。もう感心するほどのバカっぷりだ。これが私の弟かと思うと、恥ずかしさで死ねるんじゃないかと思うくらいだよ」
「姉ちゃんのためにっ! 姉ちゃんのために……一生懸命考えたのに!」
 そう言って、浩次は床に拳を押しつける。
 言ってることはいつものようにバカバカしいが、自分のためを思ってくれていることは間違いない。
 ほんのりと頬を赤く染めて、英里は言った。
「まあ……仕方がない。そんなに吸いたいのなら、吸わせてやっても……」
「え? 俺が吸うの?」
「他に誰がいるというのだ」
「そんだけデカけりゃ、口が届かないか。自分で吸えるだろ」
 浩次は自分の胸元を掬うように手をあてがい、見えない乳房に吸いつく。
 伸ばした唇が、タコみたいだった。
「んー……ほら、こんな感じでさ。これ結構イケるんじゃね? な……ほがっ!」
 英里は弟を殴った。




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