≪7≫ 「──いやあ、こりゃ参りましたね。今日が祝日でよかったですよ」 神室木の本家に雇われている仲介人が、無邪気に笑う。 「これを人に見られたら、また面倒なことになりますからね」 「ふざけるな! 腕の立つやつを送るから大丈夫だって、あんたが言ったんだろうが!」 早朝の金越学園。 その一角、人目につかない校舎の影で、校長が怒鳴っていた。 「なんだこの役立たずは! 口ばっかりでこの有様じゃ、話にならん」 「申し訳ありません。すぐに回収して、次の人間を手配いたします」 怒りで真っ赤に染まったタヌキ顔に詰め寄られても、仲介人は顔色ひとつ変えていない。まるで、こんなことはよくあることだ、とでも言わんばかりの表情だった。 「さっさとしてくれ! 高い金をふんだくっておいて……」 「すでに連絡はしてあります。すぐに来ますので……」 罵声と謝罪の繰り返し。 その二人の横で顧みられることもなく、打ち捨てられたままとなった人影。 あちこちが破れ、ボロボロになった制服を着ている少女が地面に寝そべっていた。 「……えへ、へひっ……えへへ……チ●ポ、●ンポぉ……ひひ、けへひっ……」 彼女は前のめりで大地にひれ伏し、ブツブツと呟き続けている。 その周囲にはいまだに乾ききっていない、ねばつく液体が池かと思うほどに溜まっていた。 ぬめ光る汚汁からは、噎せるような淫猥な臭気が漂う。魔物に犯され抜いたがために、決して拭うことのできない淫臭の名残りだ。 かつては凛々しく佇んでいたであろう少女の姿は、今となってはその面影すらない。 特にひどいのは下半身だ。股関節を支える骨盤が破壊されているようで、しなやかな美脚であるにもかかわらず、下半身が滑稽にもコの字を描いて開ききっている。 下着をつけていないため女性器とその周辺が露出しており、粘液に濡れ光る臀肉が丸見えだ。ムッチリと丸い尻肉に挟まれている折れた木片。木刀の柄が肛内に沈み、突き立てられた状態である。 そのうえ、まるで出産直後のように広がりきった膣口からは、胎内に注ぎ込まれた汚液がいまだにトプトプと溢れてきていた。 本当に、何かを産み落としたのかもしれない。 その証明となるものがある。うつ伏せの姿勢で押しつぶされ、身体の脇にはみ出した豊満な乳房。その先端からは、白い乳液が滲み出ているのだ。 無残と言えば、あまりに無残。 年頃の可憐な少女が、なるべき姿ではなかった。 「えへ、あへ、うへへっ……もっろぉ……もっとしてえへぇ……」 毅然とした表情を浮かべていた美貌の影もなく、涎を垂れ流すだらしない口元。 犬のように舌をはみ出させた顔は、あさましいことこのうえない。 なかば白目を剥き、焦点の定まらない瞳。その目の端に溜まった涙だけが、かつての自分に思いを寄せて、今のみずぼらしくも惨めな姿を哀れんでいるかのようですらあった。 だがしかし、彼女自身であっても、他のいかなる者であろうとも──。 もはやアズサの心も身体も、救うことなどできはしない。 そのことだけは誰の目にも明らかだった。 |